こんなに面白い2Dアクションゲームは久しぶりだ!『SHINOBI 復讐の斬撃』プレビュー

2020年に発売した『ベア・ナックルIV』を少しプレイしたとき、筆者は開発を担当したLizardcubeの腕のすごさに感動を覚えた。アートの美しさ、アニメーションの滑らかさ、アクションの触り心地、どれをとってもそのクオリティの高さが輝いていた。

一方で、ベルトスクロールアクションというジャンルそのものに限界を感じてしまい、いくら優秀なスタジオでもそれをさらに広げ、奥深いものにしていくことは難しいと再認識した。

そういう意味で、セガが過去のIPを復活させるという動きがいちファンとしてうれしくても、その可能性に限界があるのではないかという懸念もある。80年代にルーツをもつ「SHINOBI」シリーズが蘇ると聞いたときも、懐疑的になってしまったことは否めない。

筆者はNintendo Switch Onlineで『ザ・スーパー忍II』をプレイしており、「どこでもセーブ」機能のおかげでなんとかクリアできた。1993年に発売したゲームとして割り切って楽しめたが、アクションのシンプルさ、理不尽な難易度、ステージ構成の単純さなどが2020年代にも通用するとは言えなかった。

2025年8月29日に発売が迫るLizardcubeによるシリーズ復活作『SHINOBI 復讐の斬撃』を実際にプレイして、そうした懸念は手裏剣で一瞬にして弾かれた。「こんなに面白い2Dアクションゲームを遊んだのはいつぶりだろう?」と興奮しながら、向かってくる敵たちを華麗な手捌きで倒している自分がいたのだ。もちろん、『プリンス・オブ・ペルシャ 失われた王冠』や『ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist』といった優れた2Dアクションゲームは最近も登場している、いずれもメトロイドヴァニアであり、本作のようなリニアなアクションゲームとは根本的に質が異なる。

『SHINOBI 復讐の斬撃』は『ザ・スーパー忍II』と同じくバトル中心の2Dアクションゲームではあるが、当時のゲームデザインをそのまま踏襲しているわけではない。というか、むしろほとんど似ていないというのが正確なところで、「忍者らしいアクションで歯ごたえのある横スクロールを楽しむ」という精神だけが引き継がれたと言えそうだ。

「ゲームの設計について、実は完全に現代にあわせた作りをしていて、アクションも昔っぽいものではなく、最近の2Dプラットフォーマーに慣れ親しんだ人に向けて作っています」とプロデューサーを務めた大原徹氏も発言している。

『SHINOBI 復讐の斬撃』は80・90年代のアクションゲームよりも、『The Messenger』(レビュー)のようにそれらを現代向けに再解釈したゲームデザインが施されていると言える。

モダンな2Dアクションゲームはメトロイドヴァニア(探索型横スクロール)の形式を採用している作品が多いが、『SHINOBI 復讐の斬撃』はあくまでステージクリア型のアクションゲームであり、探索はステージ内に寄り道ができる程度となっている。

主人公ジョー・ムサシは二段ジャンプや空中ダッシュが最初から使えるので、その優れた機動力を活かしたジャンプアクションや、様々な仕掛けを動かしてルートを打開していくゲームプレイもある。だが、なんといってもバトル中心の作りとなっており、多種多様な技で敵を斬っていくことが最大の魅力である。アクションの触り心地の良さは、手に取った瞬間から明白だった。

「『動かすだけで楽しい』はアクションゲームについてよく言われるんですけど、『そんなゲームあるかな?』と思っていました。しかし、今作にはそういう実感が本当にあって、『あっ、これはいけるかも!』と思いましたね」とディレクターの寺田貴治氏も話す。

モーションの滑らかさもあり、確かに本作は走ってジャンプしているだけで気持ちよく、その動きから忍者っぽさがにじみ出ている。弱・強の近接攻撃を交互に入力してコンボを繋ぐアクションこそ太古の昔からあるような気がするが、気持ちがいいことは否定のしようがない。離れた距離から手裏剣を投げ、ドッジロールや空中ダッシュで敵の攻撃を避けながら接近して斬っていると、それだけでアクションゲームとして完成しているような気がしてくる。

もちろん、それだけではスタートラインに立ったに過ぎず、ユニークな魅力を放っているとは言えない。これは寺田氏も同じ考えだったという。

「そこにシノビ・エクスキューションという技が入ったことで、忍らしい一撃必殺の要素がこのゲームならではの特徴として加わりました。これは、『いけるぞ!』と思った2回目ですね」と寺田氏。

「シノビ・エクスキューション」はいわゆるゲージ消費型の必殺技であり、「滅」というアイコンの出ている敵を一掃できる。忍者らしい演出がカッコいいし、「滅」の敵が最も多く出ているときを見極めて放つのが楽しい。必殺技はほかにも「忍術」という奥義があり、これもゲージ消費型の強力な攻撃となっている。

いずれも発動した後は見届けるだけなので、ゲームプレイを本質的に膨らませるというよりもとにかく派手さが際立っているというのが筆者の正直な印象だ。とはいえ、ゲージの溜め方がクレバーだ。例えば、手裏剣を投げることで「シノビ・エクスキューション」のゲージを溜めていける。手裏剣は無限に使えるわけではないので、最初は温存してしまっていた。だが、「シノビ・エクスキューション」が解放されたことによってゲージを溜めるというメリットが加わり、より積極的に使いたくなった。一方で、「忍術」のゲージはダメージを受けることで溜まっていくので、ピンチ時に溜まりやすく、大逆転を起こし得るスリルとして機能している。

