小島よしおが「人にはなぜ好き嫌いがあるの?」と聞く9歳に気づかされた、正解のない疑問を考え、話し合う面白さ

「なんで人は、すききらいがあるのですか」という相談を送ってくれたのは、9歳のすき家の王しょうピーヤ。数多くの子ども向けライブを開催し、子どものお悩み相談本『小島よしおのボクといっしょに考えよう』(朝日新聞出版)も出版した小島よしおさんが、さまざまな悩みや疑問に答えるAERA with Kids+の本連載。小島さんは、「人それぞれの答えがありそうだから、みんなで話し合ったら面白いかもしれない!」と提案します。よしおさんの考えや、正解のない疑問について話し合う楽しさについて一緒に考えました。
【相談104】
なんで人は、すききらいがあるのですか。(すき家の王しょう・9歳)
【よしおの答え】
すき家の王しょうピーヤ、素敵な相談をしてくれてありがとう! なぜ人には好き嫌いがあるんだろう? 言われてみれば、ほんとナゾだね……! よしおは考えたこともなかったなあ。
こういった、人生や世の中のいろいろな物事について考えたり研究したりすることを「哲学」っていうんだけど、君は哲学者みたいだね! 9歳でそんな物事の深いところについて、なぜだろうって考えているなんてすごい。
この疑問は人によっていろいろな答えがありそうだから、よしおだけじゃなくて後輩芸人やスタッフさんとみんなで話し合ってみたよ。
■好き嫌いがあるとどんなことが起こる?
なぜ好き嫌いがあるのか……まずは、よしおの周りの人の意見を紹介するね。
一つ目は、好き嫌いは「人生を楽しむためにある」という意見。例えば牛丼が好きだったら、食べるとおいしくて幸せになれる。ピーマンが嫌いだったら、給食で出たらめっちゃつらい……。好きなものや嫌いなものがあると、人生に気持ちの波が生まれて、つらいこともあるけど楽しいこともあると感じられると思うんだ。
もしまったく好き嫌いがなかったら、何をしても何も感じないんじゃないかな。平和でいいかもしれないけど、楽しさはあまりないかも。好き嫌いがあることで、うれしいとか悲しいとか、感情がカラフルになって、人生がより楽しくなるんじゃないかって話になったよ!

二つ目は、「生き抜くため」っていう意見。人類が進化するなかで、有害な毒や危険な生物を避けるため、そして栄養になるおいしいものを見極めるために好き嫌いがあるんじゃないか、って考えだよ。人間にとって毒になるものや腐っていてからだに悪いものって、苦かったり変な色だったりする場合がある。それを本能的に「嫌い!」って振り分けるようなイメージだよ。
三つ目は、「進む道を決めるため」という意見。例えば、クラスでドッジボールかリレーのどちらかに参加しようってなったとき、自分の好き嫌いがあると決めやすいよね。球技が好きとか、走るのは嫌いとか。あるいは、自分はこういうことをする人が嫌いだから同じことはしないようにしようとか、この人が好きだからマネしてみようとか……。自分の進む方向性を決めるために、好き嫌いがあるという考え。
そうそう、「みんなで盛り上がるためだ!」っていう楽しい意見もあった。野球を観戦するとき、全員が同じ球団のファンだったら盛り上がらないじゃない? スポーツみたいな勝負ごとは、対戦相手がいるからこそ楽しいよね。
そして、好き嫌いは「自分を動かす原動力」になるという話も出たよ。例えば、好きなアイドルのライブに行きたいからアルバイトをしてチケット代を稼ぐとか。自分の好きなおいしいものを食べたいから料理をするとか。好き嫌いがあるから行動できるんじゃないかな。
■よしおは「みんなと力を合わせるため」だと思う!
よしおの考えはというと、「みんなと力を合わせるため」かなあ。みんな、人それぞれに好きなことと嫌いなことがあるけど、例えば家を建てたいときに、全員がものづくりが嫌いだったら建てられないよね。
でも世の中にはものづくりが好きな人もいて、ものづくりが嫌いな人のかわりに家を建ててくれるよね。虫が嫌いな人がいて殺虫剤を開発したり、遠くに行くのが好きな人やものづくりが好きな人がいて車や新幹線、飛行機などを開発したりする。そんなふうに、みんなが協力しながら町や国(社会)が成り立っているよね。だからよしおは、好き嫌いはみんなが力を合わせながら進んでいくためにあるんじゃないかなって考えたよ。

