ステージ1で生存率92%、4で約18%…大腸がん「早く見つけて早く治す」意義、市民講座で京大医師らが解説

正しい情報を届けることが大学病院の責務, 大腸がん検診はなぜ必要か?, 5年生存率は早期なら9割、進行すると2割弱, 「京都人はもったいない」―検診受診率は4割にとどまる, 「観便」習慣を身につけ、異常があればためらわずに受診を, 大腸カメラはどんな流れで行われる? 苦しくない?, がんに対する「攻めの予防」――大腸を直接観察、同時治療も, 下剤の改良、痛みへの鎮静…検査への「不安要素」は格段に軽減, ロボット手術は何がすごい? 治療の流れと特徴, 大腸がんの3つの治療選択肢「手術」「放射線」「化学療法」, 「器用」で「目が良い」手術ロボット, どこで受診したらよいの? 知っておきたい「コツ」, 納得して治療を受けるための「セカンドオピニオン」, 正しい医療情報を得るための「選び方の基準」, 「早く見つけて、早く治す」——今日から始める大腸がん予防への一歩

“ステージ1で生存率92%、4で約18%”…大腸がん「早く見つけて早く治す」意義、市民講座で京大医師らが解説

大腸がんは、早期発見・早期治療によって治癒が期待できる病気です。一方、「便潜血検査って本当に意味あるの?」「大腸カメラを受けるのが怖い」「どの病院で治療を受ければよいのか」など、疑問や不安を抱える人も少なくありません。そうした疑問や悩みに対し適切な情報を伝えるため、京都大学医学部附属病院消化管外科とNPO法人京都がん・消化器疾患ネットワーク「KUCCIE(クッキー)」は、2026年5月17日に市民公開講座「京都で大腸がんを学ぼう ~早く見つけて、早く治す~」を開催しました。本記事では、消化器の専門医4人による講演内容をもとに、検診の重要性、大腸カメラの実際、最新のロボット手術、病院選びやセカンドオピニオンの活用法について紹介します。

正しい情報を届けることが大学病院の責務

KUCCIE(クッキー)は、京都大学消化管外科の医師を中心に、がんの市民啓発と正しい情報発信、質の高い後進の教育を目指すために立ち上げられたプロジェクトです。現代で急速に普及したインターネットやSNS、生成AIを通じてがん関連情報を収集する人が増える一方、誤情報も氾濫するようになりました。だからこそ、大学や医療機関のような公的組織が、科学的根拠に基づいたがん情報を分かりやすく社会へ届けることがこれまで以上に求められています。 開会の挨拶を務めた京都大学消化管外科教授の小濵和貴先生は「玉石混交の情報の中から、正しい情報を困っている患者さんに届けることが我々の責務です」と述べました。

大腸がん検診はなぜ必要か?

5年生存率は早期なら9割、進行すると2割弱

大腸がんは早期に自覚症状がほとんどなく、血便や便秘、腹痛といった症状が表れるころには、すでに進行していることが少なくありません。消化管外科の後藤健太郎先生は、「5年生存率はステージ1で92%に上りますが、ステージ4では約18%にまで低下します。とにかく早く見つけることが大事な病気です」と早期発見の重要性を強調しました。

「京都人はもったいない」―検診受診率は4割にとどまる

早期発見の鍵となるのが大腸がん検診(便潜血検査)です。便に混ざる血液を検出することで、無症状の段階からポリープや早期がんを発見できる可能性があります。40歳から年1回受けられ、京都市における検診費用は300円(70歳以上などは免除制度あり)と、手軽さも魅力の一つです。 一方で、講演では「日本の大腸がん検診受診率は44.2%と世界でも低水準で、京都市はその中でも最下位レベルにある」というデータも報告されました。さらに、検診で陽性になっても、約3割が精密検査を受けないままだといいます。 「400年守り継がれてきた清水寺も、傷を早期発見して修繕してきたから今があります。人間で言えば便潜血陽性は体からの小さなサインです」と、後藤先生は検診を受ける意義を訴えました。

「観便」習慣を身につけ、異常があればためらわずに受診を

洋式トイレが普及した現代では、意識しなければ自分の排泄した便を目で確認する機会がほとんどありません。観便(便の状態をチェックする習慣)を身につけることは非常に大切です。そのうえで細い便・血便・下痢と硬い便の繰り返しなど気になる変化があれば、検診を待たずに大腸カメラができる病院を受診することが早期発見・早期治療において重要です。後藤先生は「『もともと痔があるから間違って検診で陽性になってしまったのでは』と放置する人もいますが、自己判断は絶対にやめてください。陽性と判定されたら、大腸カメラを受けていただく。これが何よりも健康を守ることにつながります」と強調します。

