39年前の「ドラクエ」は今、遊んでも楽しいのか

HD-2Dリメイク版『ドラゴンクエストI&II』の発売日がついに決定。国民的RPGの復活となるが、39年前のゲームは今遊んでも楽しいのだろうか(画像:ゲーム公式サイトよりキャプチャー)
『ドラクエ』シリーズといえば日本を代表するゲームのひとつだが、その原点となる『ドラゴンクエストI&II』(以下『ドラクエ1&2』と表記)のリメイク版が2025年10月30日に発売されると明らかになった。
【写真で見る】初代『ドラゴンクエスト』は容量を減らすためにカタカナのフォントすらも削減されていた。「ダースドラゴン」という奇妙な名前の敵が登場したのはそれが原因だと言われている
本作はHD-2D技術でグラフィックをより美麗にし、いくつかの追加要素を加えたものになっている。2024年11月にはHD-2Dリメイク版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』が発売されており、同じシステムを用いて過去作を作り直そうという魂胆だろう。
また、『ドラクエ』シリーズの初期三作は「ロト三部作」とされており、物語がつながりを持っている。ゆえに、この三作品をリメイクすること自体はそうおかしくない。
しかし、順番が奇妙である。ゲームは時代が新しくなるほど進化しているにもかかわらず、3を出してからHD-2Dリメイク版『ドラクエ1&2』を出すのだから。実はこれ、想像以上に挑戦的な取り組みといえる。
39年前のゲームは容量すら桁違いに少ない

初代『ドラゴンクエスト』は容量を減らすためにカタカナのフォントすらも削減されていた。「ダースドラゴン」という奇妙な名前の敵が登場したのはそれが原因だと言われている(画像:任天堂公式サイトより)
ビデオゲームは常に進歩を続けている文化である。データ容量だけ見ても、ファミリーコンピュータの初代『ドラゴンクエスト』はわずか64KBしかなく、『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』になってようやく256KBである。
もちろん、256KBも現在から見ればスマホの写真一枚にも満たない情報量だ。現在の大規模なゲームは数Gから数十GBとなっており、まさしく桁違いの変化を遂げている。
そして、遊びの中身も大きく進化している。ビデオゲームは遊びやすさやおもしろさの改善も続けられているため、操作ひとつをとってもすぐに変化する。それこそ初代『ドラゴンクエスト』は人に話しかけるとき東西南北を指定する必要があったが、いまやそんな面倒なRPGはほとんど存在しないだろう。
ましてや、古い作品は単純に内容が乏しい。初代『ドラゴンクエスト』はひとりで旅をするシンプルな内容だし、『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』も3人パーティーにはなったが現代のRPGと比較すれば物足りないし無駄に難しい。古いゲームを遊ぶと、どうしても遊びづらさを感じたり、内容の単純さに驚くことがある。
ロト三部作で最も進化した作品をリメイクしたあとに、『ドラクエ1&2』を発売するのだから、ふつうに考えればこれは無謀である。おまけに価格はフルプライス(約7600円)と完全新作タイトル級だ。なんとも驚くべき事態である。とはいえもちろん、勝算がないわけではないのだろう。
原作の驚きを捨てて、あえて時系列にする挑戦

物語としては初代『ドラゴンクエスト』は二番目に位置する作品だ。しかし、今どきひとり旅のRPGは受け入れられるのだろうか(画像:任天堂公式サイトより)
そもそもの話、ロト三部作は3・1・2の順番で時系列としては正しくなる。つまり、HD-2Dリメイク版では順番どおり遊べるようになるのだ。
もちろん当初はほとんどの人が1・2・3の順番で遊んでいたし、だからこそこの三作品で物語が続いている事実に驚いたのである。とはいえ、この構造についてはダース・ベイダーの正体くらいネタバレされ尽くしているわけで、1・2・3の順で遊んでも当時と同じ衝撃は得られないだろう。
また、ゲーム内容の乏しさにも手を加えているようだ。すでにゲームメディアなどで先行プレイリポートが掲載されており、それによるとこれまでなかった「ちいさなメダル」が出てくるようになったり、特技やイベントが追加されているようだ。

2ではサマルトリアの王女が参戦すると明らかになっている(画像:任天堂公式サイトより)
ストーリーの追加要素もある模様。原作ではほとんど出番のなかったサマルトリアの王女が仲間キャラクターとして出てくるようだし、ゲームの購入特典として「赤いロトの盾」といった原作になかった要素が存在しているため、これも何か物語に関係しているのだろう。
そもそもHD-2Dリメイク版『ドラクエ1&2』にはなんらかのストーリー追加要素があると明言されており、あっとプレイヤーが驚くような仕掛けがあるものと考えられる。
ファンの予想は「シリーズ最新作につながる何か」

発表後、ほぼ音沙汰のないナンバリング最新作『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』。シリーズ生みの親である堀井雄二氏によれば、ダークな感じで、コマンドバトルを一新しているらしい(画像:YouTubeよりキャプチャー)
ストーリー面における追加要素はまだ謎に包まれているが、ファンはさまざまな予想を立てている。その予想のひとつとして、シリーズ最新作『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』につながる何かがあるのではないか、というものがある。
『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』は2021年に発表されてからまったく音沙汰がなく、その後の動きも特に見えてこない。制作は続いていると思われるし、そもそもこのシリーズは開発に時間をかける傾向にある。それにしても動きがなく、ファンはやきもきしている。
2026年は『ドラゴンクエスト』シリーズ40周年記念の年となるため、おそらくこの機会に詳細発表があるのではないか。となると、その前年に出るHD-2Dリメイク版『ドラクエ1&2』で新作につながる設定を見せてくる、というのは確かにありえそうだ。
何より『ドラクエ1&2』は39年近くも前のあまりに古すぎるゲームである。そのくらいのサプライズが用意されていないと、いくら追加要素があったとしてもゲームとしてあまりにも内容が乏しすぎるのではないか。
ともあれ、HD-2Dリメイク版『ドラクエ1&2』がどのような一手を仕掛けてくるかはまだわかっていない。ただ古いゲームを出して顰蹙を買うのか、それとも新しい作品につながる大きな驚きを提供できるのか。あるいはまた違う何かでファンを満足させるのか。いずれにせよ、『ドラゴンクエスト』の大きな転機になりそうだ。