みんなの好きなものと嫌いなものが同じだったら、できることはとても少なかったかもしれない。好き嫌いが違うことで、人間はいろいろなものを発明することができたんじゃないかなあ。よしおは、今のように多種多様なものがある世界になったのは好き嫌いがあるおかげかもしれないなって思ったよ。
みんなでいろいろ考えてみたけど、やっぱりこのテーマは人それぞれ違う答えがありそうだね。答えはたぶんこれだけじゃなくて、もっとほかにもいろいろな考えがあると思う。答えはひとつじゃないんだね。きっと君にも、君だけの考えがあるはず。ぜひ、考えてみてほしい。
■考えるのに飽きたらアンケートもおすすめ!
頭で考えるだけじゃなくて、周りの人にアンケート調査をしてみても面白いと思うよ! 例えばクラスメートや家族に、君の好きなものについて好きか嫌いか意見を聞いてみるんだ。「◯◯◯は好きですか? 嫌いですか?」って。そうすると、君が好きなものを嫌いな人もいるし、君が嫌いなものを好きな人もいることがわかると思う。
運動が嫌いな人もいれば、好きな人もいるよね。でも、運動が嫌いな人が運動が好きな人の理由を聞いてみたら、運動の好きな人の気持ちがちょっとわかるようになるかも。それに、好きな理由も嫌いな理由も人それぞれだと思うんだ。カエルが嫌いな人がいたとして、ある人は「小さいときに顔にカエルがくっついて気持ち悪かったから」って言うかもしれないし、ある人は「急にジャンプするから怖い」って言うかもしれない。好きも同じで、理由はさまざま。それがまた面白いところだよね。
周りの人を巻き込むことで、好き嫌いがある理由を考えるヒントになるかも。それに、好きなことや嫌いなことについて話すと、その人がどんな人か見えてくるよね。好き嫌いの理由の一つひとつに、その人らしさや経験がにじみ出てくるんだと思う。
■正解のない話をするのって楽しい!
よしお、好き嫌いについてこんなに考えたの初めて。考えてみたらすごく楽しかったよ! ありがとう!

好き嫌いがあるのは、今回みたいに君やみんなとそれについて話すことでお互いのことを知ったり、人とのつながりを感じたりできて、人生を豊かに楽しむことができることでもあるんじゃないかな……なんて思ったよ!
こんなふうに、哲学的なテーマについて話すことを「哲学対話」というんだって。「哲学対話」には、いくつかのルールがあるみたい。話の結論は出なくてもいいし、発言しないで聞いているだけでもいいし、意見が変わってもいいし、よくわからなくなってもいいらしい。
現代は生成AIでなんでも手軽に調べることができるけど、一人ひとりにその人だけの答えがあるテーマはその人にしか答えが出せない。だからこそ、正解のない話をみんなで話し合うのって、大切なことなのかもしれないね。これからの時代、もっともっと自分の経験を話すことや、結論のない話し合いをたくさんしたほうがいいのかもしれない。よしおは君と一緒に好き嫌いについて考えられて、とっても楽しかったよ!
よしお、50歳くらいになったら哲学カフェとか開こうかなあ。みんなで話すだけで、なんとなく豊かな気持ちになれるようなカフェ。楽しそうじゃない? よしおのこれからやりたいことの一つに入れておこうっと。もし実現したら、すき家の王しょうピーヤも遊びにきてね!
……って、僕は思うんだけど、君はどう思うかな?
(構成/布施奈央子)
〇小島よしお(こじま・よしお)/1980年、沖縄生まれ千葉育ちのお笑い芸人。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。「そんなの関係ねぇ!」でブレーク。2020年4月からYouTubeチャンネル「小島よしおのおっぱっぴー小学校」で子どもの学習を支援する動画を公開。キッズコーディネーショントレーナーの資格を持ち、子ども向けのイベントを多数開催している。この連載をまとめた『小島よしおのボクといっしょに考えよう』(朝日新聞出版)が発売中!
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