東尾理子が長男の小学校受験を決めたワケ 「毎日勉強することが本当に息子のためになるのだろうか、と悩んだり迷ったりしました」

1男2女、3人の子どもたちを育てる、東尾理子さん。日々の子育てのなかで大切にしているのは、「子どもをひとりの人間として尊重すること」と「時間の価値を伝えること」だと話します。長男の小学校受験で感じた迷い、夫婦の教育観、そして息子の夢を支えるなかで感じていることを聞きました。
■頭ごなしの「命令」はしないと決めています
活動的で面倒見がいい中学2年生の長男・理汰郎(りたろう)、わが家で一番おしとやかな小学校5年生の長女・あおば、元気一杯で活発な小学校2年生の次女・つむぎと、三者三様の子どもたち。性格も食べ物の好みも趣味も全く違いますが、そこは兄妹ですから、毎日ケンカをしながらも仲良く遊んでいます。
子どもの教育について、私が日頃から心掛けていることはニつあります。一つは、子どもの意思や行動を「ひとりの人間」として尊重すること。特に、子どもに対して頭ごなしに命令する言い方は、しないと決めています。例えば、宿題をする時間なのにまだ始めていない場合の声掛けは、「早く宿題をやりなさい」ではなく「そろそろ宿題をしようよ」とか「もう○○時だから、宿題をしてください」といった感じ。「親の言うことは絶対に聞きなさい」という言い方は絶対にしません。親と子の関係は主従関係ではないし、やる・やらないの選択肢は子どもにあるべきだと思うからです。けど、声のトーンでやらなきゃいけない度数はしっかり表現しています(笑)。
■“時間の使い方”が人生を変える
もう一つは、時間の大切さを教えることです。人生は時間の使い方次第で大きく変わるものだから、自分の時間はもちろん、自分と関わる人の時間も大切にしようね、ということは、子どもが小さい頃から伝えてきました。待ち合わせの時間に遅れて友達を待たせてしまったら、それはその友達の貴重な時間を無駄にしているのと同じなんだよ、と。小学生の娘たちにはまだ少し難しい話かもしれませんが、そろそろ理解できるようになると思っています。長男は野球をやっているので、日々のトレーニングや柔軟体操など小さな時間の積み重ねが大きな結果につながるとか、そういった経験を通じて時間の大切さを理解しているんじゃないでしょうか。
■迷いも感じた小学校受験 息子との間に絆ができた
子どもの教育という点で、私にとっていろいろな気付きを与えてくれた出来事に、長男の小学校受験があります。長男に小学校受験をさせようと思った一番の理由は、小学校から私立の一貫校に通えば、小さいころから独自の教育方針のもとで時間をかけて学ぶ土台を築くことができるうえに、中学受験、高校受験で中断されることなく、スポーツや趣味に打ち込む時間も持てると思ったことです。
受験の準備を進めるなかで、最初にして最大の問題は息子を机の前に座らせることでした。息子はとにかく活発で、ひとときもじっとしていないような子だったんです。私もずいぶん迷ったり悩んだりしましたね……。「毎日勉強をさせることが、本当に息子のためになるんだろうか」「これは今、この年齢の息子に教えなければいけないことなんだろうか」って。
でも今振り返れば、あの数年間は本当に貴重な時間でした。一緒に受験指導のお教室に行ったり、親子で面接の練習をしたり……。小学校受験をしていなかったら、あんな濃密な時間は過ごせなかったかもしれません。受験が終わったときは、息子との間に強い絆ができたような気がしたのを覚えています。


端午の節句、七夕、お月見、お正月、節分、ひな祭りなど、四季折々の行事を息子に説明するために改めて由来やいわれなどを深掘りして、日本の四季や文化を感じながら一緒に過ごせたのも、小学校受験をして良かったことの一つです。日々の子育てや家のことに追われているとちょっと面倒になることも、子どもの受験という目的があると頑張れたりするんですよね。
■「それだけは勘弁して」 夫が唯一断ったのは……
長男の小学校受験は、夫婦で子どもの教育について話し合う良いきっかけにもなりました。夫の教育方針は「男の子は厳しく育てる、女の子は自由に育てる」というもの。こうして改めて見ると、すごく彼らしい考え方ですね。子育てにはほぼ関与しない夫ですが、息子の受験のときは、田植えや稲刈りといった自然体験に参加するなど、かなり頑張っていたと思います。唯一、海辺での地引網体験だけは「それだけは勘弁して」と断られましたけど(笑)。願書の作成も、達筆で文章を書くのが上手な夫に清書をしてもらいました。
■性格も価値観も違う夫 でも教育観は一致している
幸い、長男は志望校に合格することができ、今は週の半分は野球の練習に励んでいます。親として、わが子が好きなことに打ち込んでいる姿を見るのは、とても嬉しいものです。中学生ですから勉強ももちろん大切で、願いは成績トップですが、まあ現実はなかなかそうはいきません。学校から与えられた宿題をサボらない、テストで落第するような点数を取らない。この二つが守れればひとまず良しというのが、夫と私の共通の意見です。特に、宿題を期日までに終えて提出するということは、勉強以前に人としてのけじめの話でもありますから、そこは厳しく伝えています。
もう一つ、夫と私が子どもたちに伝え続けているのが、読書の大切さです。夫はよく子どもたちに「本を読んだほうがいいよ」と言っていますし、私も娘たちを連れて月に1、2度、図書館に通っています。夫と私は考え方も性格もまったく違うのですが、幸い子育てに関する価値観に関しては、あまり大きなズレがありません。子どものやりたいことにあれこれ口出ししないところも同じ。夫が子育てに関与しないのは、母親としての私を信じて見守ってくれているから……そういうことにしておこうと思います(笑)。
■夢を追う息子 「努力できる人」になってほしい
今、私たち家族は「プロ野球選手になりたい」という息子の夢を、私の両親も含めた家族みんなで応援しています。でも母として一番の思いは、夢を叶える以前に「努力をできる人になってほしい」ということです。プロの世界はとても厳しく、望めば必ずなれるというものでもありません。大切なのは、まず、そこに向かって自分の時間と労力を費やせる人になること。そこがすべての始まりだと思うんです。

今後の数年間をどのように過ごすかは息子次第ですが、チャンスが訪れたときに最大限力を発揮できるように、常日頃から準備はしたほうがいいと思っています。私は親として、アスリートの先輩として、時間の大切さなど考え方のヒントを与えたり、技術面でアドバイスしたりと全面的にサポートしていますが、夢を叶えるための正解の道のりは、人それぞれ。息子は息子のやり方で、夢に向かって突き進んでほしいですね。
(構成/木下昌子)
〇東尾理子(ひがしお・りこ)/1975年、福岡県生まれ。父は元プロ野球選手で西武ライオンズの監督も務めた東尾修氏。8歳のときにゴルフを始め、1999年にプロテストに合格。以後、プロゴルファーとして国内外のツアーに参戦する。私生活では2009年、俳優の石田純一氏と結婚し、1男2女の母に。現在はゴルフに関わる活動にとどまらず、さまざまなメディアに出演するとともに、自身の経験をいかした不妊治療・妊活に関する情報発信やサポートにも携わる。
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