岐阜の町家改修、ハンディある女性が活躍 B型事業所が運営、清掃やSNS発信担う

就労継続支援B型事業所「アリー」を立ち上げた後藤千絵さん=岐阜市

 昔ながらの風情が残る岐阜市川原町地区に、精神障害や発達障害などがあり、一般企業で働くことが難しい「就労継続支援B型事業所」の女性たちが働く一棟貸し宿「帰蝶」がある。古い町家を改修。金曜―翌月曜だけの営業だが、ひっきりなしに予約が入り、リピーターも多い。運営団体の代表理事後藤千絵さん(45)は「女性たち一人一人が輝く場になれば」と話す。(共同通信=樋口華)

 6月上旬、週末を控えた木曜日。材木問屋だった町家のはりや蔵を生かした客室で、茶菓子補充にベッドメーキング、水回りの掃除と忙しく動き回る女性の姿があった。見守る職員とたわいもない話をして笑い合うことも。体調や特性に合わせて仕事を分担。宿代は経費を除き、女性たちの収入になる。

 後藤さんは一般企業就職を目指す障害のある人たちを支援してきたが、従来のB型事業所では、納期や単調な作業に追われがち。そこが悩みの種だった。そんな時、あるまちづくり団体から、築約150年の蔵がある町家で、宿泊施設を運営しないかと誘いを受けた。「自信につながる多様な仕事を提供できる」と考えた後藤さん。B型事業所「アリー」を立ち上げ、2021年5月に全国でも珍しい利用者が働く宿の運営を始めた。

 町家を借り、最大7人が宿泊でき、キッチンや坪庭を備えた総面積約120平方メートルの客室に改装した。美濃和紙を使った照明を置き、和モダンの雰囲気づくりにこだわった。フロント業務など宿泊客と接する仕事はアリーの職員が担い、女性たちは清掃や交流サイト(SNS)発信などを担当。宿が休みの日は、帰蝶を作業場にして伝統工芸品の制作などに励む。

 現在、職員6人と協力しながら、20人ほどの女性が働く。宿泊客から「隅々まで行き届いた清掃ときちんと整理された小物を見て、携わる方の誠意を感じた」といった声が寄せられている。

 毎週1グループ限定で、1泊3万3千円から。宿の名前は岐阜ゆかりの戦国武将斎藤道三の娘で、織田信長の正室となった女性にちなんだ。後藤さんは「今は誰もが生きづらい時代。激動の戦国時代を生きた帰蝶にならい、居場所を見つけてほしい」と女性たちにエールを送った。

岐阜市川原町地区に立つ一棟貸し宿「帰蝶」(右)

一棟貸し宿「帰蝶」の客室を清掃する、就労継続支援B型事業所の利用者=岐阜市

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