【70歳代】いまどきシニアの「平均貯蓄額・中央値」はいくら?「みんなの平均年金月額・無職夫婦世帯の生活費」から「老後に向けた備え」を考える
- 【70歳代・二人以上世帯】平均貯蓄額・中央値はいくら?
- 【70歳代・単身世帯】「おひとりさま」の平均貯蓄額・中央値はいくら?
- 【厚生年金の平均年金月額】みんなは年金、いくらもらってる?
- 厚生年金の平均年金月額はいくら?
- 【国民年金の平均年金月額】みんなは年金、いくらもらってる?
- 国民年金の平均年金月額はいくら?
- 【65歳以上・夫婦のみの無職世帯】老後の「ひと月の家計収支」はどうなってる?
- 【65歳以上・夫婦のみの無職世帯】平均収入:25万2818円
- 【65歳以上・夫婦のみの無職世帯】平均支出:28万6877円
- 【65歳以上・夫婦のみの無職世帯】平均的な家計収支
- どのくらいの貯蓄が必要?
- 資産運用で老後のゆとりを増やすのも一案

【70歳代】いまどきシニアの「平均貯蓄額・中央値」はいくら?「みんなの平均年金月額・無職夫婦世帯の生活費」から「老後に向けた備え」を考える
10月下旬となり、朝晩の冷え込みが増してきました。秋も深まり、過ごしやすい季節は家計を見直す絶好のタイミングです。
人生100年時代といわれる中、老後の生活資金に不安を抱く人は少なくありません。特に「年金だけで生活できるのか」という漠然とした不安は、多くの人に共通する悩みです。
では、実際のシニア世代はどれほどの貯蓄や年金を持ち、どのような家計状況で暮らしているのでしょうか。
本稿では、最新の公的データをもとに、70歳代の貯蓄や年金、高齢夫婦世帯の平均的な家計状況を整理します。老後設計を考える第一歩は、客観的な数値を知ることから始めてみましょう。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
【70歳代・二人以上世帯】平均貯蓄額・中央値はいくら?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」をもとに、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)を確認していきましょう。
※なお、これから確認する金融資産保有額には、預貯金以外に株式や投資信託、生命保険なども含まれます。また、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

70歳代・二人以上世帯の貯蓄額
70歳代・二人以上の世帯における平均貯蓄額は1923万円となっていますが、これは一部の高額貯蓄世帯が全体の平均を押し上げているため、実態より高めに見える可能性があります。
実態に近い中央値で見ると、貯蓄額は800万円にまで下がっており、多くの世帯がこの水準付近に分布していることがうかがえます。
最も多いのは、金融資産をまったく持たない「貯蓄ゼロ」の世帯で、全体の20.8%を占めています。
一方、3000万円以上の貯蓄がある世帯も約19.0%とほぼ同程度あり、その差が大きいことがわかります。
【70歳代・単身世帯】「おひとりさま」の平均貯蓄額・中央値はいくら?
単身世帯の貯蓄額も見てみましょう。

70歳代・単身世帯の貯蓄額
単身世帯の貯蓄平均値は1634万円です。支出が一人分で済むことを考えると、二人以上世帯の平均1923万円との差は意外に小さい印象もあります。
金融資産非保有世帯は27.0%おり、貯蓄額500万円未満の世帯が半分近くを占めます。一方で3000万円を超える世帯も15%強いるなど、世帯によって貯蓄額には大きなばらつきがあるのが特徴です。
【厚生年金の平均年金月額】みんなは年金、いくらもらってる?
ここからは、厚生労働省年金局の「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、厚生年金の平均年金月額を確認しましょう。

《2024年12月公表:最新版》厚生年金「平均年金月額&月額階級別受給権者」
厚生年金の被保険者は、第1号から第4号までに分類されています(※)。
ここでは、民間企業などに勤務していた方が対象となる「厚生年金保険(第1号)」の年金月額に焦点を当てて紹介します。
※記事内で紹介する厚生年金保険(第1号)の年金月額には国民年金の月額部分も含まれています。
厚生年金の平均年金月額はいくら?
・〈全体〉平均年金月額:14万6429円
・〈男性〉平均年金月額:16万6606円
・〈女性〉平均年金月額:10万7200円
【国民年金の平均年金月額】みんなは年金、いくらもらってる?
続いて、厚生年金の加入期間がなかった人が受け取る国民年金(老齢基礎年金)の月額についても見ていきましょう。

《2024年12月公表:最新版》国民年金「平均年金月額&月額階級別受給権者」
国民年金の平均年金月額はいくら?
・〈全体〉平均年金月額:5万7584円
・〈男性〉平均年金月額:5万9965円
・〈女性〉平均年金月額:5万5777円
「厚生年金の男性平均月額を受給する夫」と「国民年金の女性平均月額を受給する妻」の夫婦世帯では、2人分の年金収入は月額22万2383円となります。
この月約22万円の年金収入で、シニア夫婦の生活を十分に支えられるかが気になるところでしょう。
【65歳以上・夫婦のみの無職世帯】老後の「ひと月の家計収支」はどうなってる?

