年金から「天引き」されるのはどんな人?「自分で納める人」との違いを3つの条件で整理

次回の年金支給日は6月15日(月)

そもそも年金からの「天引き(特別徴収)」とは, 年金から天引きされる5項目と対象者の要件, ①介護保険料:65歳以上で対象年金を受けている方, ②国民健康保険料:65歳以上75歳未満で要件を満たす方, ③後期高齢者医療保険料:75歳以上、または65〜75歳で制度の対象者, ④住民税・森林環境税:65歳以上で老齢・退職事由の年金を受けている方, ⑤所得税・復興特別所得税:徴収方式が「源泉徴収」のため別系統, 逆に、年金から天引きされないのはどんな人?, ①年金の年額が「18万円」未満の方, ②年金を受ける権利に担保設定がされている方, ③受給しているのが「老齢厚生年金のみ」の方, ④介護保険料が特別徴収されていない方(国保・後期高齢者医療への波及), ⑤介護保険料との合計が「年金額の2分の1」を超える方(国保・後期高齢者医療), データで見る高齢者の生活実態:半数以上が「生活が苦しい」と回答, 額面・手取り・「天引きの対象かどうか」までセットで確認を

年金から「天引き」されるのはどんな人?「自分で納める人」との違いを3つの条件で整理

年金の支給日に通帳を見て、「思っていたより少ないな」と感じたことはないでしょうか。

額面の数字と、実際に振り込まれる金額。このふたつのあいだに小さくない差を感じている方は、少なくないはずです。

厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」によると、2026年度の標準的な夫婦の年金額は月額「23万7279円」と示されています。

そもそも年金からの「天引き(特別徴収)」とは, 年金から天引きされる5項目と対象者の要件, ①介護保険料:65歳以上で対象年金を受けている方, ②国民健康保険料:65歳以上75歳未満で要件を満たす方, ③後期高齢者医療保険料:75歳以上、または65〜75歳で制度の対象者, ④住民税・森林環境税:65歳以上で老齢・退職事由の年金を受けている方, ⑤所得税・復興特別所得税:徴収方式が「源泉徴収」のため別系統, 逆に、年金から天引きされないのはどんな人?, ①年金の年額が「18万円」未満の方, ②年金を受ける権利に担保設定がされている方, ③受給しているのが「老齢厚生年金のみ」の方, ④介護保険料が特別徴収されていない方(国保・後期高齢者医療への波及), ⑤介護保険料との合計が「年金額の2分の1」を超える方(国保・後期高齢者医療), データで見る高齢者の生活実態:半数以上が「生活が苦しい」と回答, 額面・手取り・「天引きの対象かどうか」までセットで確認を

令和8年度の年金額の例

ただしここから税金や社会保険料が「天引き(特別徴収)」されるため、実際の手取りは「月20万円〜21万3000円」程度になることが多いとされています。

では、そもそも年金から天引きされるのはどんな人なのでしょうか。

この記事では、日本年金機構のFAQに沿って、特別徴収の対象になる人・ならない人の条件を整理していきます。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

そもそも年金からの「天引き(特別徴収)」とは

「特別徴収」とは、年金から税金や保険料が自動で差し引かれる仕組みのことです。

自分で納付書を使って納める「普通徴収」と対になる言葉とも呼びます。

自治体で保険料の賦課や徴収を担当していたころにもよく耳にしてきたのは、「いつのまにか年金から引かれていた」「自分で納めるのと何が違うのか」という戸惑いの声でした。

制度の名前を聞いたことはあっても、誰が対象になるのか・どの保険料が引かれるのかまでは整理できていない、という方は多い印象です。

日本年金機構のFAQによれば、特別徴収の対象となる年金は、税金・保険料ごとに次のように示されています。

・介護保険料:「老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金」を受けている方

・住民税・森林環境税:「老齢もしくは退職を支給事由とする年金」を受けている方

また同FAQの留意事項として、「老齢もしくは退職を事由とする年金とは、老齢基礎年金もしくは旧法制度による老齢年金・退職年金を指します」と明記されています。

あわせて「老齢厚生年金は特別徴収の対象とはなりません」とも記されており、ベースとなる老齢基礎年金等から差し引かれる仕組みになっている、という整理になります。

年金から天引きされる5項目と対象者の要件

年金から特別徴収される項目は、大きく次の5つです。

・所得税・復興特別所得税

・住民税・森林環境税

・介護保険料

・国民健康保険料(74歳まで)

