清水章弘&松尾依里佳、東大卒・京大卒夫婦の子育て 「好きなことに没頭する生き方を子どもたちに示していきたい」

情報番組などでお馴染みの、教育アドバイザーの清水章弘さん。妻であるバイオリニストの松尾依里佳(えりか)さんとの間には、2人のお子さんがいます。ともにテレビ番組の生出演や出張も多く、忙しい日々を送る清水さん夫妻ですが、SNSには夫婦の写真を多く投稿するなど、結婚10年目の今もとても仲良し。夫婦の出会いや円満の秘訣、子育てに対する夫婦の考え方を聞きました。※前編<教育アドバイザー・清水章弘に聞く“頭を使わせる”母の教育”とは「お弁当に箸を1本だけ入れて、乗り越える方法を考えさせた」>から続く
■出会って3日でプロポーズ「誰かに取られるぞ、と」
――奥様である松尾依里佳さんとは、どのように出会われたのでしょうか?
共通の知人の紹介です。27歳の時にそろそろ結婚したいと思い、「誰か紹介してほしい」とお願いしたら、連れてきてくれたのが妻でした。初めは知人と3人で会って、その3日後、今度は2人で知り合いの個展に行き、別れ際に「結婚を前提にお付き合いさせてほしい」と伝えました。
――出会ってすぐに結婚を意識されたんですね。
普通、そういうことを伝えるのは夜が多いと思うんですが、その日、妻は昼には大阪に帰る予定だったので、午前中に伝えたんですよね。プロポーズとしては異例かもしれませんが、早い時間のほうがお互い思考がクリアだし、結果良かったと思います(笑)。すぐに結婚の意思を伝えたのは、自分が本気だということを伝えたかったから。あとは「すぐに行動に移さないと、誰かに取られるぞ」という気持ちもありました。
その1年後の2015年に結婚して今年で結婚10年目ですが、仲は良いですよ。彼女は人柄が好きなのはもちろんですが、とにかく見た目がタイプなんです(笑)。でも直接妻にそう伝えるのは照れるので、いつも子どもたちに向かって「ママは美人だね」と言っています。

■毎晩紅茶を飲みつつ夫婦で“打ち上げ”
――お二人ともお忙しい中、日々のコミュニケーションはどのように取っていますか?
うちには毎晩、二人でカフェインレスの紅茶を飲みながらあれこれ話をする「紅茶タイム」というのがあるんです。夫婦の定例会議みたいなもので、だいたい夜の12時から1時間、長い日は3時間くらい話すこともあります。この紅茶タイムが、とにかく楽しいんですよ。
何でこんなに楽しいんだろうとこの前二人で話した結果、僕ら夫婦は「打ち上げ」が好きなんだ、と言う結論に至りました。『不思議の国のアリス』の中に、「誕生日じゃない日(なんでもない日)おめでとう」、というようなセリフがありますよね。あれと同じで別に特別な日ではないけど、今日も1日が終わったね、という意味での打ち上げです。
――どのような話をするのでしょうか?
いろいろなことを話しますね。例えば、お互いが出演した番組を一緒にチェックして感想を言い合ったり、自分のコメントの前で一時停止して「さぁ、僕はここで何と言ったでしょう!?」なんてクイズを出したり(笑)。妻が翌日テレビ出演する日は僕がまとめているノートを貸して「僕だったら、こんなふうに答えるかな」とアドバイスをすることもあります。ちょっと嫌なことがあった日も、「これをどうやって夜の紅茶タイムで話そう」「いいネタをもらった」ととらえることで前向きに消化できるし、乗り越えるきっかけになるんですよね。
■何かに没頭する生き方を示したい
――紅茶タイムでは、子育てについて話すこともありますか?
もちろんです。長女の妊娠中から、子育てについてはよく話してきました。まずは無事に生まれてきてほしいというのが一番、それだけでありがたいよねというのはありつつ、夫婦ともに感じていたのが、自分が好きなこと、楽しいと思うことに没頭する生き方を子どもたちに示していきたい、ということでした。
人生がトラック一周を周るレースだとしたら、幸せな人生かどうかが決まるのは第4コーナーを過ぎてからだと僕は思っています。じゃあ人生の終盤の幸せって何なのかと考えると、それは究極、自分が面白いと思える何かを持っていることなんじゃないかな、と。
■好きなことこそ手を抜かない
――そういった考え方は、ご夫婦共通なんですね
このように考えるようになったのは、妻の影響でもあります。大阪出身の妻からよく聞いていた「オモロい」を最重視する関西の人たちの考え方って、すごくいいなぁと思うんです。
1年前に家族の拠点を関西に移したのも、そういう価値観の中で子どもを育てたいと感じたから。将来大人になったときに幸せな時間を過ごせるように、今は好きなことこそ手を抜かずに一生懸命やりなさいと子どもには伝えています。妻も小さいころ、「勉強は大変なことだから楽しく、バイオリンは楽しいことだから厳しくやりなさい」と先生から言われていたそうです。
――お二人は東大卒、京大卒のご夫婦です。お子さんの教育については、どのように考えていますか?
「東大卒、京大卒のお子さんなら、将来はハーバード大ね」なんて言われることもあるのですが、はっきり言って勘弁してほしいし、余計なお世話だなと思っています(笑)。学歴については僕も妻もあまり重視はしていません。学歴はゴールではなく、人生の一要素。誤解を恐れずに言えば、学校の勉強や学力といったものは、後から変えられるものだと思っています。
何が何でも現役で東大医学部に行きたいとなると話は変わるかも知れませんが、そうでなければ、自分の目標が定まってからそこに向けて頑張れば、いくらでも取り返しはきくものです。もちろん人より時間はかかってしまうかもしれませんが。そもそも「学ぶこと」は、点数や偏差値を上げることではなく、生きることそのもの。生きている限り、人は何かを学び続け、学ぶことが楽しければ、生きることも楽しくなります。
わが家の子どもたちにも、楽しく学べることにたくさん出会ってほしいし、いろいろなことを吸収しながら生きることを楽しんでほしいですね。いつか大人になったとき、自分の人生や自分という存在を肯定できる人になってくれたら、うれしいです。

