【 和田秀樹さんが解説】幸せな老後のために「脳の変化対応力」を鍛える6つの生活習慣とは?

【 和田秀樹さんが解説】幸せな老後のために「脳の変化対応力」を鍛える6つの生活習慣とは?
「歩かなくなると足腰が弱るように、脳の『前頭葉』も、使わないと機能が衰える」と話すのは、精神科医の和田秀樹さん。そこで、普段の生活で無理なくできる前頭葉の鍛錬方法を和田さんに伺いました。
▼▼

お話を伺ったのは
和田秀樹さん
1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。和田秀樹こころと体のクリニック院長。立命館大学生命科学部特任教授。30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。主な著書に『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『不老脳』(新潮新書)、『わたしの100歳地図』(主婦の友社)など多数。
「毎日が実験」の精神で、ルーティンから抜け出そう
「若い頃は結婚や子どもの誕生、職場の異動、引っ越しなどで生活は次々変化します。こうした新たな経験や事態に対処するのが、前頭葉の役割。フル回転で働いて、新しい環境に適応させてくれます。
ところが、子育てが終わり、退職して老後を迎えると、生活は単調になりがち。年とともに前頭葉自体も衰えるため、何事も『自分に心地よいこと』を好むようになり、ますます変化が乏しくなります。
食事は行きつけの店、ファッションは同じブランド、カラオケで歌うのは昔好きだった歌、といった行動は、前頭葉の衰えを促進します。ボケ防止のため、日々のルーティンから抜け出して新しいモノやコトに挑戦しましょう。初めての店に入る、いつも着ない色の洋服を着る……など小さなことでOK。『毎日が実験』と思って変化を取り入れれば、前頭葉が鍛えられて気持ちも体も若返ります。
女性は更年期後に男性ホルモンが増えアクティブになる人も多いので、ぜひ行ったことがない場所に旅行に出て、新鮮な感動を得てください」
「脳の変化対応力」の鍛え方
毎日決まり切ったルーティンを繰り返していては、前頭葉が老化してしまいます。
「あえて日常生活に変化をつけ、その成果や失敗を楽しむ気持ちをもちましょう」
①「想定外」のモノや出来事を歓迎する
毎日同じルーティンを繰り返していると、前頭葉はもとより脳全体への刺激がなくなって老化が進んでしまいます。散歩はいつもと違う道を歩いてみる、料理は新しい食材に挑戦してみるなど、普段と違うことを意識して取り入れましょう。想定外の出来事に出合う可能性が広がり、ワクワク、ドキドキするほど前頭葉は活性化します。
②なじみの店ばかり行かない
なじみの店は出てくる料理も店の人の対応も予想できて安心ですが、その店しか行かないのは老化特有の、脳の「ひきこもり」状態。ときには、新しい店にも足を向け、脳を解放しましょう。高いわりにおいしくなくてガッカリ……そんな失敗もまた刺激になります。「失敗してもいい」という前向きな思考と行動が若々しさを保つ秘訣!
③ひとつのことに10のアイデアを出す訓練をする
何かの選択で迷ったら、「あっちかこっちか」の二者択一ではなく、できるだけ多く、最低でも10の選択肢を考えてみましょう。たくさんアイデアを出そうとするほど、普段の考え方や知識、情報だけでは間に合わなくなります。違う視点や立場からの発想を取り入れるようになり、前頭葉の「変化対応力」が鍛えられます。

④新作映画を観る、新しい曲を聴く・歌う
若い頃は新作映画が公開されるたびに映画館へ行ったのに、今は動画配信サービスなどで昔観た懐かしい映画しか見ない─これもまた脳の「老化現象」による行動。映画でも音楽でも、前頭葉は見たことがないもの、聴いたことがないものに反応します。映画を観るなら封切り映画館で話題の新作を、カラオケで歌うなら話題の新曲を選んで。
⑤失敗の可能性があることもやってみる
脳の若さを保つには、興味をもったら「行動に移す」ことが重要。失敗を恐れたり、面倒くさがったりして何もしないでいると、せっかくの好奇心を生かせないまま前頭葉が老け込みます。結果がわからないからこそ、前頭葉は刺激されるので、新しい趣味や服、新作コスメなどにトライを。たとえ失敗しても、前頭葉を鍛えるチャンスと考えて。
⑥愚痴を言わない
「年をとると愚痴っぽくなる」とよくいわれます。これは前頭葉の老化で問題対応能力が落ちてイヤなことが解決できず、受け入れることもできないジレンマが原因。まず、愚痴は言わない習慣をつけましょう。そのうえで、考える習慣をつけ、前頭葉をフルに働かせば、創意工夫が生まれて問題解決能力も自然に向上します。

▼▼
※この記事は「ゆうゆう」2023年2月号(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。
▼※2024年7月19日に配信した記事を再編集しています▼