だが、これら必殺技以上に、下記の3つに分類される技が驚くほどの広がりを持たせていると感じた。

  • 「忍法」(属性系スキル)
  • 「忍技」(特殊アクション)
  • 「戦闘技」(通常技)

忍法はゲームを進める過程で宝箱から入手し、忍技はゲームを進める過程で必ずアンロックされ、戦闘技はショップで購入できる形式となっている模様。

忍法もストックを溜める必要があるとはいえ、すぐに溜まるのでどんどん使える。最初に入手する「火炎」は火を噴いて炎ダメージを与えるだけのものだが、その次に習得した「豪瀑返し」は敵の攻撃に対してカウンターを繰り出すものだった。シチュエーションに応じて駆使する忍法は、今年の頭に発売した『ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist』のスキルを彷彿とさせた。メニュー画面を確認してみたところ、忍法スロットは全部で8つあるので、最終的には多種多様な能力をスピーディーに使い分けていくことになるだろう。

「忍技」は空中ダッシュや溜め攻撃といった基本的なアクションが多いが、私は「旋転」と呼ばれるアクションが特に気に入った。「旋転」は敵に攻撃を当てた直後にドッジロールするもので、敵の反撃を回避しながら素早くまた自分の攻撃に転じることができる。スタイリッシュな見た目であることはもちろん、たくさんの敵と同時に戦っているときに便利だし、コンボを繋ぐ上で基礎的なアクションになっていきそうだ。

戦闘技はゲージやストックがなく、基本的にはいつでも使える。試遊の途中で約10種類の戦闘技が解放されたセーブデータに移行することになったが、できることが多くて、すべて使いこなせないほどだった。もちろん、ゲームを順番通りに遊べば徐々にアンロックされていくので、徐々に慣れていけるはずだ。しかし、私はこの「できることが多くて圧倒される感覚」がむしろうれしかった。

空中から急降下しながら蹴りを入れる「隼落とし」、攻撃をヒットさせてから飛び退いて手裏剣を同時に3つ投げる「三刃投」、前転した直後に攻撃ボタンを入力して飛び膝蹴りを繰り出す「岩石砕」など、与えられた戦闘技の一部しか使えていなくても、戦術の幅が一気に広がり、最強の忍者になった気分が味わえた。

「新しい技はボタンに割り振って入れ替えるようなシステムのゲームが多いと思いますが、今作は本当にただただ技が増えていき、できることが多くなっていきます。最初は繋がらなかった攻撃が繋がるようになったり、違う敵まで飛んで攻撃ができるようになったり、相手を吹き飛ばした先にさらに追い打ちができるようになったりします。普通のアクションゲームとして始まったものが、どんどん格闘ゲームのような感覚に広がっていくところが、本作の新しいポイントだと思っています」と大原氏は語っている。

メニュー画面を確認すると「忍法」、「忍技」、「戦闘技」をあわせると30以上のスロットがある。これらをすべてマスターして、臨機応変に使い分けられるようになれば、凄まじい爽快感の得られる体験になるだろう。約1時間の試遊でも、それは容易に想像できた。

『SHINOBI 復讐の斬撃』は基本的に一対多数の戦いを中心にデザインされており、スキルや技の多くも複数の敵に対応するシチュエーションが想定されている。「旋転」や「隼落とし」で派手に飛び回りながら上下左右の敵をスタイリッシュに斬っていき、ピンチになったら「ニンジャ・エクスキューション」や「忍術」を発動する。

だが、そうは言ってもボス戦も凝ったデザインになっている。通常攻撃を無効にするアーマーを装備していたり、床を炎に覆わせてから素早く弾丸を飛ばしてきたり、「ダークアタック」というドッジロールで回避できない攻撃を繰り出したりするので、そうした特徴や攻撃にうまく対応できる技や戦略を駆使する必要に迫られる。

ボスの「攻撃」も通常敵の「数」も脅威になり得るわけで、歯ごたえのあるゲームであることは間違いない。最近のゲームは敵の猛攻をパリィといった限られた能力で凌いで反撃のチャンスをうかがう作品が多いが、『SHINOBI 復讐の斬撃』はそうではない。むしろ、敵をも凌駕する豊富な技やスキルで、その脅威を積極的に乗り越えられるようになっている。

「難しいゲームであるのは確かですが、プレイヤーキャラクターであるムサシのスペックが高すぎて、それを使いこなせればどなたでもクリアできると思います。それでも難しいというときはいつでも難易度を調整できる機能が入っていますし、敵のHP・攻撃力・攻撃頻度などは細かく変更できるようになっています」と寺田氏。

「竹林」に「提灯祭り」といったステージは、水彩画と水墨画をミックスさせたような手書きアニメーションによって命が吹き込まれている。ミステリアスな雰囲気を帯びた霧から提灯のきらびやかな光りまで、ステージごとに激しく異なる雰囲気は丁寧に描写されており、ステージが進むに連れてシームレスに変化していく。本作はあくまでアクションゲームだが、アートディレクションもかなり大きな見どころのひとつと言えそうだ。

何よりも、とにかくこの最強の忍者伝説をもっと堪能したい! という気持ちで試遊を終えた。無限に広がるアクションをマスターし、チャレンジを乗り越えるゲーム体験の続きが今から楽しみだ。

『SHINOBI 復讐の斬撃』は8月29日、PS5/PS4/Nintendo Switch/Xbox Series X/Xbox One/PC向けに発売予定だ。