65歳以上の夫婦のみの無職世帯の家計収支(2024年)
【65歳以上・夫婦のみの無職世帯】平均収入:25万2818円
■うち社会保障給付(主に年金):22万5182円
【65歳以上・夫婦のみの無職世帯】平均支出:28万6877円
■うち消費支出:25万6521円
・食料:7万6352円
・住居:1万6432円
・光熱・水道:2万1919円
・家具・家事用品:1万2265円
・被服及び履物:5590円
・保健医療:1万8383円
・交通・通信:2万7768円
・教育:0円
・教養娯楽:2万5377円
・その他の消費支出:5万2433円
■うち非消費支出:3万356円
・直接税:1万1162円
・社会保険料:1万9171円
【65歳以上・夫婦のみの無職世帯】平均的な家計収支
・ひと月の赤字:3万4058円
・エンゲル係数(※消費支出に占める食料費の割合):29.8%
・平均消費性向(※可処分所得に対する消費支出の割合):115.3%
65歳以上の夫婦世帯の家計状況を詳しく見てみると、毎月の収入は25万2818円で、そのほとんどが公的年金などの社会保障給付によるものです。
一方で、毎月の支出は28万6877円に上り、内訳としては日常生活にかかる消費支出が25万6521円、税や社会保険料といった非消費支出が3万356円です。
注目すべきは、エンゲル係数が29.8%と比較的高い水準にある点です。
エンゲル係数は、消費支出の中で食費が占める割合を示しており、数値が高いほど生活に余裕がない傾向にあるとされています。
65歳以上の世帯では、食費が生活費の中で大きな割合を占めていることがわかります。
また、平均消費性向が115.3%と100%を上回っており、収入を超える支出が発生している状態、つまり毎月赤字の家計となっています。
その不足額は月に3万4058円で、これを貯蓄の取り崩しによって補っている状況です。
どのくらいの貯蓄が必要?
毎月の赤字を貯蓄を取り崩して賄う場合、どのくらいの資産を形成しておく必要があるか考えてみましょう。仮に95歳まで30年間生きるとすると、およそ30年間で1226万円取り崩す形となります。
自分たちの介護費用も賄う予定の方は、さらに多くの貯蓄が必要です。介護費用を子ども世代が負担するのか、自分で賄うのかは事前に親族間でよく相談しておきましょう。
公益財団法人「生命保険文化センター」によると、一人あたりの介護にかかる費用の平均値は次のとおりです。
・一時金の平均額:47万2000円
・月々の費用は9万円
・一人の平均的な介護期間:55か月
以上をふまえると、1人あたりの総介護費用は平均約542万円、二人合わせると約1084万円です。
貯蓄の取り崩しと介護費用を合計すると、平均で2300万円程度が目安となります。
資産運用で老後のゆとりを増やすのも一案
老後の資産形成が大変だと感じる方は、新NISAなどで資産運用を行って、老後のゆとりを増やすのも一つの方法です。
2024年に制度が拡充された新NISAは、本来投資収益にかかる税金20.315%が非課税となる制度です。投資元本ベースで1800万円まで適用できるため、活用すれば効率よく資産を増やしていけます。

NISAの基本的な特徴
現役世代のうちは、上場株や株に投資する投資信託に余剰資金を投資して、積極的に資産を増やしていくのがよいでしょう。
一方で、老後世代に入ったからといって、必ずしも全額を現預金にする必要はありません。投資信託の中には、債券など相対的にリスクの低い資産に投資する銘柄や、幅広い資産に分散投資する銘柄もあります。
当面使用しない余剰資金は、このような相対的に安定性の高い投資信託に投資して、資産の取り崩しペースを遅らせるのも一つの方法です。
一生涯にわたって投資をうまく活用して、ゆとりのある老後生活を実現させましょう。
まとめにかえて
ここまで70歳代の貯蓄額に焦点を当て、老後のお金について詳しく見てきました。
70歳代の二人以上世帯では、平均は1923万円と高く見えますが、中央値は800万円にとどまり、実態は大きな格差があることが分かります。
さらに、約2割の世帯は金融資産を全く保有していない一方で、3000万円以上の資産を持つ世帯も約19%。この二極化は、現役時代の収入や退職金の有無、住宅ローンの残債などによって左右されます。
老後の生活を安心して送るためには、平均値だけでなく、自分のライフスタイルや支出を踏まえて資金計画を立てることが大切です。必要に応じて、年金や資産運用、就労など複数の選択肢を組み合わせ、長寿時代に備えることが求められます。
参考資料
・公益財団法人「生命保険文化センター」
・金融庁「NISAのポイント」
・厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」
・厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
・J-FLEC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」
・厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
・総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
・厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」