【どっちが買い?】Apple Watchと「Google Pixel Watch 4」を比べて良いところを検証

Geminiを搭載するスマートウォッチ「Google Pixel Watch 4」の実機をレポートします
グーグルが最新のスマートウォッチ「Google Pixel Watch 4」を今日9日に発売します。機能性を増したデザイン、長持ちするバッテリー、そしてAIアシスタントGeminiの搭載など注目すべき進化を実機でレポートします。
スマートウォッチとして洗練されたデザイン
今年のPixel Watchも45mmと41mmの2サイズ展開です。筆者は今回、大きい方の45mmのモデルを試用しています。カラーバリエーションはホワイト系のポーセレン。ケースは光沢加工を施した航空宇宙産業レベルのアルミニウムで、色はシルバーです。

45mmのケースは光沢加工のアルミニウム製

リューズとサイドボタンを搭載。付属する充電器の形状がまた新しく変わりました
前世代のPixel Watch 3からディスプレイが大きく変わりました。新しいActua 360ドーム型ディスプレイは“水の表面張力”から発想を得て、表面が緩やかに湾曲した形状になっています。カバーガラスとOLEDディスプレイの両方を湾曲させて、表示領域を10パーセント拡大しました。ディスプレイを横からのぞき込むと、時刻表示やアイコンが少し斜めに正面を向いているように感じられます。

左がWatch 4。右のWatch 3に比べると画面が緩やかにカーブした形状であることがわかります
ディスプレイのピーク輝度性能も2000ニトから3000ニトに上がり、明るい屋外でも良好な視認性が得られます。反対に「明るさの自動調節」をオンにすると、ウォッチを着けて暗い場所に移動したときに1ニトまで明るさを下げて、ディスプレイが消費する電力を抑えます。

屋外で撮影。右側のWatch 4の方がピーク輝度性能が1000ニト上がって、明るい場所で画面が見やすくなりました
ケースを含むウォッチ本体の厚みは0.4mm前後、新しいPixel Watch 4の方が厚くなっていました。だからと言って装着感が大きく変わる印象はありません。
新ユーザーインターフェースの「Material 3 Expressive」により、画面を下にスワイプして表示するクイック設定パネルや、画面の左右スワイプで切り替えるタイルの画面が見やすくなり、操作性もアップしています。新しいウォッチフェイスも追加されました。

カラフルでアイコンのサイズも大きくなった新しい「Material 3 Expressive」デザインを採用。旧機種にもロールアウトを予定しています
フル充電から40時間前後バッテリーが持つ
SoCはクアルコムがウェアラブルデバイス向けに開発するSnapdragon W5 Gen 2にアップデートされています。前世代のモデルはW5 Gen 1でした。省電力動作の制御、AI機械学習処理などを主に担うArmのIoT向けマイクロコントローラーは、Cortex-M33から新しいCortex-M55に強化されています。
高効率なチップセットと、リフレッシュレートを1Hzから最大60Hzまで可変させるActua 360ドーム型ディスプレイ、そして大型バッテリーを載せたことで、1度のフル充電から続けて駆動できる時間が大幅に伸びています。
同じ45mmのモデルを比べると、常に表示状態のディスプレイでWatch 3は最大24時間使用可能でしたが、Watch 4は公称スペックで最大40時間までバッテリーが持ちます。筆者も実機で試しましたが、フル充電の状態から1日半ぐらいはバッテリーの残量を気にせずに使えました。

Watch 4はバッテリーの持ちがとても良くなった印象を受けます。バッテリーセーバーモードを併用すれば、フル充電の状態から丸2日間は追加のチャージが不要でした
残量がピンチになった時は、バッテリーセーバーモードが併用できます。そして高速充電に対応する専用の充電器は、15分のチャージで15時間ぶんのバッテリーを満たせます。Pixel Watch 4は充電器がWatch 3から変わり、前機種の充電器は使えません。
自動アクティビティ検知に対応はしているが……
Pixel Watchのアクティビティトラッキングの機能は、Fitbitアプリと連携して動作します。ワークアウトを行なう時に役立つ、自動アクティビティ検知が最新のWatch 4で使いやすくなったようなので、試してみました。
グーグルの説明によると、自動アクティビティ検知が対応する種目はランニング/ウォーキング/サイクリング/フィットネスバイク/エリプティカル/ローイングマシンなどで、ワークアウトを始めてから15分後に自動計測が始まり、終了後1時間の間に記録を止め忘れていると通知が届きます。筆者もランニングとウォーキングで試しましたが、だいたいグーグルの説明通りでした。

