闇深きハリウッドのスキャンダルと、再起を図ったスターたち
セレブたちの光と影

光彩陸離たるものがあるハリウッドだが、そこには闇も渦巻いている。過去にスキャンダルで評判を落としたことのあるスターたちを紹介しよう。
エディ・マーフィー

1997年、すでに妻子のある身だったマーフィーは、サンタモニカ警察によって車を停められる事態に至った。トランスジェンダーの“夜の女”を拾うところを見咎められたのである。困っていたみたいだから力になろうとしただけ、とマーフィーは頑張るも、拾われた女性はまた別の言い分を持っていた。自分の差し出すサービスの見返りにマーフィーは200ドルを提示したというのだ。
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『ドクター・ドリトル』は大成功

エディ・マーフィーは大スターの一人であったが、この軽率なふるまいが彼のキャリアを致命的に損なうまでにはいたらなかった。その証拠に、彼の次の主演作となった『ドクター・ドリトル』は商業的に大きな成功をおさめている。
ロバート・ダウニー・ジュニア

1996年、ロバート・ダウニー・ジュニアはクラスA(ヘロイン、モルヒネ、コカインなど)の薬物所持と、弾丸の込められていない銃の所持で逮捕された。その後もちょっとしたことがあった。『ロサンゼルス・タイムズ』紙によると、しこたま酔っ払って目が覚めてみると、隣人宅の子供用ベッドに収まっていたという。撮影現場でも問題を起こしがちで、ハリウッドはしびれをきらしつつあった。
信頼を取り戻す

ハリウッドが彼をふたたび信頼していいような気になるまでは数年を要した。プロデューサーのジョエル・シルバーは用心のため、映画『ゴシカ』(2003年)の出演料としてダウニー・ジュニアが受けとる報酬の40%を、映画の完成を待ってから俳優にわたすことにしたという。とはいえ、『キスキス,バンバン』(2005年)あたりになると、彼がきわめて優れた俳優であることにハリウッドとしても改めて気づかないわけにはいかなかった。そして「アイアン・マン」のお出ましとともに、ロバート・ダウニー・ジュニアは押しも押されもせぬ大スターになったのだ。
メル・ギブソン

メル・ギブソンは2006年に飲酒運転で逮捕されたが、なにしろ逮捕時の言動がひどかった。『ロサンゼルス・タイム』紙によれば、ユダヤ人を口汚くののしり、反ユダヤ主義的主張を並べ、居合わせた女性警察官を「おしゃぶり」呼ばわりしたという。
悪役に活路?

ギブソンのキャリアはそれから低迷を余儀なくされたが、開き直って、というべきか、あえて悪役を演じることでそれなりの活路をひらいたといえる。ここで念頭に置いているのは、『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』や『マチェーテ・キルズ』。はまり役と形容すると、本人は気を悪くするかもしれないが。
ヒュー・グラント

ヒュー・グラントのスキャンダルは、1995年のことである。『ガーディアン』紙によると、ロサンゼルスの路上に駐めた車のなかで、“夜の女”からサービスを受けていたところを逮捕された。当時ヒュー・グラントは、女優でモデルのエリザベス・ハーレイと交際していた。
ロマンティック・コメディ映画はその後も量産

とはいえ、ハリウッドはこのスキャンダルをすぐに水に流したようで、ヒュー・グラントを主演に据えたロマンティック・コメディ映画はその後も相変わらず世に送り出されていった。『パディントン2』(2017年)のあたりからは悪役としても評価されており、最近では『異端者の家』(2024年)で不気味な演技力を見せている。
リンジー・ローハン

10代のころスターだったリンジー・ローハンは、依存症などのトラブルや度重なる逮捕などで、気がついたときにはすっかりレールから脱線していた。ハリウッドからもそうそうに見切りをつけられたようだ。度しがたい不良少女、というわけである。
新作に期待?

その後の彼女は、いくつかの映画のあまりぱっとしない役でその姿を見せているが、一度逸れてしまった道にふたたび戻ることはかなわずにいるようだ。あるいは新作『シャッフル・フライデー』(2025年)が大きな転機となるだろうか? ともあれ、ここ最近のリンジー・ローハンはいかにも健康で幸せそうな様子である。それはなによりなことである。
ウィノナ・ライダー

ウィノナ・ライダーは2001年、ビバリーヒルズの高級デパートで衣類を万引きしたとして逮捕された。そこには酌むべき事情があったが、あえてそれを酌もうとする人々はあまりに少なかったようだ。スターの輝きは失われ、ハリウッドは彼女を冷たく遇した。
ようやくカムバック

そんななか、少なくともアダム・サンドラーは助力を惜しまなかったといえる。自身が製作総指揮をつとめ、かつ主演する『Mr.ディーズ』の相手役としてウィノナ・ライダーを抜擢したからだ。しかし業界は総じて言えば、冷たい態度を崩さなかったと、ネットメディア「ハフポスト」は振り返っている。『ビートルジュース ビートルジュース』(2024年)やNetflixドラマシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』(2016年~ )を待ってようやく、ライダーのカムバックは決定的となった。
ウディ・アレン

ウディ・アレンは目下のところ、米国で映画を作れないような状況にある。誰もお金を出したがらないのだ。2017年の「#MeToo」運動の盛り上がりと軌を一にして、養女ディラン・ファローへの性的虐待疑惑という過去の一件が蒸しかえされ、このような状況が生まれてしまった。映画『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』も米国では上映中止になってしまう。
さよなら、さよならハリウッド

というわけで、その後のウディ・アレン作品は米国の外で作られている。『サン・セバスチャンへ、ようこそ』(2020年)はスペインで、『Coup de chance』(2023年)はフランスで。『ニューヨーク・タイムズ』紙が論じているように、『Coup de chance』はアレンにとって記念すべき50本目の監督作である。2023年9月にベネチア国際映画祭でプレミア上映され、7分間におよぶスタンディング・オベーションが続いたが、外では抗議の声が上がっていたという。
ロマン・ポランスキー

ロマン・ポランスキーは1977年、13歳の少女に性的暴行を加えた罪に問われ、みずから罪を認めるも、50年の懲役刑を科されそうだと聞き及び、判決が下る前に米国を逃亡した。
欧州を拠点に活動

ポランスキーはその後、欧州を拠点に『戦場のピアニスト』など注目すべき作品を作ってきたが、ハリウッドの大作を手がけることはかなわなかった。米国に行けば身柄を拘束されること必定だからである。
ケヴィン・スペイシー

ケヴィン・スペイシーもまた、2017年の「#MeToo」運動のおりに槍玉にあがった著名人の一人である。かつてスペイシーから性的暴行を受けた、という告発をある俳優が行ったのだ。そのことでスペイシーはゲイをカミングアウトすることにもなった。また、同様の告発が他にも多くの男性からなされ、スペイシーはハリウッドを追放された。
破産寸前もカムバック?

その後いくつかの裁判があり、いずれのケースでもスペイシーの無罪が認められることになる。だが、弁護士費用などがかさみスペイシーは破産寸前まで追い込まれたようだ。2025年5月、スペイシーはカンヌ国際映画祭にあわせて現地で開かれた慈善基金団体のイベントで生涯功労賞を受けた。同映画祭ではスペイシーが出演する映画『The Awakening』の配給権が売りに出されたが、こちらはバイヤーの生ぬるい反応しか得られなかったと『バラエティ』誌は伝えている。
写真:Piers Morgan Uncensored