唐田えりかが中学生のとき数学の時間に言われた「忘れられない一言」
女優の唐田えりかさんには、0歳からの幼馴染がいるといいます。
連載『面影』第3回では「いつも隠してくれ、叱ってくれた」という幼馴染について。一緒に育っていくなかで「自分だけが子供のままだ」と感じたときのこと、大人になってからのこと。
誰もが記憶にある子供の頃の盆踊り、餅つき大会、長い通学路——手を取り合い、肩を組んで生きる存在のあたたかさを綴ります。
撮影は第2回に引き続き、写真家の濱田英明さん。唐田さんが高校時代にバイトをしていたというマザー牧場で撮影しました。
同じ杵で餅をついた
私には幼馴染であり親友ともいえる人物が二人いる。かっちゃんと、やーまん。今回は、出会った順から、かっちゃんのことを語らせていただきたい。
かっちゃんとは、0歳から一緒だ。
徒歩1分圏内の超ご近所で、おままごとも、シルバニアファミリー遊びも、秘密基地も、あらゆる遊びを一緒にした。七夕のときには一緒に竹を刈って短冊にお願いごとを書き、夏まつりでは法被を着て同じ太鼓をたたき、餅つき大会では同じ杵で餅をついた。かるた大会のためにチームを組んで練習し、県大会までいったこともあった。
時には隠してくれ、時には叱ってくれた
かっちゃんは、超がつくほどの真面目で、秀才だった。
どんなときもふざけてしまう私を、時には隠してくれ、時には叱ってくれた。「なんでそんなにうるさいの!」「いたずらばっかして!」と、やれやれと呆れながらも、いつもどこか楽しんでくれていた気がする。
小学校までは徒歩40分ほどかかる。小学生にしては長い道のりを、ランドセルを背負って毎日一緒に通った。朝待ち合わせの場所に時間通りに来ない私を見越して、かっちゃんは、先に行ってるよ。という日には、大きい石を印に置いて知らせてくれた。

かっちゃんはとても綺麗な顔立ちをしている。中学に上がるとき、別の小学校だった男の子に「かっちゃんはハーフなんだよ」と、いたずら心と親友が綺麗なことが誇らしくドヤ顔で話したらたちまち噂が広まってしまい、かっちゃんに「えり! また、でたらめ言ったでしょー!」と叱られもした。きっといまだに、かっちゃんがハーフだと思い込んでる人はいると思う。

「いつの間にか大人になっている」
中学に上がって数学の方程式を沢山学び始めたとき、そもそも方程式はどうやって生まれたものなのか意味と理由に囚われてしまい、方程式が解けなくなって何時間も考えこんでしまったことがある。そのとき、かっちゃんに「考えなくていいことは考えない。決まってるものは決まってるの」と、当然のことを言われた。
14歳の私は、その発言で一気にかっちゃんと自分の差を感じた。
「あれ、0歳から一緒のかっちゃんがいつからか自分よりも大人になっている」と。
かっちゃんの好きなものも、嫌いなものを克服したものも、全部わかってるはずなのに。かっちゃんは、いつそんな視点を持ったのだろうかと。
たしかにかっちゃんは昔から大人びていたけれど、子供のままで止まってしまってる自分がなんだか情けなくなった。
そしてそれと同時に、やっぱりかっちゃんが誇らしかった。

高校で私たちは別々になった。
それでも頻繁に会い、会った瞬間から別れる瞬間まで腹を抱えて笑っていた。

毎年恒例の年越し。初日の出を迎えた空とかっちゃん/撮影:唐田えりか
後編「唐田えりかが振り返る『休業期間中に幼馴染にかけた一本の電話』」では、大学生になったかっちゃんと芸能活動を本格的に始めた唐田さんの、上京後の二人の時間がつづられます。