マツダ「CX-5」の「ドア閉め音」が重厚な理由は? 開発主査に聞く

マツダの新型「CX-5」について取材していると、同モデルの開発主査を務める山口浩一郎さんから「実は、小ネタがありまして……」と興味をそそる一言が。聞けば、新型CX-5の「ワイパー」と「ドア閉め音」に面白い工夫を施したのだという。

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マツダの新型「CX-5」

新型「CX-5」開発主査が明かした「小ネタ」とは?(本稿の写真は撮影:原アキラ)

新型「CX-5」の写真を一気に見る

ワイパーの可動範囲が広い!

山口さんに新型CX-5のフロントの視界のよさについて話を聞いている時だった。「Aピラーを9mm細くして左右の見切りを改善し、さらにはワイパーアームも可能な限りスリム化して……」という話の後に、ワイパーの動き方に関する興味深い話が聞けた。

「実は、雨の日にも視界をちゃんと確保するために、今回のワイパーは、ガラスとの抵抗を測りながら、止まる位置を変えることができるシステムにしています。普通であれば、ワイパーが左右に動き過ぎてピラーに当たるのを避けるため、オフセットして止める(フロントウィンドウの左右両端に余白=拭いていない部分をあえて残す)のですが、そこで止めると拭き残しの部分が残ってしまいます。今回のワイパーは、ギリギリまで拭くようにしました」

マツダの新型「CX-5」

窓のギリギリまで攻める新型「CX-5」のワイパー。PCの画面で新旧の差を見せてもらったが、差は歴然だった

ガラスの抵抗を測りながらワイパーの動きをその都度制御し、止まる位置をギリギリまで攻めるワイパー。この技術、なかなかすごい。安全面で一切妥協しないというマツダの姿勢は、こんなところにも現れている。

マツダの新型「CX-5」

マツダの新型「CX-5」

新型CX-5開発主査の山口浩一郎さん

マツダの新型「CX-5」

ドアが「ドスン!」と閉まる理由

続いて山口さんは、新型CX-5の前席ドアを閉めてみせてから、こんな話を聞かせてくれた。

「あとは“音”です。(ドアを2回ほど開け閉めして)この『ドスンッ』というドア閉めの音は、リアドアも含めて、今回こだわったポイントです。例えば太鼓は、周りの『カツッ』という固いところと、真ん中の『ドンッ』という震えるところをわけて作ることで、いい音になりますよね。CX-5のドアも、震わせるところと硬く強くしている部分をいろいろと調整して、音質のコントロールを行いながら製作しました。別体のレインガードや補強剤などを使うことも含めたチューニングです」

確かに、CX-5のドアは欧州車のような重厚な音で閉まる。クルマ好きにとっても、満足感は高いはずだ。

マツダの新型「CX-5」

ただ、山口さんによると、「今回の新型は、シールの部分や隙間を徹底的に詰めたことで、遮音性を高めることには成功しているのですが、実は悪いことがひとつあります。ドアが閉まりにくくなってしまんです」とのこと。車内の密閉性を高めると、ドアが閉まりにくくなってしまうのだ。

ドアの閉まりにくさを解消するため、マツダでは新技術を発明(?)した。ドアが閉まる際に、エアコンを自動的に「外気導入」に切り替えて、クルマから「空気を抜く」システムだ。

具体的には、ドアが閉まることをセンサーが感知すると、自動でエアコンを外気導入ポジションにしてルーバー部分から空気を外に逃がし、ドアが閉まったらエアコンも元のポジションに戻すという作業を、その都度行なっているそうだ。

通常の外気導入だと、車内と外気をつなぐ通路内にファンがあって、それが空気を逃す抵抗になってしまうため、ドアを閉めるときにだけ空気を通す、ファンを通過しない特別なポジションまで作ったのだという。

マツダの新型「CX-5」

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ドアが閉まる際、自動でエアコンを外気導入の特殊なポジションに切り替えて、車内の空気を外に逃がす工夫を施した新型「CX-5」

ドア閉めの音が重厚で素敵だと評価される欧州車などでは、ヒンジの軸を傾けて、その重力でドアがバタンと閉まる方式を採用しているクルマが多いのだが、これだと子供が足を挟んだりする危険がある。そこでマツダは、空気を外に逃がすという新たな方法を採用したのだという。

「この技術が世界初なのかどうかと聞かれると、世界中を調べたわけではないのでわかりませんが、とにかくマツダ独自のものであることは確かです」と山口さん。これも安全性能のひとつであり、なかなか芸が細かいのだ。

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