元朝ドラヒロイン「戸田菜穂」が人気急上昇 「あんぱん」松嶋菜々子との“攻防”も話題に!

 5月に入り、番組の最高視聴率を記録したNHK連続テレビ小説「あんぱん」。心に響く脚本に加え、豪華な俳優陣とその演技力も魅力だが、なかでも「美しい!」とSNSで注目を集めているのが、柳井嵩(北村匠海)の伯母であり、育ての母・千代子を演じる戸田菜穂(51)だ。

 嵩の伯父で診療所の院長・柳井寛(竹野内豊)の妻という役どころでもあるため、華やかな着物に身を包み、洋食をたしなむモダンな生活をしているが、決してお高くとまることはなく、愛情深く、嵩たちに接している。「もしかして、いじわるな伯母さんなのではないか」という視聴者の予想をいい意味で裏切る形となっている。一方で、視聴者を朝からハラハラさせているのは、松嶋菜々子演じる嵩の実母・登美子のバトルだろう。

 例えば、居候の身でありながら、勝手に柳井家の茶道道具を使いお茶を立てた登美子に、千代子が何をしているのかを問うと、まったく悪びれる様子もなく「ご覧のとおり、お茶を立てております」「心が静まりますよ」と口撃。お茶を千代子に勧める際も「お作法どおりじゃなくても結構ですよ」とチクリ。作法通りお茶を一口飲んだ千代子が「いつまで、いらっしゃるがですか?」と反撃すると、登美子は「女が一人で生きていくのは大変、それに、嵩のことが心配なんですよ」と開き直ったように言い放った。これに対し、千代子は「再婚先で、親心も学んでこられたようですね」と皮肉たっぷりに答えると、ここでも「おかげさまで」と不敵な笑みで返したのだった。このヒリヒリする展開に、SNSでは「怖すぎる」「2人のやり取り心臓に悪いけど眼福だ」など反響が相次いだ。

「嵩の成績が芳しくないことを登美子が知ると、まるで千代子が悪いかのように言うシーンも、空気が凍り付く感じがありました。ただ、いざ嵩の受験が近づくと、『合格』という同じ目標に向かい、ふたりが協力するようなシーンもありました。一歩間違うとドロドロの昼ドラや滑稽なコントに見えてしまいそうですが、戸田さんは1993年の『ええにょぼ』、松嶋さんは96年の『ひまわり』で、それぞれ朝ドラのヒロインを経験し、数々のドラマに出演してきたベテラン女優同士です。見事な演技の応酬で視聴者を楽しませ、大いにドラマをもり立てています」(テレビ情報誌の編集者)

■イメージと違い「スポ根」の一面も

 戸田のデビューのきっかけは、90年のホリプロタレントスカウトキャラバン。見事グランプリに輝くと、翌年には事務所の先輩であった鈴木保奈美主演のスペシャルドラマで女優デビューした。その後、93年にNHK連続テレビ小説「ええにょぼ」のヒロインに選ばれ、知名度は全国区となった。

「90年代末から2000年代初頭にかけてヒットしたドラマ『ショムニ』シリーズも戸田さんの代表作と言っていいでしょう。彼女は秘書課のリーダー役を演じ、主演の江角マキコさん演じる総務部庶務二課の問題社員のライバル役として登場し、コミカルな演技で人気作をけん引しました。ショムニのメンバーとは、コロナ禍で中断するまでは年1回同窓会をしていたほど仲が良かったそうです。女性誌の取材に『子どもを連れてくる人もいて、親戚同士の集まりのような感覚。私にとっても思い出深い作品です』と答えていました」(同)

 プライベートでは2010年に医師の男性と結婚し、12年に長女、14年に次女を出産。現在は2児のママでもある。

 最近は家庭での様子をインタビューで話しており、「料理は私が担当ですが、主人は掃除が上手です。主人もキレイ好きなので、家の中がいつも清潔で助かります」と語っている(「CHANTO WEB」2021年9月21日)。こうした発言からも上品なイメージが強い戸田だが、実はスポ根の持ち主という意外な一面もある。

「学生時代は『エースをねらえ』や『アタックNo.1』など、スポーツ漫画が大好きで、自身もテニスやバレーボールをやっていたそうです。また『あしたのジョー』が大好きで、ボクシングジムに通っていた時期もあったようです。ただ、サンドバッグを打つと手にタコができてしまうので、ジムのマネージャーからNGが出て、パンチングボールばかりたたいていたとか。ボクシングは1年ほど続けて、背中に筋肉がつき、『けっこうたくましくなったな』と思うほどだったと語っていました」(同)

■医師の妻は「ハマリ役」

 エンターテイメントジャーナリストの中村裕一氏は、戸田の魅力についてこう分析する。

「朝ドラヒロイン経験者ならではの落ち着いたたたずまいと確かな演技力で、作品に安定感と奥行きをもたらしているところはさすがです。『あんぱん』の第23話では、寛のウイスキーを勝手に飲み、跡取りとなる子どもを産めなかった自分を責め心情を吐露するシーンは胸を打ちました。実家が歯科医ということもあり、医師の妻という今回の役はまさにぴったりです。悪目立ちせず、どんなポジションでもしっかり役割を果たすユーティリティープレーヤーなので、作り手としても安心して役を任せられるのではないでしょうか。年齢やキャリアを重ね、役にも広がりを見せていますが、まだまだ引き出しや伸びしろがあると思います」

 包み込むようなやさしさと美しさで「あんぱん」にぬくもりを加えている戸田。慌ただしい朝に癒やしを与えてくれる彼女の演技が今後も楽しみだ。

(高梨歩)