佳子さま ブラジルでお召しのカメリアワンピ 1枚1枚手作業で…「現代の名工」が明かすプレタポルテの製作秘話

 ブラジルを訪問中の秋篠宮家の次女の佳子さまの装いが、注目が集めている。特に、6月7日の老人福祉施設を訪問時にお召しだった花柄のワンピースは、ブランド側が準備した120着の再販予約枠は一晩で埋まり、いまは再々販予約をスタートさせた。実は、このワンピースは、「現代の名工」による品だった。

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 佳子さまが、日系人の高齢者が入所する「憩の園」を訪ねたのは、6月7日の午前だった。

佳子さまは、車イスなどに座る入居者らの前に跪き、ゆっくりと目を合わせた。ひとりひとりの手をしっかりと握ると、彼らの耳元に顔を寄せて、声をかけた。

「お元気ですか、どのようにお過ごしですか」

佳子さまが立ち上がる度に、ワンピースに描かれた白いカメリアと緑の葉が美しく動き、フレアスカートのドレープがふんわりと波打つ。

 ブラジルを公式訪問中の佳子さまの装いは、連日話題になった。

 なかでも、ファッションブランド「Viaggio Blu(ビアッジョブルー)」の「カメリアプリントワンピース」(税込59400円)への反響は大きかった。

 同ブランドを展開するジャヴァコーポレーションでPRを担当する越智樹里さんは、この日のニュース映像を見て佳子さまが着用していることを知り、驚いたという。

 このカメリアワンピースは昨年のクリスマスを前に販売した品。もともと、すくない製作枚数であったため完売済みだったが、佳子さまが着用したことで問い合わせが殺到。

 急遽、設けた8月引き渡し予定の再販予約枠はひと晩で埋まり、現在は9月上旬引き渡し分となる再々販予約を受け付けている。

 

 実は、佳子さまが同ブランドのワンピースを着用したのは、わかる範囲で2度目。

 昨年11月、秋篠宮さまの59歳の誕生日にあたりご一家で臨んだ記念撮影では、ロイヤルブルーをテーマにしたワンピースをお召しだった。

 

 そしてブラジルの地で、佳子さまが着用した「カメリアワンピース」は、品のよい華やかなデザインもさることながら、その制作過程も注目された。

 ビアッジョブルーのコンセプトは、質と高級感を保ちながらも、手の届きやすいAFFORDABLE LUXURY(手の届くラグジュアリー)。

 越智さんによれば、このカメリアワンピースは、6万円を切る値段ながらも、布地の生産から縫製まで完全なる日本製である点への反響も大きかったという。

 

「生地は京都の染色会社に、生地の織布工程から幣ブランドデザイナーによるオリジナル図案の染色とプリントまでをお願いした、Viaggio Bluオリジナルです」

カメリアワンピースが「特別」なのは、国産という点だけではない。

 実は、このワンピースは、「現代の名工」の指導よる「作品」なのだ。

ビアッジョブルーからの注文を受けたのは、洋服の仕立て職人である猿田由美子さん(77)だ。

 由美子さんは、秋田市に衣料服の縫製工場を構える「(株)ほうこう」の専務として、いまは職人の指導に力を注いでいる。その技術の高さは、2020年に「現代の名工」に選ばれたことからもよくわかる。

 さらに、24年には洋服仕立職で黄綬褒章を受章し、皇居・宮殿で天皇陛下に拝謁したばかりだった。

由美子さんが経営する「ほうこう」は、その技術の高さから国内外の高級ブランドの委託生産も数多く手がけてきた。

「他では縫えなかった。ぜひ、名工にお願いしたい」と、由美子さんを頼ってハイブランドの難しい仕立ての仕事が持ち込まれることも珍しくない。

「ほうこう」に、「カメリアワンピース」の委託生産の依頼が来たのは昨年のことだった。

 生地は、淡い象牙色の生地に大柄の白のカメリアと鮮やかな緑の葉が配された美しい模様。

 依頼されたワンピースは、裾やウエスト、首まわりは黒の布がアクセントとなり、カメリアの柄が裾と袖まわりでフェードアウトするような、凝ったデザインだった。

裾に入れる黒いラインも、何センチと細かな指示があり、わずかなズレでもデザインを狂わせてしまう。

 由美子さんの息子で「ほうこう」の常務取締役である、猿田由紀夫さんはこう振り返る。

「普通ならば、布は10枚、20枚まとめて機械で裁断しますが、このワンピースの生地は、熟練の裁断工に一枚一枚手作業で裁断してもらいました」

 社員を指導した由美子さんは、生地を裁断する際の鋏の入れ方や縫い方に工夫を加えた。

 フレアスカートのため、織り目に対して斜めにカットをする必要がある。普通は上から下に入れる鋏と針を逆にして、フレアに余計なたるみがでないように気を配った。

 

「光沢のある美しい生地ですが、とても滑りやすかった。針の縫い目やミシンの送り歯で布を傷めないよう、細心の注意を払うよう伝えました」

 由美子さんは、もともとはオーダーメイドを専門としており、会社を立ち上げたのちにプレタポルテ(既製服)を学んだ。双方のよい部分を組み合わせて腕を磨き、「名工」となった。

「プレタポルテ(既製服)ではありますが、このワンピースは、手作業がとても多かった。職人たちにも、細かな部分まで厳しく指示しました」

そう、由美子さんはほほ笑む。

 難易度の高いデザインと布地だったが、フレアのドレープが美しいワンピースに仕上がった。職人たちには、「合格よ」と声をかけた。

 苦労した品だったが、まさか佳子さまが着用するとは、想像もしていなかった。

 そのおよそ半年後の6月7日、ブラジルを訪問中の佳子さまが、日系人の高齢者が入所する「憩の園」を訪ねる際に、このカメリアワンピースを選んだ。 

 このニュースをテレビで見ていた職人たちは、佳子さまが着用しているワンピースを見つけて、「うちの服!」と驚いたように声をあげた。

 ここ1年ほど、佳子さまは公務の際に、有田焼や美濃焼、肥前びーどろのイヤリングや輪島塗のバレッタなど、積極的に日本各地の伝統工芸品のアクセサリーを身に着けるなど、「佳子さま流」を明確にしている。

 そして、今回のブラジル訪問では、布地のプリントからデザイン、縫製まですべて日本製のワンピースを身に着けて日系の高齢者施設を訪ね、彼らの手を握りしめた。

 祖国を遠く離れブラジルの地に暮らす人びとへの、メッセージなのかもしれない。

(AERA 編集部・永井貴子)