Fitbitアプリがワークアウトを自動検知して、記録の開始・終了を提案してくれます

ワークアウトの終了検知が約1時間後と少し長めに設定されていることが気になりました
筆者はふだんApple Watchを使っているので、自動アクティビティ検知の開始と終了がもう少し早いタイミングで来てほしいと感じました。Apple Watchならば5~10分後ぐらいに「これ、記録に付けとこうか?」と通知してくれます。
たとえば、駅まで10分間のウォーキングもワークアウトとして記録できるので、筆者のように、普段はソフトなワークアウトしかしていないスマートウォッチユーザーの励みになります。計測の終了の通知もApple Watchは数分以内に飛んできます。
Fitbitアプリの設定項目を探してみても、自動アクティビティ検知のタイミングを調整できる項目は見当たりません。グーグルの機能紹介によると、ユーザーが使い込みながらフィードバックを返すほどにアクティビティ通知の精度が高まるそうです。Pixel Watch 4を長く使用するとまた印象が変わるかもしれません。

Pixel Watch上でのアクティビティ記録を忘れてしまっても、Fitbitアプリが忘れていたアクティビティの記録を後から残せるように提案してくれるところが、アップル側にはないグーグル側の良いところです
睡眠トラッキングをApple Watchと比べた
Pixel Watch 4による睡眠トラッキングも、Apple Watch Series 11と比較してみました。
計測完了後のデータをFitbitアプリと、iOSのヘルスケアアプリで比べてみました。睡眠の深さを示すグラフは両者の間に大きなズレはなく、ほぼ同じ形です。眠った「長さ」は日によってそれぞれのウォッチの結果にバラツキが生じました。左右の手首に1台ずつ装着して眠っていたので、装着状態などによる影響を受けたのかもしれません。

Pixel Watch 4による睡眠トラッキングの記録

Apple Watch Series 11による睡眠トラッキングの記録
睡眠中の身体の動きと心拍変動から導き出す「睡眠スコア」はPixel WatchとApple Watch、どちらのウォッチでも計測可能です。ただし、指標が異なっています。
Pixel Watchは睡眠時間が50点満点、睡眠ステージの時間(深い睡眠とレム睡眠)が25点満点、そして回復が25点満点です。

Pixel Watch 4による睡眠クオリティの評価。採点の指標がApple Watchと少し異なっています
回復とは「ユーザーの身体がどれだけ回復できているか=その日の活動に適しているか」を数値化して示すFitbitアプリ独自の指標です。Fitbitアプリには、Pixel Watchで計測した回復のバランスを「今日のエナジースコア」として、1~100の範囲の点数を提示してくれる機能もあります。
睡眠や心拍の記録の読み方をFitibitなりに解釈したユニークな機能ですが、筆者のまわりではヨガやピラティスを日々実践している方に好評、あるいは注目されています。睡眠スコアが健康状態を観察するための機能だとすれば、エナジースコアは健康状態の維持・増進に役立つ指標として、これを求める方々に刺さっているようです。

筆者の周りでもヨガやピラティスを実践されている方々に人気が高い「今日のエナジースコア」。回復後、今日のワークアウトでどれぐらいのパフォーマンスを発揮できるか知りたい時によい目安になるそうです
話題を睡眠スコアの計測に戻します。Apple Watchの睡眠スコアは少し見せ方がPixel Watchと異なっています。睡眠時間が50点満点、就寝時刻が30点満点、そして睡眠の中断が20点満点という内訳です。

こちらがApple Watch Series 11で記録した睡眠スコア
Apple Watchの場合、ヘルスケアアプリ上で睡眠スコアの変質を継続的に観測したり、睡眠のデータを心拍数・呼吸数・手首皮膚温の記録とクロスさせて、睡眠時無呼吸症候群の傾向を「呼吸の乱れ」のデータと照らし合わせて確認することなどもできます。

呼吸数・手首皮膚温の記録と一緒に見ながら身体の状態を管理できます
アップルはヘルスケアアプリに記録したデータに余計な脚色をせず、ユーザーに提示することを以前から徹底しています。watchOS 26の睡眠スコアでトラッキングの記録を“採点”したことは、ある意味で画期的な変化でした。
一方、グーグルのFitbitアプリも基本的には記録したデータをそのままユーザーに見せていますが、たとえば睡眠トラッキングのデータには「ベンチマーク」という機能が付きます。「ユーザーと同様の人の通常範囲」という指標を提示することで、ユーザーの睡眠クオリティの良し悪しを他人と比較して見ることができます。

