試着した服が「似合わない」と落ち込んでいると…販売員の優しい言葉と配慮が「すごくいい話」と話題【漫画】

ぼのこさんの『試着後、恥ずかしすぎて泣いてしまった話』が話題
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、ぼのこさんのエッセイ漫画『アパレる』から「試着後、恥ずかしすぎて泣いてしまった話」をピックアップ。
2026年1月31日に作者・ぼのこさんが本作をX(旧Twitter)に投稿すると、2.8万以上の“いいね”とともに「すごくいい話」「優しくて平和な漫画」などの声が多く寄せられ反響を集めた。この記事ではぼのこさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
服装で変わりたい!でも接客されるのが苦手…販売員の“優しい配慮”に反響

『アパレる』第40話「試着後、恥ずかしすぎて泣いてしまった話」より
『アパレる』は、作者・ぼのこさんがアパレルの販売員だったときの接客体験を元に描かれ、SNSで連載中のエッセイ漫画。今回X(旧Twitter)に投稿されたのは、本作の第40話だ。
31歳の富和(フワ)夢子は、学生の頃からずっとかわいいものが大好き。しかし自分の「好き」を追い求め続けた結果、メイクも服装も若いときのまま気付けば30を過ぎていた。「そろそろ年齢に見合う服を着たい」「変わりたい」と思い、夢子は久しぶりに百貨店を訪れる。
店員から接客されることが極端に苦手な夢子だったが、運良く今日は接客されず、かわいいトップスを見つける。「これにしよう」と意を決して店員・春子に声をかけると「こちらご試着はなさいますか?」と尋ねられる。勇気を出して試着してみるものの、自分が思っていたよりも「全然似合わない」。そんな中、春子から「試着した姿を見せてほしい」と言われ、しぶしぶ姿を見せる夢子。しかし偶然にも春子も同じトップスを着用していて、恥ずかしさから夢子は何も言えなくなってしまう。
その様子を見て、春子は夢子が持っている鞄についていたキーホルダーからアニメの話題を振る。そこから、夢子が好きなアニメキャラを意識したコーディネートをしていることに気づいた春子は、「おしゃれへのこだわりを感じます!」と言葉をかける。春子の予想外の言葉と優しい配慮に、夢子は思わず涙をこぼして…。
店員・春子と出会った夢子が試着をとおして心を通わせていくエピソードを描いた漫画に、読者からは「優しくて平和」「読むたびに涙が出そう」「心に寄り添う姿勢の大事さがわかる」「シゴデキ!」「すごくいい話」「気の合う店員さんと出会えてよかったね」など共感の声が多く寄せられ、話題となっている。
「接客が“その方にとって特別な時間になり得る”ことを伝えたい」作者・ぼのこさんが語る創作の背景とこだわり

『アパレる』第40話「試着後、恥ずかしすぎて泣いてしまった話」より
――前回インタビューさせていただいた際、『アパレる』シリーズは作者・ぼのこさんの実体験を元に描いている、と言われていました。本作もご自身の体験から着想を得ているのでしょうか?
はい。こちらのエピソードは、私自身が販売員として出会ったお客様との接客体験、そして客として実際に経験した出来事(試着後に服が似合わず、恥ずかしさを覚えた経験)の両方を織り交ぜて生まれたお話です。
――X(旧Twitter)では本作に2.7万を超える「いいね」とともに読者から反響の声が多く寄せられました。今回の反響について率直なご感想をお聞かせ下さい。
大変多くの反響をいただき、ありがたく感じています。
客側の視点としては、主に「試着後にイメージと違った経験がある」という共感の声や、「こういう店員さんに出会いたい」といったお言葉を頂戴しました。その一方で、「声をかけられること自体が苦手」という率直なご意見も寄せられています。
また、店員の立場からは、声かけの難しさや、提案がぴたりと合ったときのやりがいについての反応もありました。異なる立場の方々がそれぞれの視点で受け取ってくださったことを、嬉しく思っています。
――ぼのこさんがご自身の体験や感じたことを漫画にする際、こだわっている点や意識している点はありますか?
できるだけ一方向から描かないことを意識しています。
たとえば今回のように、お客様の戸惑いや不安をテーマに描くときには、その一方で店員が何を考えているのかも併せて示します。立場が違えば、見えている景色や前提が異なるということを踏まえて物語を組み立てています。
どちらの主張が正しいかを示すことよりも、行動の背景を丁寧に描くことで、読者の中で見え方が少し変わる可能性を大切にしたいと考えています。それぞれの価値観を提示しながらも答えを固定せず、解釈の余白を残すことを心がけています。
――本作の中で特に思い入れのあるシーン、セリフなどがあれば理由と共にお教えください。
試着後、春子がフワ様の普段の装いを褒め、それをきっかけに涙を流す場面です。
販売員時代、買い物は必ずしも楽しいだけの時間ではないと知りました。自分のコンプレックスをどうにかしたくて来店される方もいます。相談の途中で涙をこぼす方もいました。
その経験から、提案する商品や言葉は、その人の人生の一部に触れる可能性があると強く感じました。自分にとっては多くのお客様のひとりでも、その方にとっては特別な時間になり得る。そのことを伝えようと描いた場面です。
――時にアパレル店員目線、時にお客様目線で描かれた“洋服屋あるある”が共感を呼んでいる『アパレる』ですが、あらためて漫画の見どころを教えていただけますか。
お客様と店員との関係だけでなく、店員同士の価値観の違いも描いている点です。
同じ職場でも、仕事への向き合い方や優先順位は異なります。作中では、どの考え方が正しいと断定することはしていません。立場や環境が変われば、見え方も変わると感じているからです。
明確な悪役は登場しませんが、それぞれの未熟さや葛藤はあります。身近なテーマを通して、「自分ならどう向き合うか」を考えていただけたら嬉しいです。
――今後描いてみたい作品ジャンルや目標などがありましたら教えてください。
現在はアパレルショップを舞台に描いていますが、特定の業界に限らず、働く人が少し前向きになれる物語を描き続けたいと考えています。
さまざまな状況や立場にある人物のリアルを描くことで、現実社会においても多様な可能性を想像するきっかけにつながればと願っています。読み終えたあとにほんの少し視野が広がるような作品づくりを目指してまいります。