歩く力を失わないために。整形外科医がすすめる足首メンテナンスと簡単ストレッチ

 足首は年齢とともに衰えやすく、満足に歩けなくなれば生活の質は一気に下がる。だが、長年高齢者の足腰に向き合ってきた整形外科のスペシャリストは「何才になっても自分の力で歩くことはできる」と断言する。「100年足腰」をつくる簡単メソッドを名医が伝授する。

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自分の足で一生歩き続けるために「足首」をケアしてみて!

教えてくれた人

戸田佳孝さん/整形外科医・戸田整形外科リウマチ科クリニック院長。著書に『ひざ痛を自力で治す』(大洋図書)、『100歳まで自分の力で歩ける「ひざ」のつくり方』(アルファポリス)など多数

足腰が弱ると寝たきりや認知機能の低下を招く可能性も

 高齢になっても自分の足で歩き続けられることは、健康長寿のための重要なテーマだ。

「歩くことで脳への血流も改善し、認知症の原因物質が減少します。また、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌が活性化し、ストレス解消や気分転換になるため、うつ病の予防効果も期待できます。

 逆に足腰が弱ると引きこもりがちになり、社会との接点が減って認知症リスクが上がることがわかっています。100才まで元気に過ごすためには、“歩き続けること” “歩くのを習慣にすること”が非常に重要なのです」

 そう話すのは、『ひざ痛を自力で治す』(大洋図書)、『100歳まで自分の力で歩ける「ひざ」のつくり方』(アルファポリス)など多数の著書を持つ足腰治療のスペシャリストで、整形外科医の戸田整形外科リウマチ科クリニック院長の戸田佳孝さん。

「かかと上げストレッチ」や「アキレス腱ストレッチ」で足首を守り、柔軟性を保つ

 全体重がかかる関節のなかで最も面積が小さいのが足首だ。

 それだけに足首への負担は大きく、「痛めると歩行困難に直結する」と戸田医師は言う。

「足首の関節の軟骨が磨耗し、慢性的な痛みや腫れ、関節の変形などを引き起こす『変形性足関節症』を患う人は多い。自分の足で歩くためには、足首の健康にも目を向けましょう」

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生涯歩き続けるためには足首の柔軟性と筋力重要

 正しい歩き方を身につけることに加え、足首の関節を鍛え、柔軟性を保つことが大切になる。

「ポイントはふくらはぎへのアプローチです。つま先立ちをすると筋肉がすごく張るのがわかると思いますが、ふくらはぎに十分な筋肉がついていれば歩行時の蹴り出しが強くなり、足首にかかる負担が減ります。

 また、ふくらはぎは“第二の心臓”とも呼ばれ、ここを鍛えることは脳梗塞や心筋梗塞の予防にもつながるのです」

ふくらはぎの強化に効果的で、かつどこでも簡単に実践できるのが「かかと上げ」だ。

「背筋を伸ばしてまっすぐ立った状態で、かかとを上げてつま先立ちになり、10秒間キープ。これを5回1セットにして朝夕行ないます。立って行なうのが難しいという人は、椅子に座ってつま先を上げ下げするだけでもいい。壁を手で押しながら片足を後ろに伸ばす『アキレス腱ストレッチ』も効果的。左右それぞれ10秒間ずつ行ないましょう」

 足首の痛みの予防と軽減効果が期待できるのは「足首の関節ストレッチ」。利き手の親指を使って、足首の前のくぼみからかかとに向かって押し、その状態をキープしたまま、反対の手の親指でかかとの骨を下に引っ張る。1日3回、起床前、日中、風呂上がりに行なうのが理想的だという。

「足首が痛む時には、体重をかけずにできる『足首ゴムバンドストレッチ』が効果的です。ゴムバンドがなければ伸縮性のあるタオルでもいい。これを足指の付け根の下にひっかけて両手で引っ張り、その力に負けないようにつま先を伸ばす。次にひっぱる力にまかせて足首を反らしてふくらはぎを伸ばす。これを各2秒ずつ10回、朝夕に行ないます」

「つま先上げストレッチ」のやりかた

【1】椅子に座ってつま先を上げる。1セット10秒間5回×1日朝夕2セット。自宅で簡単にできておすすめ。

「かかと上げストレッチ」のやりかた

【1】電車でつり革などに掴まりながら1分間つま先立ちをする。1セット10秒間5回×1日朝夕2セット。移動中にこっそりとやってみよう。

<つま先上げ&かかと上げストレッチのポイント>

 ふくらはぎの筋肉を鍛えることで、歩く時の蹴り出しが強くなり、足首にかかる負担を減らすことができる。

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つま先上げ&かかと上げストレッチ

「アキレス腱ストレッチ」のやりかた

【1】壁を手で押しながら片足を後ろに伸ばしてアキレス腱を10秒間引き伸ばす。

<アキレス腱ストレッチのポイント>

 足首の柔軟性が高まり可動域が広がるため、歩行やしゃがみ動作がスムーズになる。怪我の予防や疲労回復にも効果的。

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アキレス腱ストレッチ

「足首の関節ストレッチ」のやりかた

【1】利き手の親指で、足首の前のくぼみからかかとに向かって押す。

【2】【1】の状態のまま、利き手と反対側の手の親指で、かかとの骨を下に引っ張る。これを1日3セット。

<足首の関節ストレッチのポイント>

 寝床から起き上がる前、日中、お風呂上がりの1日3回行なうことが理想。

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足首の関節ストレッチのやりかた

「足首ゴムバンドストレッチ」のやりかた

【1】引っ張る力に身を任せて足首を甲側に反らせてふくらはぎを伸ばす。

【2】両手で引っ張る力に負けないようにつま先から足の甲を2秒間伸ばす。これを1セット各2秒ずつ10回×1日朝夕2セット。

<足首ゴムバンドストレッチのポイント>

 ゴムバンドを使い、足首が痛む時に足首に体重をかけずに他動的に運動させる。

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足首ゴムバンドストレッチ

「足浴」は高齢者の転倒予防の効果も

 足首を柔軟にする生活習慣も取り入れたい。

「38〜40℃程度のぬるめのお湯に足先からふくらはぎまでを浸す入浴法の『足浴』。これを週2回行なうことで足首の可動域と足指力が有意に増加したとの研究があり、高齢者の転倒予防効果があるとも考えられています」

 気をつけたいのが、「かかとの外側のすり減った靴」を履かないこと。

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かかとの外側のすり減った靴は足首に負担をかける

「かかと部分が1.64cm以上浮き上がった靴を履くと、足首を曲げるタイミングが早まり、足首に負担をかけることが報告されています。これはひざ痛にも関わってくること。すり減ってきたら捨てられるくらいの安いウォーキングシューズを定期的に買い替えるようにしましょう」

イラスト/タナカデザイン

※週刊ポスト2026年5月29日号