最後のまとめとして、後藤先生は大腸がん予防と早期発見に向けた以下3つの行動指針を提示しました。

正しい情報を届けることが大学病院の責務, 大腸がん検診はなぜ必要か?, 5年生存率は早期なら9割、進行すると2割弱, 「京都人はもったいない」―検診受診率は4割にとどまる, 「観便」習慣を身につけ、異常があればためらわずに受診を, 大腸カメラはどんな流れで行われる? 苦しくない?, がんに対する「攻めの予防」――大腸を直接観察、同時治療も, 下剤の改良、痛みへの鎮静…検査への「不安要素」は格段に軽減, ロボット手術は何がすごい? 治療の流れと特徴, 大腸がんの3つの治療選択肢「手術」「放射線」「化学療法」, 「器用」で「目が良い」手術ロボット, どこで受診したらよいの? 知っておきたい「コツ」, 納得して治療を受けるための「セカンドオピニオン」, 正しい医療情報を得るための「選び方の基準」, 「早く見つけて、早く治す」——今日から始める大腸がん予防への一歩

後藤健太郎先生

大腸カメラはどんな流れで行われる? 苦しくない?

「下剤を飲むのに抵抗がある」「大変そう」「痛そう」「恥ずかしい」というイメージから受診をためらう人が多い大腸カメラ。日々この検査を行う消化器内科の内海貴裕先生は講演の冒頭、「不安な気持ちを安心に変えたい」と患者さんへの思いを述べました。

がんに対する「攻めの予防」――大腸を直接観察、同時治療も

大腸カメラの最大の特長は、その場で組織の一部を採取する生検(病理検査)やポリープを切除できる点です。がんが疑われる病変の確定診断から前がん病変の治療までを一度の検査で進めることができるのが、大腸カメラならではの大きな強みです。 「便潜血検査や大腸CT検査と異なり、大腸がんやその前兆を見つけるだけでなく、病変をその場で治療できる唯一の検査といえます」と内海先生は説明します。実際に、米国で行われた「National Polyp Study」という研究では、前がん病変であるポリープ切除によって大腸がんの発生率が76〜90%、死亡率が53%減少したという結果が報告されました。すなわち、ポリープ切除は大腸がん予防に直結することが科学的に証明されているといえます。

下剤の改良、痛みへの鎮静…検査への「不安要素」は格段に軽減

受診の障壁となる「不安」の主な要因は、下剤と痛みです。そのような不安を抱える患者さんのために、下剤については近年さまざまな選択肢が増えています。 たとえば、味に関しては梅風味・レモン風味・スポーツ飲料風味などバリエーションが豊富にあり、大量の液体を飲むのが難しい方に向けた錠剤タイプも登場しています。地域によっては便漏れやプライバシーに配慮した個室で下剤を内服できるクリニックも増えており、環境面での不安は以前より格段に軽減されています。

また、痛みへの不安に対しては、鎮静剤(睡眠薬)の使用や細い内視鏡の選択など様々な工夫が凝らされています。鎮静剤を使う場合は休憩時間が必要となり、検査当日の運転はできなくなるなど一定の条件があるものの、「うとうとしている間に楽に検査が終わる」というメリットがあります。 また、検査時に二酸化炭素を使用することで、空気を使用した場合と比べて検査後のお腹の張りを速やかに軽減する工夫や、プライバシーに配慮して検査時に部分的に穴が開いた専用のパンツを着用するといった取り組みもなされています。 「昔に比べると大腸カメラはかなり負担の少ない検査になってきています」と、内海先生は現場目線で大腸カメラの進歩を解説。さらに「大腸カメラをやらないリスクとやる不安、どちらを選びますか。検査の内容を知ることで不安は減らせます」と、まだ大腸カメラを受けたことのない人への受診を促しました。

正しい情報を届けることが大学病院の責務, 大腸がん検診はなぜ必要か?, 5年生存率は早期なら9割、進行すると2割弱, 「京都人はもったいない」―検診受診率は4割にとどまる, 「観便」習慣を身につけ、異常があればためらわずに受診を, 大腸カメラはどんな流れで行われる? 苦しくない?, がんに対する「攻めの予防」――大腸を直接観察、同時治療も, 下剤の改良、痛みへの鎮静…検査への「不安要素」は格段に軽減, ロボット手術は何がすごい? 治療の流れと特徴, 大腸がんの3つの治療選択肢「手術」「放射線」「化学療法」, 「器用」で「目が良い」手術ロボット, どこで受診したらよいの? 知っておきたい「コツ」, 納得して治療を受けるための「セカンドオピニオン」, 正しい医療情報を得るための「選び方の基準」, 「早く見つけて、早く治す」——今日から始める大腸がん予防への一歩

