「将来1.3億円の負債を抱えると」FPの診断が!お金の話がタブーだった共働き夫婦がマイホーム購入を決意した「理由」
毎月の生活費がいくらかかっているかわからない、カードの明細を見るたびに「不正請求かも」と疑う…。出産を機に、そんな行き当たりばったりな生活から抜け出そうと試行錯誤したのは、テレビ東京社員兼漫画家の真船佳奈さん。著書『さよなら!行き当たりばったり人生!お金管理も家事も全部ニガテな主婦の生まれ変わり奮闘記』(KADOKAWA)に綴った、リアルな家計改革について伺いました。
「将来的に1.3億円の負債を抱える」と衝撃の家計診断
── 真船さんはご夫婦ともにマスコミ業界で働いていらっしゃいますが、FPに家計管理の相談をしたところ「将来的に1.3億円の負債を抱える」と診断されたそうですね。診断前までは、どのような金銭感覚だったんですか?
真船さん:私たち夫婦は、お互い仕事が大好きで。「自由を愛する者同士」が結婚したような形でした。夫は「宵越しの金は持たない」タイプで、いい意味でも悪い意味でもお金に執着がないんです。ポイントカードは作らないし、趣味のお酒に躊躇なくお金を使ってしまうタイプで。
いっぽう私は、根はケチなんですけど「目の前にあるお金」でしか判断ができず、あればあるだけ使ってしまうタイプ。財形貯蓄を始めてからは、最低ラインの貯蓄は確保できるようにはなったんですが、それでも無計画だったと思います。

『さよなら!行き当たりばったり人生!お金管理も家事も全部ニガテな主婦の生まれ変わり奮闘記』より
『さよなら!行き当たりばったり人生!お金管理も家事も全部ニガテな主婦の生まれ変わり奮闘記』より── ふたりともざっくりとした金銭管理だったんですね。
真船さん:はい。同棲を始めたころに「お互い意外とお金がないな」と気づき、夫のほうが私より金銭管理が苦手なこともわかってきました。そこから結婚、妊娠、出産とお金がかかるタイミングが次々とやってきて。妊娠前は外食が多く、平日の夜にふたりで1万円くらい使ってしまうことも。それを一生懸命働くことでカバーしていたのですが、出産後の復職時期に「このままではマズい」と焦り始めました。そこで見て見ぬふりをしてきたお金の問題にメスを入れようと、FPさんに診断をお願いすることにしたんです。
── それまで夫婦でお金について話し合う機会はなかったのですか?
真船さん:たまに話し合ってはいたものの、いつも険悪なムードになってしまって。わが家は完全別会計の「共同財布制」で、毎月決まった額を生活費口座に入れる形で管理していたのですが、お互いに入金を忘れがちでした。一度お金のことを話し合うと、自分もちゃんと管理しなきゃいけなくなるという後ろめたさもあり、お金の話がタブーに近い状態になっていたと思います。
「お金がない」と「片づかない」は全部繋がっている
── 共働きあるあるですよね…。産後「このままではマズい」と思ったのは、教育費への不安が大きかったのでしょうか。
真船さん:それはあります。子どもが保育園に入ると、いろんな噂が耳に入ってくるようになって。お受験や塾通いにいくらかかるとか、高校以降にかかるお金の桁が違うとか。それを聞いて「怖いな」と思うようになりました。
あとは、お金だけじゃなく「モノもちゃんと管理しないとダメだ」と思ったことが大きいです。たとえば、子どもが生まれると書類との戦いが始まりますよね。予防接種の予診票や保育園の書類とか…。子育てでは公的支援でお金が戻ってくるケースもありますが、そういった制度の必要書類の管理も煩雑になって。仕事では、資料が見つからなくてもパソコン内検索してファイルを探せばなんとかなっていたのが、子育てでは紙をなくすと役所まで取りに行かなきゃいけなくなる。常に探しものをしている自分にほとほと嫌気がさしたんです。
母から「お金がないのと家が片づかないのは、全部繋がっている」と言われたのですが、本当にその通りで。
── 耳が痛いです…。生活を見直すなかで「いいものをひとつ大切に使う人に比べて、ガラクタばかり持っている自分のほうが何倍もお金を使っている」との気づきもあったそうですね。
