《結婚当初から別居婚》「親子は一緒に住むのが当たり前」との批判も…奥井奈々「子どもの成長過程が見られなくても葛藤はない」
フリーアナウンサーの奥井奈々さんは、東京と三重の二拠点生活をしながら育児に奮闘しています。奥井さんが東京で仕事のときは、三重に住む夫が3歳の娘をみているため、実母などから「親子は一緒に住まなきゃ」と批判されることもあったそうです。(全3回中の3回)
別居婚のまま出産 平日の育児は三重在住の夫が
── フリーのアナウンサーとして東京で仕事をしつつ、旦那さんとお子さんが住む三重に通うという二拠点生活をしているそうですね。どのような流れでそうなったのですか?

奥井奈々
現在3歳の娘・むいちゃんと奥井さん:もともと結婚当初から別居婚なんです。夫が家業を引き継ぐ形で地元の三重に帰ったんですが、私は東京で収録があることが多いので、それなら別々に暮らそうか、ということになって。
── 別居婚のまま、子育てに突入したんですか?
奥井さん:そうですね。2020年に結婚して、子どもは今3歳ですが、交際していた当時も同棲はしていないですし、家族3人で長く暮らした期間はないんです。
── そうだったんですね。義理のご両親や奥井さんのご両親の反応はどうでしたか?
奥井さん:思うところはあったのかもしれませんが、特に何も言われなかったですね。ただ最近になって、「やっぱり親子は一緒に住まなきゃ」と母から言われることが増えました。母は大阪出身で淡路島に嫁いだんですけど、自分がやってきたことを娘にもしてほしいんだろうなと思います。
── 今はどれぐらいの頻度で三重に?
奥井さん:イレギュラーもありますが、基本的に平日は東京で仕事をして、週末は私が三重に帰って家族と一緒に週末を過ごし、月曜日の朝に新幹線で東京に戻ってくる、というスタイルです。
── 忙しそう…。出産は東京だったんですか?
奥井さん:そうです。出産する2週間前まで番組を担当していたので、スタジオ近くの病院を選んで、もし破水してもすぐに出産できるように準備を整えて。産後3、4か月くらいで復職したんですが、1歳になるまでは母乳メインだったので、ずっと東京でワンオペでした。夜は登録制のベビーシッターさんやベビーシッターの資格を持っている友達に来てもらって。あとは自分の親や祖母が淡路島から来てサポートしてくれていました。
── 旦那さんはその間どうされていたんですか?
奥井さん:育休を取ってくれて、1か月間は一緒にいてくれました。その後は三重に戻って、東京にたまに来てくれる感じで。彼は物理的に動けないぶん、冷凍食品やフルーツをたくさん送ってくれたりして、サポートはたくさんしてくれました。
そんなに「子どもの初めて」を見ることって大事?
── そうだったんですね。NHKの番組で奥井さんの二拠点育児について取材を受けたとき、視聴者から厳しい意見もあったと伺いました。
奥井さん:NHKの『クローズアップ現代』で取り上げていただいたときに、当時シェアハウスの仲間に育児を手伝ってもらっていたんです。その映像を見た人から「子どもには母親がしっかりついてないとダメ」「やっぱり育児は母親だよね」というようなコメントが結構あったのは見かけました。

奥井奈々
むいちゃんをおんぶしてすっかり母の顔── シェアハウスで育児していたんですか?
奥井さん:そうなんです。当時はシェアハウスの友達が育児をたくさん手伝ってくれて、助かりましたね。シェアハウスには若い人だけが住んでいると思われがちですが、上は50代から下は3歳まで幅広く、ファミリーも住んでいるんです。
── ユニークな環境ですね…!今は娘さんは三重の保育園に通っているそうですね。
奥井さん:そうですね。通っている保育園はすごく理解があって、基本的にママが仕事のときは東京にいると理解してくれていて。たまに私がお迎えに行くと「すごい、来てくれた!」みたいな(笑)。ただ、逆に母からチクチク言われることはあります。
──「子どもの成長の過程を見られない」という葛藤は、単身赴任中の親にありがちな思いかと思うのですが、奥井さんはその点はどうでしたか?
奥井さん:私はあまりないですね。たとえば3、4日ぶりに娘に会うとめちゃくちゃ言葉が発達してることがあるんです。なので、逆に成長にすぐに気づける。そういう驚きや喜びのほうが大きいです。たしかに初めてハイハイした場面を私は見ていません。でも、夫から動画で送られてくるので、それで十分です。
── 割りきれているんですね。
奥井さん:そうですね。あと、「そんなに最初のシーンを見ることって大事かな」って思うんですよね。娘が初めてしゃべった言葉も「あし(足)」でしたし(笑)。「あし、かぁ。ママとかパパとかじゃないんだ」という。初めて歩いた、とかしゃべった、とかそういう初めてのシーンは見られなくても、娘が何かできるようになったという事実に違いはないので、そこを祝福したらいいんじゃないかなって思います。
娘はパパっ子「いいんじゃない?どうぞって思ってる」
── 一緒にいる時間が少ないと、どうしても親子の関係性が弱くなってしまう部分は出てくるかと思うんですが、娘さんはいかがですか?
奥井さん:いつも「パパがいい」って言いますね。だから、パパっ子なんですけど、私は「いいんじゃない?どうぞ」って思ってます。パパはたしかにいい人だし(笑)。

奥井奈々
少子化が進む韓国で、二拠点育児について講演する奥井さん── 今の二拠点育児はいつごろまで続けようと思っていますか?
奥井さん:娘が小学校に入ると今まで通りにはいかないかな、と思ってるんです。今はこの生活が最適解ですけど、ずっと続けていくのがベストではないなと。どこかのタイミングで、娘が東京に来て私と一緒に暮らすという選択肢はありますし、娘の成長次第だと思っています。娘にとって、帰れる場所や安心できる場所を大事にしたいと思っているんです。それが三重か東京か、場所が変わるというだけですね。
── 母としてもアナウンサーとしても、いい意味で型破りで、やりたいことに何でもチャレンジする行動力を感じました。原動力はなんですか?
奥井さん:もともと頭が弱いっていうのはあるかも(笑)。普通の人は、何かをしようと思ったら事前に計画を立てるじゃないですか。私は計画を立てられないので、いきなり行動しちゃうんです。特に5年前にNewsPicksに入ったばかりのころは、右も左もわからず、ただ若さと野蛮さに任せていたところがありました。
ただ、おそらく今も行動力はあるほうで、それはなぜかと考えてみると「行動する人に世界はやさしい」という原理原則に気づいたからだと思うんです。行動する人に報酬は与えられるし、行動する人に人はやさしくしてくれる。自分の強みと世の中の原理原則が合っていたというか。
── 行動しつづけるなかで、そういう人生の原理原則に気づいたんですね。
奥井さん:そうですね。タイミングさえ合っていれば、行動する人はやさしくしてもらえるし、背中を押してもらえる。お仕事でご一緒している『ReHacQ(リハック)』の高橋(弘樹)さんも今大人気ですが、何がすごいのかなと考えると、私は勇気があるからだと思っています。普通ならできないような質問も臆さずにどんどんしていく方なんです。そういう勇気があって行動する人に世間はついてくるし、運も開けると思っています。うちの娘が大好きな『パウパトロール』でも、よく「勇気が大事」というエピソードが出てくるんです。子どもに「勇気が大事」と教えるからには、自分も勇気を出して行動しようと思っています。
取材・文/市岡ひかり 写真提供/奥井奈々