内海貴裕先生

ロボット手術は何がすごい? 治療の流れと特徴

大腸がんは、大腸内で腫瘍が大きくなる(T因子)、近くのリンパ節に転移する(N因子)、別の臓器に転移する(M因子)という3つのファクターがあり、この3因子をもとに治療方針が立てられます。下部消化管のロボット手術を専門とする板谷喜朗先生は、大腸がんの進行と治療全体の構造について解説しました。

大腸がんの3つの治療選択肢「手術」「放射線」「化学療法」

治療の選択肢は大きく3つあります。 1、手術: 全身転移前の大腸がんに効果的な治療法 2、放射線治療: 直腸がん治療において特に広く行われており、肛門付近のがんでも肛門の機能温存を目指す際の強い味方 3、化学療法(抗がん剤治療):手術でがんが取り切れない場合や術後の再発抑制において適応される。目に見えないがん細胞を抑制 このうち今回の講演では、手術を中心に解説が行われました。

「器用」で「目が良い」手術ロボット

一般的な大腸がんの手術は、がんとリンパ節を取り除く「切除」と上流・下流の腸を元通りにつなぎ直す「再建」の2ステップから成ります。手術をより安全・精密に行うための手段の一つが、ロボット手術です。「京都大学では術中に大画面モニターを用いて内部を拡大観察しており、従来の肉眼手術とは次元の異なる視野が確保できます。毛細血管やリンパ節の位置を一目で把握できるのみならず、1人で3本のアームを同時操作するため、細かい作業も1人で完結できることが大きな特徴です」と板谷先生はロボット手術の特長を説明しました。

さらに、どれほど器用であるかを示す実演として「米に文字を書く」デモ映像が会場で披露されました。映像は板谷先生が実際にロボットを操作して撮影したもので、米一粒に漢字や熟語を書けるほど精密な操作も可能であることが示されました。

「『全ては患者さんの笑顔のために』をモットーに、より小さな傷、少ない痛みで実現できる大腸がん治療の方法を模索し続けています」と板谷先生はさらなる治療の低侵襲化を展望しました。

正しい情報を届けることが大学病院の責務, 大腸がん検診はなぜ必要か?, 5年生存率は早期なら9割、進行すると2割弱, 「京都人はもったいない」―検診受診率は4割にとどまる, 「観便」習慣を身につけ、異常があればためらわずに受診を, 大腸カメラはどんな流れで行われる? 苦しくない?, がんに対する「攻めの予防」――大腸を直接観察、同時治療も, 下剤の改良、痛みへの鎮静…検査への「不安要素」は格段に軽減, ロボット手術は何がすごい? 治療の流れと特徴, 大腸がんの3つの治療選択肢「手術」「放射線」「化学療法」, 「器用」で「目が良い」手術ロボット, どこで受診したらよいの? 知っておきたい「コツ」, 納得して治療を受けるための「セカンドオピニオン」, 正しい医療情報を得るための「選び方の基準」, 「早く見つけて、早く治す」——今日から始める大腸がん予防への一歩

板谷喜朗先生

どこで受診したらよいの? 知っておきたい「コツ」

これまでにも全国各地で市民公開講座を実施してきた消化管外科の山本健人先生は、「誰もが正しい情報を身につけ、自信を持って受診し、医師と話し合える世界を作りたい」という思いで「病院のかかり方——がんになったらどこで治療を受ける?」というテーマで講演を行いました。 「日本人の医療に関する自己評価は他国に比べて低くとどまっています」――。山本先生は冒頭でこのように指摘しました。他国との比較調査では、「適切な受診ができる」と答えた日本人は67.2%にとどまり、諸外国と比べて低い水準でした。さらに、ヘルスリテラシー(健康・医療情報を正しく入手・理解・活用する力)の自己評価も、世界で最も低い水準だといいます。

納得して治療を受けるための「セカンドオピニオン」

自分にとってより良い治療の見つけ方や医療情報の探し方として、一つの手段となるのが「セカンドオピニオン」です。セカンドオピニオンとは「他の医師の意見を聞くこと」であり、治療や検査は行われません。また受診には紹介状(診療情報提供書)が必須であり、保険適用外のため自費診療となります。また、本人が来院できない場合は家族だけでの受診も可能です。