■「敢えて一緒にいる」夫婦でいたい
――夫婦の意見が食い違った場合は、どうしていますか?
とにかくたくさん話をするので、もちろん僕と妻の意見が一致しないこともあります。夫婦なので、最終的には意見を合わせて方針を決めていかければならないんですが、初めの段階では意見が違っていてもいいんですよ。妻と意見が食い違ったときに僕が心がけているのは、結論ありきで話さないこと。自分の考えを伝えながら、相手の意見もしっかり聞いて、対話の中で結論を探すことが大切だと思います。
そもそも妻はもともと他人なので、過度な期待はするべきではないし、相手の人格は大切にするべきです。夫婦はお互いが独立した存在でありながら敢えて一緒にいる、という関係がいいと僕思っているんです。お互いが離れたら生きていけないと言う夫婦関係もあると思いますが、僕は妻と離れようと思えば離れられるけれども、好きだし楽しいから敢えて一緒にいる、という関係でいたいですね。
――「敢えて一緒にいる」というのは素敵な考え方ですね。
「仲良くしよう」っていう気負いがあると逆に疲れちゃいますけど、お互い自由にやりつつ、毎晩の紅茶タイムの打ち上げで一緒に楽しい時間を過ごすという今の感じが、僕ら夫婦には合っているんでしょう。夫婦も子どももそれぞれの人生を生きつつ、困ったことがあれば助け合い、安心できる場所や逃げ場所になる。妻や子どもたちとは、そういう関係性を築いていきたいと思っています。
(構成/木下昌子)
○清水章弘(しみず・あきひろ)/教育アドバイザー。「勉強のやり方」を教える塾プラスティー代表。1987年生まれ。千葉県出身。私立海城高等学校卒業後、東京大学教育学部を経て、同大学院修士課程修了。TBS系『ひるおび』、日本テレビ系『情報ライブ ミヤネ屋』などでコメンテーターを務める。朝日小学生新聞では小学生向けの勉強法に関する記事を連載中。『自ら学ぶ子を育てる! 清水先生の自宅学習相談室』(朝日新聞出版)など。最新刊に朝日小学生新聞の連載を掲載した「10歳からの勉強こうりゃく!」(小学館)、他著書多数。2015年に結婚したバイオリニストの松尾依里佳と7歳の長女、2歳の息子の4人家族。