【特集】コメはなぜ不足する事態に? 需要と供給を検証 収穫量調査に疑問の声も《新潟》
備蓄米が全国の店頭に並びはじめました。今後、コメの価格がどうなるのか注目されますが、そもそもなぜ、コメが不足しているのでしょうか?改めてコメの需要と供給について検証します。
◆コメの需要と供給

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まず、コメの「需要量」は消費者が求めているコメの量、この需要に対して十分な供給がないとコメが不足することになります。
普段、コメの需要があることはわかりますが、その「数量」が、どれくらいあるのかわかりません。
そこで、新米が出回る直前の6月末時点で去年7月からことし6月までの1年分を「見える化」して確定させることになっています。
◆「供給量」-「在庫」=「需要量」

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まず、供給量が先にわかります。
去年6月末時点の在庫と去年のコメの生産量を足した量がこの1年の供給量になります。
そこから、消費して減っていってことし6月末、今月末に残る在庫を調べます。
「供給量」からこの在庫を引いた量がこの1年間に消費する量、すなわち「需要量」と見なされています。
こうして需要と供給を調べながらどのくらいコメを作ればいいか計画を立てているのです。
ただ、この供給量が正しいのかどうか議論を呼んできました。
どういうことかといいますと、この供給量は、国の収穫量調査で決定しています。この収穫量調査は、サンプルを抽出した推計のためその信頼性を疑う声もあるのです。
◆農林水産省の収穫量調査

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おととし福井県で公開された農林水産省の収穫量調査の様子です。
収穫量調査は全国で8000か所の水田を無作為で抽出し1か所の水田の中から1平方メートルずつ3か所、あわせて3平方メートル分の稲を刈り取ります。
そして刈り取った稲の玄米をふるいにかけて、ふるいに残る玄米の重さから10アール当たりの収量を決定し全体の収穫量を推計しています。
◆収穫量調査にギモンの声も

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ここで問題になるのは「ふるい」です。収穫量調査で使われるふるいの目、隙間の幅は1.7ミリです。
一方、実際に農家が、出荷のために使っているふるいの目は、1.85ミリ以上が多く、そこに差があるんです。
去年の収穫量調査では県内の10アール当たりの収量は536キロで、平年よりも6キロ下回っていました。しかし、農家は実感と違うと話します。
【農家 虎澤栄三さん】
「くず米はいっぱい出たんですよ。選別ではじかれたコメは確かに量が多かったんですよ。主食として回るコメはうちらから考えれば1割から取れてないという実感ですよね。新潟県内の他の知り合いに聞いても1俵(60キロ)くらい落ちてるって言ってたんですけどね」
ふるいの目について、農林水産省は、加工用のコメも含め全ての量を把握するため1.7ミリに設定していると説明しています。
この収穫量調査、およそ70年続いていますが、基本的に手法は変わっていません。この間、農作業の機械化、大規模化は進んできましたが、調査は手で刈り取っています。
◆推計された収穫量に大きな誤差はないの?

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推計された収穫量に大きな誤差はないのか?
新潟大学農学部の伊藤亮司助教は、次のように指摘します。
【新潟大学農学部 伊籐亮司 助教】
「そこは一定の計数をかけて修正すると農水省は言っていますけど修正自体がどういう根拠に基づいて修正されるか若干の不安定を抱えている」
去年は、稲が倒れる被害が多かったと言われています。収穫のロスも増えますがどのように、調査に反映されているかは公表されていません。
◆コメの需給見通しは

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70年前から同じような手法で調査していますが、それでは需要と供給、それぞれどうなっているか。国が公表している主食用のコメの需給見通しです。
去年6月末の在庫は153万トン、去年の主食用の収穫量が679万トンと推計されていてこの2つを合わせた供給量は832万トンです。
この需要量の見通しが674万トン、今月末の在庫を158万トンと国は見込んでいます。ただ、いまはコメが不足して価格の高騰が続いています。
ことしは、備蓄米が放出され市場に出ていますので、供給側に備蓄米61万トンが加わります。供給量は、893万トンになります。
備蓄米が消費に回るのか在庫で残るのか、6月末に確定されますが、60万トンは通常1か月で消費される量です。
この1年で急激に1か月分の需要が増えたとは考えにくいので、そもそもすべての基になっている収穫量調査の数字に疑念が持たれているわけです。
◆参議院予算委員会でもコメをめぐり議論

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6月2日、参議院予算委員会でもコメの需要と供給をめぐる議論が交わされました。
【参議院議員 立憲・石垣のりこ氏】
「冷害でも災害でもないのに不足すると異常事態という認識皆様にもあるのではないかと思います」
【小泉農水相】
「生産量としては去年から今年は増えていますので、量自体は足りているとも言える と思います」
小泉大臣は、コメの不足は認めませんでしたが、農業政策の改革に取り組む姿勢を見せました。
【小泉農水相】
「農水省内でも言っていますが、いままで見立てを誤ったことも事実なんです。新米が出てくれば大丈夫だといって大丈夫じゃなかったわけです。水田政策の在り方を令和9年度以降に向けて大きく転換していこうと考えています」
70年続く水稲収穫量調査は、ほとんどの期間、減反や生産調整といったコメを減らすために使われてきました。
いまその役割を見直す時期にきているのかもしれません。