山本先生は「セカンドオピニオンを相談して嫌な顔をする主治医は通常、いません」と前提した上で、「それでも心配な人は、治療を決める前にできるだけ情報を集め、納得したうえで受けたいと一言添えるとよいでしょう」と説明例を紹介しました。また、紹介状(診療情報提供書)については、患者さんが紹介先を選べない、医師が知り合いのいる病院にしか紹介できない、などの誤解が多いのですが、実際には患者さん自身で「あの病院に行きたい」などと具体的な紹介先を希望することもできますし、医師にとって紹介相手が知り合いでないこともよくあります。

では、紹介先を選ぶ際のポイントは何か。これについて山本先生は「専門性」と「通いやすさ」の2点であると説明します。さらに具体的な観点として、「診療実績・件数、技術認定医の在籍の有無、多職種のサポート体制を確認することが重要です。大腸がんの治療は長期戦になることも多く、継続して通える環境かどうかも重視しましょう」と解説しました。

正しい医療情報を得るための「選び方の基準」

インターネット上には数多の情報が発信されており、その内容は玉石混交です。間違った情報を信じると命にかかわる可能性もある医療情報の選び方について、山本先生は、「公的機関の情報を参照」「出典のある情報を信頼」の2点を呼びかけました。国が運営している一般の人向けのがん情報サービスや各種学会の患者さん向けガイドラインなどが挙げられます。

情報の選び方が難しい一例として、山本先生は一部の大腸がん患者さんが造設することになる「人工肛門(ストーマ)」に言及しました。過去に米国で行われた研究では、大腸がんの治療において患者さんが最も重視することについて調査したところ「人工肛門にならないこと」を「最も重要」と答えた人が最多であり、「がんが治癒すること」よりも多かったという結果が示されました。

しかし、人工肛門による生活の制約は、世間的に想像されているものより小さいといえます。山本先生は「たとえば入浴やスポーツに関して制限はなく、いくつかの注意点に気を付けていれば普通の人と同様に楽しむことができます。どんな治療であっても、正しい情報にアクセスし、自分自身が納得した上で選択することが後悔しない決断につながります」と締めくくりました。

正しい情報を届けることが大学病院の責務, 大腸がん検診はなぜ必要か?, 5年生存率は早期なら9割、進行すると2割弱, 「京都人はもったいない」―検診受診率は4割にとどまる, 「観便」習慣を身につけ、異常があればためらわずに受診を, 大腸カメラはどんな流れで行われる? 苦しくない?, がんに対する「攻めの予防」――大腸を直接観察、同時治療も, 下剤の改良、痛みへの鎮静…検査への「不安要素」は格段に軽減, ロボット手術は何がすごい? 治療の流れと特徴, 大腸がんの3つの治療選択肢「手術」「放射線」「化学療法」, 「器用」で「目が良い」手術ロボット, どこで受診したらよいの? 知っておきたい「コツ」, 納得して治療を受けるための「セカンドオピニオン」, 正しい医療情報を得るための「選び方の基準」, 「早く見つけて、早く治す」——今日から始める大腸がん予防への一歩

山本健人先生

「早く見つけて、早く治す」——今日から始める大腸がん予防への一歩

閉会の挨拶を務めた消化管外科の肥田侯矢先生は、今回の講座が満席となったことへの感謝を述べるとともに「まずは検診から」と参加者の方々への検診受診を改めて促しました。そして、「今後も京都大学医学部附属病院消化管外科とKUCCIEは、市民公開講座やデジタルでの情報発信を通じ、がんに関する正しい知識を広く届ける活動を続けていく」と締めくくりました。

正しい情報を届けることが大学病院の責務, 大腸がん検診はなぜ必要か?, 5年生存率は早期なら9割、進行すると2割弱, 「京都人はもったいない」―検診受診率は4割にとどまる, 「観便」習慣を身につけ、異常があればためらわずに受診を, 大腸カメラはどんな流れで行われる? 苦しくない?, がんに対する「攻めの予防」――大腸を直接観察、同時治療も, 下剤の改良、痛みへの鎮静…検査への「不安要素」は格段に軽減, ロボット手術は何がすごい? 治療の流れと特徴, 大腸がんの3つの治療選択肢「手術」「放射線」「化学療法」, 「器用」で「目が良い」手術ロボット, どこで受診したらよいの? 知っておきたい「コツ」, 納得して治療を受けるための「セカンドオピニオン」, 正しい医療情報を得るための「選び方の基準」, 「早く見つけて、早く治す」——今日から始める大腸がん予防への一歩

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