・後期高齢者医療保険料(75歳から)

このうち①の所得税・復興特別所得税は、厳密には国税法上の「源泉徴収」、②〜⑤は地方系の「特別徴収」と、徴収方式が二系統に分かれています。

本記事では便宜上「年金からの天引き」としてひとくくりに扱いますが、要件の参照先(所得税は国税庁、地方系は日本年金機構FAQ)が異なる点をふまえて、順に確認していきましょう

①介護保険料:65歳以上で対象年金を受けている方

介護保険料の特別徴収は、65歳以上で「老齢もしくは退職、障害または死亡を支給事由とする年金」を受けている方が対象です。

年金機構FAQでは、年間の受給額が「18万円」以上であることも条件として示されています。

この水準を下回る方は、市区町村から納付書が届いて自分で納める「普通徴収」(市区町村への納付書払い・口座振替など)に切り替わります。

②国民健康保険料:65歳以上75歳未満で要件を満たす方

国民健康保険料は、65歳以上75歳未満で年間の年金受給額が「18万円」以上の方が対象になります。

ただし、介護保険料との合計額が「支払期ごとの特別徴収対象年金額の2分の1を超える場合」は対象から外れる、という仕組みです。

かつて自治体の国保担当窓口にあたっていたころにも、「介護保険料と合わせて多くなりすぎたので、今年は自分で納めることになります」と説明する場面が何度かありました。

③後期高齢者医療保険料:75歳以上、または65〜75歳で制度の対象者

後期高齢者医療保険料は、75歳以上の方、もしくは65歳以上75歳未満で後期高齢者医療制度の対象となっている方のうち、年金額が「18万円」以上の条件を満たす方が特別徴収の対象です。

介護保険料との合計が「2分の1」を超える場合は対象外、というのは国民健康保険料と同じ仕組みです。

④住民税・森林環境税:65歳以上で老齢・退職事由の年金を受けている方

住民税および森林環境税の特別徴収は、65歳以上で「老齢もしくは退職を支給事由とする年金」を受けている方が対象です。

年金機構FAQの留意事項により、ここでいう「老齢もしくは退職を事由とする年金」とは「老齢基礎年金もしくは旧法制度による老齢年金・退職年金」を指す、とされています。

したがって、障害年金や遺族年金のみを受けている方は、住民税・森林環境税の特別徴収対象にはあたりません。

⑤所得税・復興特別所得税:徴収方式が「源泉徴収」のため別系統

所得税・復興特別所得税は、ほかの4項目とは取り扱いが少し異なります。

地方自治体が課税権者となる「特別徴収」ではなく、国税である所得税を年金機構が源泉徴収義務者として天引きする「源泉徴収」という仕組みになります。

そのため、今回参考にした日本年金機構の「特別徴収」FAQには所得税の記載がありません。

具体的な要件や差し引かれる金額は、ご自身に届く「公的年金等の源泉徴収票」や、国税庁・日本年金機構の「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」関連の案内で確認してみてください。

逆に、年金から天引きされないのはどんな人?

