医師が指南!「腎臓病の予防」に効く生活習慣3つ

加齢とともに衰えていく腎機能を手助けする「生活習慣」とは(写真:mits/PIXTA)
腎臓のために知っておきたい入浴法
お風呂に入って湯船につかると心地よい気分になりますよね。これは温熱作用による効果といえますが、体が温まることで皮膚の毛細血管や皮下の血管が広がるため、平温時よりも血液の流れがよくなります。
【イラスト】医師が教える腎臓のために知っておきたい入浴法
これによって新陳代謝が活発になり、体内の老廃物や疲労物質が取り除かれることで、疲労やコリ、痛みが和らぐため、リラックス効果が得られるのです。
また、血流の促進によって腎臓の機能も活発になるため、利尿作用もはたらくようになります。
腎臓にとっても有意義な入浴ですが、注意しなければならないポイントもあります。
まず入浴のタイミングですが、できれば食事の前に済ませておきましょう。ただし、脱水には気をつけなければならないので、入浴前にはコップ1~2杯、できれば常温の水を飲んでおいてください。
そして、入浴は急激な温度変化によって血圧が上昇し、重篤な心血管疾患を引き起こす可能性があります。とくに冬場はヒートショックの危険もあるため、脱衣所や浴室を暖めておくよう心がけましょう。
湯船につかる際は、心臓に遠い部分からかけ湯をしてから入ります。温度は38~40度程度のぬるめのお湯が最適で、首までつからずに、みぞおちあたりまでの半身浴にすれば、心臓にかかる圧力の負担を軽減できるでしょう。
湯船から上がるときも一気に出るのではなく、お風呂の縁に腰掛け、ゆっくりと段階的に出るようにしてください。入浴後の湯冷めも要注意です。
また、透析療法を受けた日の入浴は、針跡から細菌が侵入するリスクもあるため、湯船につからずにシャワーだけで済ませるようにしましょう。

(出所:『東北大学病院が開発した 弱った腎臓を自力で元気にする方法』より)
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睡眠環境が腎臓に与える影響とは
食事と同様に睡眠も生きていくうえでは欠かせないものです。健康な生活を送るためにはじゅうぶんな睡眠を確保することがとても大切で、良質な睡眠が心身ともに好影響を与えることはよく知られています。
睡眠には腎機能との関連性も無視できません。なぜなら睡眠の質が低い人は、人工透析に至るリスクが高いといわれているからです。
「夜中に何度も目が覚めてしまう」
「布団に入ってもなかなか寝つけない」
「寝起きが悪くて布団から出られなかったり、2度寝したりしてしまう」
「睡眠時間は確保できているのに日中も眠気が取れない」
こういったことに心当たりのある人は、睡眠の質が低いのかもしれません。良質な睡眠を得るために、次のような対策をとってみるといいでしょう。
①朝起きたら太陽の光を浴びる
②日中に適度な運動をする
③日中に眠くなったら軽い昼寝をする
④食事や飲酒は就寝の3時間前までに済ませる
⑤就寝前にテレビ、スマホ、パソコンの画面を見ない
また、適切な睡眠時間は7時間というデータもあります。
大阪大学の研究チームが、慢性腎臓病の患者さん1601人に対してアンケートを実施し、4年間の追跡調査を行ったところ、5時間以下の短時間睡眠は人工透析に至るリスクが2.1倍、同様に8時間以上の長時間睡眠は1.5倍に高まると発表しました。
このように短すぎる睡眠時間はもちろんのこと、長すぎる睡眠時間も腎臓にとってはよくありません。
睡眠時間や睡眠の質は腎臓にとっても死活問題です。腎臓をしっかりと休ませるためにも毎日の睡眠環境を見直し、睡眠の質を向上させるようにしましょう。

(出所:『東北大学病院が開発した 弱った腎臓を自力で元気にする方法』より)
丁寧な歯磨きが慢性腎臓病の予防になる⁈
もうひとつ。慢性腎臓病予防の観点から寝る前の習慣として心がけてほしいのは、丁寧な歯磨きです。
その際には歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使って歯間や歯と歯茎の隙間までしっかりと磨いてください。
もちろん、毎食後に丁寧な歯磨きをするに越したことはありませんが、朝は忙しかったり、昼は機会が設けられなかったりするなどして、完璧に行うのはなかなか難しいでしょう。
だから最低限、寝る前だけは徹底するようにお願いします。これを怠ると、睡眠中は唾液の分泌量が減り、自浄作用や殺菌作用、免疫作用といった唾液の恩恵が受けられなくなってしまいます。
では、なぜ丁寧な歯磨きが慢性腎臓病の予防につながるのでしょうか。
例えば、歯周病は歯茎に炎症を引き起こし、歯を支えている骨を溶かしてしまいます。その際に歯周病菌が出した毒素は、血液を通じて全身に巡り、血管の内表面を障害することで、腎臓の機能にも悪影響を与えるのではないかといわれています。
実際に慢性腎臓病の患者さんの多くが歯周病を患っており、その数は健康な人と比べると1.7倍という調査結果もあるほどです。
詳しい原因は明らかになっていませんが、慢性腎臓病による免疫機能の低下やカルシウム吸収、骨代謝の異常などが一因と考えられています。
口内環境に関してはセルフケアだけでは行き届かないところもあるため、定期的に歯科医を受診して、メンテナンスをしてもらうように努めましょう。
「指輪っかテスト」で筋肉量をチェックしよう
加齢とともにどうしても筋肉量は減少していくので、日頃から適度な運動と栄養バランスの取れた食生活でケアすることが大切です。
とくに高齢者は、筋肉量が減少することで筋力や身体機能が低下する「サルコペニア」を発症するリスクが高まることが懸念されます。
このサルコペニアは、腎臓病の疾患の有無にかかわらず要注意です。放っておくと身体機能の低下からどんどん虚弱になり、日常生活に支障が出始めるばかりか、要介護寸前の状態である「フレイル」へと進行していきます。
こと腎臓病の患者さんにおいては、ただでさえ筋肉量が低下しやすいため、サルコペニアやフレイルを併発していると、病状の悪化にも拍車がかかってしまいます。
「なんだか最近、歩くスピードが遅くなった」
「手すりや杖を使わないとうまく歩けない」
「ペットボトルの蓋が開けられなくなった」
「なにをするにも疲れた感じがしてやる気が起きない」
「とくに理由もなく半年間で体重が2~3㎏以上減った」
このような状況がみられる場合は、サルコペニアやフレイルの兆候かもしれません。ここでサルコペニアかどうかを簡単に調べる方法として、ふくらはぎの筋肉の太さを測る「指輪っかテスト」を紹介しておきましょう。
両手の親指と人さし指で輪っかのかたちを作り、ふくらはぎのいちばん太い部分をその輪っかで囲むようにつかみます。このとき、指で作った輪っかのほうが大きく、ふくらはぎとのあいだに隙間ができていたら要注意。サルコペニアの危険度が高いとお考えください。
もしも症状が進行してフレイルに陥ってしまったら、その先には寝たきりの生活が待ち受けているかもしれません。危険度が高い人は、今すぐに食生活を見直し、運動を始めましょう。

(出所:『東北大学病院が開発した 弱った腎臓を自力で元気にする方法』より)