真船さん:そうなんです。同じお給料をもらっているはずの同期が、質のいい時計や服を身につけて上品な大人になっているいっぽうで、自分はネットで買った2000円の服を着ている。「何が違うんだろう」と考えたとき、結局ものを大事にしているかどうかの違いなんだと痛感しました。私はすぐにモノをなくしてしまい、安物を買いがちだったんです。
『さよなら!行き当たりばったり人生!お金管理も家事も全部ニガテな主婦の生まれ変わり奮闘記』より「不正請求かも」と疑うくらいお金を使っていた
── そこでFPに相談することになったものの「将来的に1.3億円の負債を抱える」と診断を受けた、と。「子どもはふたり、高校から私立に通い、夫婦で65歳までフルタイムで働く。住宅は購入したい」という将来設計のうえで、今の家計収支をもとに試算した結果だったそうですね。それほど負債を抱えそうな設定に思えなかったのですが…。
真船さん:私もびっくりしました(笑)。ただ、正直なところ、診断を受けた当時は生活費がいくらかさえ把握しておらず、FPの家計診断に必要な資料が全然なかったんです。そこでクレジットカードの明細をもとに診断してもらったのですが、とにかく固定費が凄まじくて。冬場だと光熱費だけで月7~8万円、家賃と合わせると30万円以上が毎月消えていました。光熱費に関しては、後にマンション設備の老朽化が原因と判明したのですが…。
あとはネットショッピングでの雑費ですね。SNSで紹介される育児グッズを片っ端から買ってしまったり、「あと1000円でポイント2倍」と言われると必要ないお茶を買ってしまったり。カードの明細を見るたびに「不正請求かも」と疑うんですけど、全部自分で使っていましたね…。そんな無駄な出費を続けながら今後、教育費や家のローンを支払っていくと、最終的には1億3000万円の負債を抱える、との診断でした。

『さよなら!行き当たりばったり人生!お金管理も家事も全部ニガテな主婦の生まれ変わり奮闘記』より
『さよなら!行き当たりばったり人生!お金管理も家事も全部ニガテな主婦の生まれ変わり奮闘記』より── 無駄な出費の一因が当時住んでいた賃貸住宅にあったと気づき、マイホームの購入を決意したそうですね。借金を背負うかもしれない、という診断を受けたところからのマイホームの決断はかなり重かったと思うのですが…。
真船さん:もともと住宅に関しては、夫婦ともに賃貸ではなく購入を希望していたんです。ずっと課題になっていて、複数のFPさんに相談しては解決に至らず…の繰り返しでした。ただ今回、家を買うことは、お金と収納の両方を整理する最大のチャンスだと思ったんです。
当時の家は、高い家賃を払っているのに不満だらけで。家の周りに買い物できる場所が少なく、不安から無駄にストックを買ったり、近所に子どもを連れていける場所が少なく、おもちゃを必要以上に買ってしまったり。駅まで徒歩20分以上かかり、子連れで出かけるにはタクシーやレンタカーを使いがちだったりと、家がライフスタイルに合わないばかりに無駄な出費をかけることが多かったんです。そんな家に家賃を払い続けるのは将来的にもリスクだと感じました。幸い夫婦ともに会社員でローンを組みやすかったので、夫婦でペアローンを組むことで不公平感も見直せました。
── お金の流れも見直したそうですね。FPからのアドバイスで銀行口座やクレジットカードを整理して、チャート化したそうですが結構、大変だったのでは。
真船さん:めちゃくちゃ面倒でした…。今の世の中、カードや電子マネーが多様化しすぎていて、お金の流れを把握するのがすごく難しい。クレジットカードだって何枚も持っていて、パスワードを忘れてネットで明細が見られず再発行したり、使っていないカードを解約するために電話で手続きしたりもしました。
でも、その過程で10年前から解約し忘れていたルーターの月額利用料を見つけたんです。そういう謎の請求を整理できたのは、すごくホッとしましたね。
設定したハードルは低め。でも少しずつ変化が
── 月に数百円でも、10年間だと結構な額になりますもんね…。その後、夫婦の金銭管理は、どのように変わりましたか?