睡眠トラッキングの記録から「ベンチマーク」を選択すると、「ユーザーと同様の人の通常範囲」が参照できます
それぞれのウォッチによるアクティビティや睡眠の計測データの見え方については好みが分かれるかもしれませんが、Fitbitアプリの方が「今日のエナジースコア」をはじめ、ユーザーが楽しみながら結果を確認し、計測を継続できるように「世話を焼いてくれる」ところに特徴があると感じます。
Geminiを積極的に使いたくなるレスポンスの心地よさ
Pixel Watch 4はWear OS版Geminiを搭載するスマートウォッチです。4G LTE、あるいはWi-Fi経由でネットワークにつながっている時にはウォッチ単体でGeminiを呼び出して、情報の検索、リマインダーの設定、届いたGmailの内容確認、フィットネス機能の音声操作などさまざまな使い方ができます。

Wear OS版のGeminiを搭載。クアルコムの最新SoCとArmのコプロセッサCortex-M55による機敏な動作を実現しています
ウォッチのGeminiを呼び出す方法はいくつかあります。一番シンプルなのは右側のサイドボタンを長押しする方法です。頻繁にGeminiにリクエストすることが決まっていれば、タイルから「Geminiアクションを追加」してクエリに登録すると、ウォッチのGeminiに話しかけなくても画面タップだけで呼び出して答えを聞くこともできます。

クエリに登録するとタップ操作だけでいつものGeminiへのリクエストが素速く呼び出せます
ウォッチを装着している手首を上げて、口もとに近づけるジェスチャー操作だけでGeminiを呼び出すこともできます。ジェスチャー操作を認識する感度はウォッチの設定から変えられます。
実際に使ってみると、手首を上げて反応してくれないとイラッとくるし、逆に反応が鋭すぎると用もないのにGeminiを呼び出してしまいます。結局はサイドボタンを押すか、従来通り「OK Google」と話しかけて呼び出す使い方が筆者にはしっくりときました。

手首を持ち上げてGeminiを起動することもできますが、反応の鋭さをどのように設定するかが悩み所でした
実機で試すと、ボタン操作等から呼び出した直後のGeminiのレスポンスがとても良いことに驚きます。リクエストを伝えてから回答が戻るまでの反応も良好です。ポケットからスマホを取り出さなくても、テクニカルタームや英単語の検索、電車やバスによる移動ルートを調べる用途などに役立ちました。

電車による移動ルートの検索などに活用しやすいでしょう
Apple Watchに負けない便利なアプリも揃う
ほか、筆者がApple Watchでよく使うアプリは、Pixel Watch 4にもほぼ同じ使い方ができるものがあります。「心電図」=「Fitbit心電図」、「マインドフルネス」=「Fitbit Relax」などです。
「Keep メモ」はPixel Watch 4から音声、またはソフトウェアキーボードを使ってメモを作成して、Googleアカウントで共有しながら内容を参照したり追記もできます。Apple WatchもwatchOS 26から「メモ」アプリが登場しましたが、作成したメモに追記ができません。こちらはPixel Watch 4の方に軍配が上がります。

Pixel Watch 4から入力したメモを、Googleアカウントを介して様々なデバイスで参照・追記できる「Keep メモ」がとても便利
ライターの仕事に不可欠なPixelスマートフォンの「レコーダー」もウォッチに最適化されたアプリが標準搭載されています。Googleアカウントを経由して、ウォッチで録音したファイルが即座にスマホのレコーダーアプリに同期します。ウォッチ単体でできるのは録音まで。スマホで文字起こしを生成もできますが、“後から生成”すると精度がかなり落ちるので実用的ではありません。
音声レコーダー機能の使い勝手がさらに良くなれば、Pixel Watchの優れた携帯性とあいまって、ビジネスツールとしての価値が向上します。グーグルにはぜひ改善に注力してほしいです。

音声レコーダーもさらに強化してほしいウォッチのアプリです
Google Pixel Watch 4は、優れたスマートウォッチとして評価できます。しかし現状は対応しているスマホがAndroid 11以降のAndroidスマホのみです。日本で高いシェアを持つiPhoneとペアリングできない点は、大きな課題だと筆者は思います。
現状、Apple WatchもAndroidデバイスに対応していないことから状況は「五分」と言えますが、追いかける立場にあるPixel Watchが、この壁を超えて積極的にiPhone対応を実現すれば、スマートウォッチ市場全体の競争軸が変わり、市場を活性化してくれるのではないかと筆者は期待しています。
筆者紹介――山本 敦
オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。