【特集】落書きの代償 国の重要文化財“萬代橋”に落書き “アート”と“落書き”の違いとは 消す作業費用は約400万円⦅新潟》
「萬代橋」の落書きについてです。
ことし4月、萬代橋に落書きをした疑いなどで逮捕された19歳の男2人。このうち1人は「アートに興味があった」などと話しています。
彼らが真似したかった「アート」と「落書き」の違いは何なのか?そして、その落書きがもたらす代償を取材しました。
◆国の重要文化財にも指定 新潟市のシンボル「萬代橋」

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長年にわたり新潟市のシンボルとして愛され続ける萬代橋。2004年には国の重要文化財にも指定されました。
しかし、市民が大切に守ってきたものが傷つけられたのです。
◆萬代橋に落書き

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事件が発覚したのはことし3月。
<記者リポート>
「この萬代橋、およそ100年に わたりこの場所を見守ってきた大切な橋ですが、あちらご覧ください真っ赤な、そして大きな字で落書きされてしまっています」
赤や白のスプレーのようなもので描かれた落書きが発見されたのです。
大きさは縦1メートル、横4メートルにも及び、このほか欄干にも3か所、見つかっています。
◆新潟市で落書きが相次ぐ

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さらに同時期には千歳大橋や柳都大橋、関屋や古町などの周辺地区にも被害は広がり、警察が捜査を進めていました。
◆逮捕された2人の男

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ことし4月、逮捕されたのは、2人の男でした。
警察によりますと国の重要文化財・萬代橋に落書きをした文化財保護法違反などの疑いや古町地区のビルに落書きをした建造物損壊の疑いがもたれています。
2人は神奈川県に住む19歳の無職の男と専門学校生の男で免許合宿で市内に滞在中だったということです。
調べに対し、いずれも容疑を認めていて、1人は「以前からアートに興味があった」という趣旨の供述をしているということです。
◆落書きとアートの違いは

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彼らが真似したかった“アート”とは……県内のデザイナーを訪ねました。
ロゴや映像の制作を行いながら子どもたちにアートについて教えているビジュアルデザイナーの吉樂蕗(よしらく ふき)さんです。
10代のころ壁などに文字や絵を描くグラフィティアートに魅了され本場のアメリカを訪れました。
現在は持ち主から依頼を受けて壁やシャッターに絵をかく制作活動も行っています。
そんな吉樂さんに、萬代橋に描かれた落書きを見てもらうと……
【ビジュアルデザイナー 吉樂蕗さん】
「グラフィティってこんな汚いものじゃないです……読めるものでもないですしスプレーの使い方もできてないですし」
吉樂さんによるとグラフィティアートは元々アメリカで若者たちが社会への不満や自らの存在を証明する手段として電車や壁に自分の名前を描き始めたのが始まりで読み取れなければ意味を成さないといいます。
◆萬代橋の落書きにはいずれも「25」の文字

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吉樂さんの作品にも活動ネームの「KRAK」の文字。さらに、グラフィティアートの巨匠ともよばれる「シーン氏」のサインからも「SEEN」とデザインされた文字が描かれています。
萬代橋に描かれた落書きにはいずれも「25」の文字が読み取れます。
吉樂さんによると、これは「2025年に描かれたもの」という意味があるといいますが、グラフィティアートが本来持つメッセージ性がなく、ただの落書きだと憤ります。
【ビジュアルデザイナー 吉樂蕗さん】
「書いたらアートみたいに言われがちじゃないですか、いまの時代……落書きは明確な意図がない。アートはメッセージがのっている」
◆萬代橋の落書きは過去にも

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萬代橋をめぐっては、過去にも落書き被害が相次いでいました。
こちらは、2008年そこから2010年まで毎年落書きが見つかっていて、5年前の2020年にも欄干で見つかっています。
◆街中の建造物への落書きは「犯罪」

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そもそも、街中の建造物への落書きは、れっきとした「犯罪」です。
器物損壊罪は3年以下の懲役または30万円以下の罰金。また、萬代橋のような国の重要文化財の場合、文化財保護法違反となり、5年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。
◆被害者から賠償金を求められるケースも

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さらに、被害者から賠償金を求められるケースも…
【牧野太郎弁護士】
「行為者の身元が割れた場合にはその人に対して請求は可能。そうでない場合は実費を負担してやる(修繕する)しかないということになってくる」
損害賠償に詳しい牧野太郎弁護士によると2019年には茨城県取手市所有の壁画作品に落書きをしたとして修繕費など457万円を市が請求したケースもあるといいます。
【牧野太郎弁護士】
「修繕費ってかなり特に文化財になってくるとより大きくなる傾向。美観、ものの見え方とか美しさまで修繕しなければいけないので……市の景観が崩れてしまいますよねっていうものはけっこう金額が違ってくる」
◆落書きを消す作業に多くの時間と労力

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萬代橋の落書きを消すためにも多くの時間と労力が費やされました。
<記者リポート(4月当時)>
「先月(3月)発見された萬代橋付近の落書きですがきょうようやく消す作業行われています」
ことし4月、足場の設置を含めて3日間作業員と交通誘導員あわせて最大8人が稼働し、作業が行われました。
元の石を傷つけないよう慎重に……
専用の溶剤を塗ったあと重曹を混ぜたお湯を高圧洗浄機で吹きかけ地道に塗料を落としていました。
新潟国道事務所は今後、落書きをした男2人に対し費用を全額請求する予定です。
◆落書きとアートの違い

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県内に住むビジュアルデザイナーの吉樂蕗さんです。吉樂さんは、アートについて文化や背景などを学んでいれば表現の場を間違えることはないといいます。
【ビジュアルデザイナー 吉樂蕗さん】
「アートの境目っていうこともいま大人とか学生もそうだけど、しっかり学んでそれをしっかり伝えないとこういう子たちが生まれる。まずグラフィティは学んでください、勉強してくださいで勉強すると(落書は)やらないと思います。これをやる場所とやらない場所って絶対あると思うので……表現することと責任をセットにしておいてほしい」
◆落書きを消す作業費用は約400万円に

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繰り返される落書きの被害。
その代償の大きさを理解しアートについて正しく学ぶ姿勢が求められています。
新潟国道事務所によりますと萬代橋の落書きを消す作業にかかった費用は2か所であわせて400万円ほどにのぼるということです。
今後、逮捕された男2人対し全額を請求する予定だということで新潟国道事務所は改めて「落書きは絶対にやめてほしい」と呼びかけています。