ホリエモン傘下に「福岡のうどん店」どこが魅力か

「うちだ屋」。堀江貴文氏の関連企業の傘下に入ったことで話題となった(筆者撮影)
昨年12月の関東初出店で、「130席で1日平均200万円・客数2000人以上」という驚異的な集客力を発揮した「資さんうどん」に続いて、福岡県発祥のうどんチェーンが、次々と全国に打って出ようとしている。
【画像】ホリエモン関連企業の傘下に「うちだ屋」は一体どんな店? メニューや店内の様子
例えば3月には、「創業者退任、“ホリエモン”とタッグで全国展開(うちだ屋)」というニュースが話題となった。「資さん」人気が加熱するなか、もし波に乗ることができれば、「讃岐系」の丸亀製麺や、はなまるうどんの競争に割って入るかもしれない。
では、うちだ屋とはどんな店なのか? 福岡県のうどんは次々と全国進出を果たしているのかを考えるためにも、お膝元・福岡県を巡って、目と舌と胃袋で検証してみよう。
福岡は「うどん激戦区」資さん・博多うどんだけじゃない!!

博多区上呉服町「みやけうどん」。創業は1954年。ラーメン県のイメージが強い福岡県だが、実はうどん店も多いのだ(筆者撮影) (筆者撮影)
NTTタウンページで検索してみると、福岡県ではラーメン店が945軒、うどん店は700軒。東京都だとラーメン店2676軒、うどん店1733軒。「うどん県」を自ら名乗る香川県ほどではないが、比率としては確かに多い。
さして広くない県内には、4大チェーンと称される「ウエスト」「資さん」「牧のうどん」「うちだ屋」だけでなく、「人力うどん」「小麦治」など、多店舗展開に成功したローカルチェーンが競い合う。
さらに福岡市内は「かろのうろん」「まことうどん」など個人経営の有名店も多く、各勢力が入り乱れる「うどん激戦区」だ。
ひとくちに「福岡のうどん」と言っても、福岡市の「博多うどん」以外も系統が異なり、この記事でも、あえて味で一括りにしない。しかし、「資さん」も含めて共通するのは「ファミレス使いができるうどん店」の多さだ。

資さんうどん 八千代店(筆者撮影)
うどんが美味しいのはもちろんのこと、丼物や定食、デザートまでバラエティ豊かなメニューを揃え、小上がりやボックス席で、家族や仲間で揃って食事を楽しめる。
「資さん」も、讃岐系より幅広い集客・単価獲得ができる「うどんファミレス」だったからこそ、すかいらーくホールディングスから「240億円で買収」という異例の厚遇を受けたのだ。
店舗数1/3も、旗艦店は賑わう!うどんファミレス「うちだ屋」とは
“ホリエモン”とこと堀江貴文氏が経営戦略顧問を務める「株式会社こむぎの」傘下で「5年後に店舗ほぼ倍増(80店)」を目指すという「うちだ家」は、ファミレス使いできるうどんチェーンの代表的存在だ。

うちだ屋の株式を「こむぎの」が100%引き受け、資本提携が成立した(提携発表資料より)
「うちだ屋」は1998年には九州全域に120店・年間60億円を売り上げ、福岡県内では「ウエスト」と並び、2強を競っていた。
しかし、バブル崩壊による持ち物件の不良債権化で経営危機に陥り、再建後は他の外食・ファミレスとの競争で業績が低迷。撤退が相次いだものの、今でも42店舗(「麺勝」などのブランド含む)が営業中だ。
一体どんな店なのか? 入店してみると…
さっそく、旗艦店である「姪浜店」(福岡市西区)に入店してみよう。地下鉄の駅にほど近いマンション街だけあって、4人掛けのテーブル席や小上がり席は、家族連れや友人同士の来客でいっぱい。
100席クラスの「大箱物件」で、家族・仲間での需要をしっかり掴む「うどんファミレス」として成立しているようだ。

うちだ屋の「全部乗せうどん」(筆者撮影)

うちだ屋の「ねぎとろ丼」(筆者撮影)

レジでは濃縮だしを持ち帰り販売している。家でも使い勝手が良いが、ミニサイズを発売してほしい(筆者撮影)
メインとなるうどんは、出汁は昆布・鰹節を感じる上品さで、いわゆる「博多うどん」の系統だ。それなりのコシがある「資さん」とは対照的な麺の柔らかさだが、天ぷらの旨味を吸い込み、受け止める存在としてはベストマッチング。万人受けしながらも、特徴の違いとして許容範囲に収まる味だ。

メニュー表。看板に大きく掲げる「和風ちゃんぽんうどん」が頼めないのはいただけない(筆者撮影)
メニューは温かいうどんが「肉ごぼ天うどん」「全部乗せうどん」など15種、冷やしが6種。丼物・カレー・おはぎなど充実したラインナップは「資さん」と共通する。
見たところうどんの単品注文が少なく、セット・定食系の注文がかなり多い様子。芋焼酎「黒霧島」「赤霧島」などのボトルキープもOKで、「資さん」以上に種類豊富なツマミを数人でシェアして呑む人々も。
どうやら「うちだ屋」は、家族・グループでの来店や常連客の獲得といった施策には、めっぽう強いようだ。
ただ、丼物のミニサイズがなく、「資さん」の「しあわせセット」に相当する、人気商品を網羅したセットもない。豊富なメニューの割にはカスタマイズの選択肢が少ないのは、今後の課題だろう。またグラス1杯で提供できるお酒の種類が極度に少なく、「一人呑み」需要をうまく獲得できていないようだ。

「うちだ屋」1号店・多々良店(筆者撮影)

人気のカツカレー+うどんセット
課題点は明確、ホリエモン改革で激変するか?
ただ、数店舗を巡った限り、解決すべき問題はありそうだ。
店内のボックス席や小上がり席は配置を詰めすぎて余裕がなく、メニューも「だし自慢」「カレーは一番人気・味自慢」という割には、どんな食材を使って、どう手間をかけているからスゴい!という、美味しさをSNSで言語化できる訴求が少なすぎる。
さらに、一部の店では「冷水をコップ数個に常温で汲みだめ(アイドルタイムで客ゼロなのに!)「新入りのアルバイトへの叱責が店内に響き渡る」などの場面もあり、閉店続きのチェーン店特有の停滞した空気感も、うっすらと見え隠れしている。
ただ、業績が低迷した店にありがちな「調理の明らかな省力化・ずさんな商品提供」の様子は見られず、うどん・出汁の味や商品としてのバリューは、驚くほどしっかり保たれている。また各店とも古いなりに清掃は行き届き、フロアに細かく目配りができる店員さんも健在だ。
山積みの改善点を伸び代と考えれば、「うちだ屋」はちょっとしたテコ入れで、勢いを取り戻せるかもしれない。「こむぎの」が得意とするフランチャイジー(協力企業)獲得に動くのであれば、いまの「うちだ屋」をどう改善していくかが見ものだ。
続く後編の記事―第2の資さん?福岡のうどん店「全国進出」続く事情―では、「うちだ屋」を含む、福岡県のうどんチェーンが全国進出を進めている背景について考えていきたい。