ここまで対象者の要件を見てきましたが、読者がいちばん気になるのは「自分は対象になるのか、ならないのか」だと思います。

日本年金機構のFAQに明記されている範囲で、特別徴収の対象とならないケースを5つに分けて整理していきましょう。

①年金の年額が「18万円」未満の方

共通要件として示されるのは、「年間の受給額が18万円以上」という水準です。

これを下回る方は特別徴収の対象とならず、市区町村から納付書が届いて自分で納める「普通徴収」(市区町村への納付書払い・口座振替など)になります。

②年金を受ける権利に担保設定がされている方

年金機構FAQには「年金を受ける権利に担保設定されている場合は、特別徴収は行われません」と明記されています。

担保設定された年金からは保険料・税金が差し引かれない、というルールです。

③受給しているのが「老齢厚生年金のみ」の方

年金機構FAQでは「老齢厚生年金は特別徴収の対象とはなりません」と記されています。

あわせて「老齢もしくは退職を事由とする年金とは、老齢基礎年金もしくは旧法制度による老齢年金・退職年金を指します」とされていることから、特別徴収のベースとなるのは老齢基礎年金等であり、老齢厚生年金単独のケースは住民税・森林環境税の年金天引き対象にはあたらない、という整理になります。

④介護保険料が特別徴収されていない方(国保・後期高齢者医療への波及)

国民健康保険料・後期高齢者医療保険料の特別徴収は、介護保険料が同じ年金から特別徴収されていることが前提となります。

そのため、年金額が「18万円」に届かないなどの理由で介護保険料が普通徴収になっている方は、国保や後期高齢者医療保険料も連動して普通徴収となります。

⑤介護保険料との合計が「年金額の2分の1」を超える方(国保・後期高齢者医療)

国民健康保険料および後期高齢者医療保険料については、介護保険料との合計が「支払期ごとの特別徴収対象年金額の2分の1」を超える場合、特別徴収の対象外となります。

保険料負担が重く、年金額の半分を超えてしまう場合には、その分を普通徴収で納める運用になる、という考え方です。

データで見る高齢者の生活実態:半数以上が「生活が苦しい」と回答

額面と手取りの差は、生活実感にも直結します。

高齢者世帯の半数以上が「生活が苦しい」と感じているというデータもあります(厚生労働省の「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」)。

そもそも年金からの「天引き(特別徴収)」とは, 年金から天引きされる5項目と対象者の要件, ①介護保険料:65歳以上で対象年金を受けている方, ②国民健康保険料:65歳以上75歳未満で要件を満たす方, ③後期高齢者医療保険料:75歳以上、または65〜75歳で制度の対象者, ④住民税・森林環境税:65歳以上で老齢・退職事由の年金を受けている方, ⑤所得税・復興特別所得税:徴収方式が「源泉徴収」のため別系統, 逆に、年金から天引きされないのはどんな人?, ①年金の年額が「18万円」未満の方, ②年金を受ける権利に担保設定がされている方, ③受給しているのが「老齢厚生年金のみ」の方, ④介護保険料が特別徴収されていない方(国保・後期高齢者医療への波及), ⑤介護保険料との合計が「年金額の2分の1」を超える方(国保・後期高齢者医療), データで見る高齢者の生活実態:半数以上が「生活が苦しい」と回答, 額面・手取り・「天引きの対象かどうか」までセットで確認を

高齢者の生活意識

・大変苦しい:25.2%

・やや苦しい:30.6%

・普通:40.1%

・ややゆとりがある:3.6%

・大変ゆとりがある:0.6%

年金額そのものは制度の改定で見直されるものの、税金・保険料の天引きを含めた「手取り」の感覚は、数字以上に重く受け止められているということでしょう。

額面・手取り・「天引きの対象かどうか」までセットで確認を

年金からの特別徴収は、年齢・年金額・受けている年金の種類によって対象者が決まる、という仕組みでした。

2026年度の夫婦の標準的な年金額「23万7279円」を出発点に、税金や保険料が引かれた後の「手取り」を意識しておくことは、老後の家計を組み立てるうえで欠かせない視点です。

ご自身が対象になるかどうかは、まずお住まいの市区町村から届く納税通知書や、日本年金機構から送られてくる「公的年金等の源泉徴収票」を確認してみてください。

「自分は対象外で自分で納める必要があるのか」「自動で引かれているならその金額はいくらか」を整理しておくことで、家計の見通しはずいぶんクリアになるはずです。

参考資料

・日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」

・厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」

・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」

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