真船佳奈
家計管理も家事も得意ではないからハードルは低めに設定、スモールステップで頑張っているそう真船さん:実は今も自由な部分が多く、共有口座に入れる以外のお金に関してはお互い何にいくら使っているのかは共有していないんです。現状、生活費の割合をきちんと話し合って決めたうえで、共同口座の中にお金が順当に貯まっていれば大丈夫、くらいの低めのハードルを設定しています。
一番お金が貯まりやすいのは、どちらかが管理して小遣い制にする方法だと思うんです。ただ、それだと、どちらかがしっかり管理できないといけないし、お互い忙しいとなかなかうまくいかない。いろいろ比較した結果、お互いが手元に残るだいたいの額を把握して、自由に使えるお小遣いの額も同じくらいにする、という方法がわが家には合っていました。お金の流れを見える化したことで、夫婦間の不満も減りました。
── 自分の特性を知ることも大切ですよね。苦手意識があった自炊も、レトルトを活用するところから始めたとか。
真船さん:そうですね。私の場合、最初から「作り置きを5品作る」など、自炊を始めるハードルを勝手に上げて、結局いつまでも踏み出せないところがあったんです。そこで、「レトルトで魚をそのまま煮つければいい」というところから始めたら、今ではレトルトに頼りすぎなくなり、「冷蔵庫の中身をきちんと食べきる」を目標にしています。それを最初から目指すのは無理があったと思うので、スモールステップで進んでいく大切さを実感しました。
── 今回、改めて家計の専門家に話を聞いたそうですが、特に印象的だったことはありますか。
真船さん:FPの風呂内亜矢さんから「キャリアを止めないことは、大事な資産形成のひとつ」と言われたことです。私はこれまで「自分は金銭管理ができないダメな母親だ」と思い込んでいた部分がありました。でも、風呂内さんは「お金を貯めるとなると、節約したり経費を見直そうとよく言われますが、働き続けることも大事な資産形成のひとつ。必要なものは経費として計上しながら、子どもが生まれてもキャリアを諦めないというのはいいことだったと思う」と認めてくださって。家事代行などに出費している自分はダメなんじゃないかと思ったこともありましたが、自分らしく働き続けながら子育てするための必要経費だった。そこを認めてもらえて本当に嬉しかったですね。
無駄な出費は削るべきですが、かけてきた病児保育代やベビーシッター代は決して無駄じゃなかった。自分なりに人生を楽しみながら、今の自分のままでも貯金はできるんだと希望が持てました。
── 心強いアドバイスですね。その後、新居に引っ越しをしたそうですが、生活面はどう変わりましたか?
真船さん:出費が劇的に減りました。目の前にスーパーがあるので、買い忘れの不安から買いだめもしなくなりましたし、在庫が把握できているから料理もしやすくなり、結果として外食も減りました。
そもそも、以前はネットで買い物をすることで心の隙間を埋めていた部分がありました。でも、引っ越しを機に物を減らしたことで「手元にあるものを活用しよう」という思考に変わったんです。トイレットペーパーを安売りで箱買いしても、それを置くスペースに居住空間が圧迫されて暗い気持ちになるくらいなら、必要なときに買いに行けばいい。そう思えるようになってから無駄遣いは本当になくなりました。
なにより「きれいな家に帰りたい」と思えるようになったのが大きいです。疲れていても「家で子どもを遊ばせながら簡単に食事をすませよう」と考えるようになり、家が安らげる場所になりました。
── 収納面でリバウンドすることはないですか?
真船さん:全然あります(笑)。でも、今はうまく片づいていない場所はヒントだと捉えて、システムが悪いんだと考えるようになりました。
たとえば、ファミリークローゼットで、夫の収納を引き出しタイプにしていたのですが、彼は結局一番上に物を乗せてしまうんです。それで、夫は背が高いので、かがんで引き出しを開けるのが彼にとってはストレスだと気づいて。それなら「たたむ収納」ではなく、クローゼットに「かける収納」を増やそうと。定期的にシステムを見直せばいい、という考えが生まれたのは大きいですね。
取材・文:市岡ひかり イラスト・写真:真船佳奈