玄関で靴を脱ぐ習慣は素晴らしいと海外の専門家が称賛、土足で家に上がる深刻なリスクとは?
by RageZ
敷地や玄関が広大なアメリカやカナダ、寒冷なため足元を温かくする必要がある北欧諸国など、海外の一部の国では家の中に入る時に靴を脱がない「土足文化」が一般的です。ほとんどの日本人にとっては当たり前な、室内で履物を脱ぐ習慣は「目に見えない深刻な健康上の脅威から身を守れる、賢明かつ不可欠な習慣」だと、公衆衛生の専門家が論じました。
Why you should think twice before wearing outdoor shoes indoors
https://theconversation.com/why-you-should-think-twice-before-wearing-outdoor-shoes-indoors-254427

「私の母には、『家の中では外履きを履いてはいけない』という絶対のルールがあり、家族であれ、隣人であれ、来客であれ、玄関を通る前には必ず靴を脱がされたものです」と語るのは、イギリスにあるウェストミンスター大学で医学微生物学の上級講師を務めるマナル・モハメッド氏です。
子どもの頃は、母親の鉄則を奇妙な執着だと感じていたモハメッド氏ですが、大人になってからそれが健康と安全を守り、生活空間を衛生的に維持するためのものだと理解するようになったとのこと。そして、積み重なる科学的なエビデンスもまた、靴を脱ぐ習慣には衛生面で大きなメリットがあることを示唆しています。

土足の不衛生さが意識される際は、泥や枯れ葉など目に見える汚れがよく問題になりますが、科学的にはバクテリアやアレルギー物質、除草剤や殺虫剤といった有害な化学物質など、目に見えない脅威の方が重要です。
例えば、アリゾナ大学の微生物学者らが実施した「室内環境の質(IEQ:Indoor Environmental Quality)」に関する研究のデータによると、外履きの靴の96%が大便などによく見られる大腸菌群の検査で陽性反応を示したとのこと。靴の内側で見つかった細菌が平均2887個だったのに対し、外側には平均42万1000個の細菌が付着しており、その中には大腸菌の他に肺炎の一般的な原因となるクレブシエラ肺炎菌や、まれに呼吸器系や創傷感染を引き起こすセラチア・フィカリア菌なども含まれていました。
大腸菌の中には無害な菌株もありますが、出血性の下痢や、腎不全につながる致命的な疾患である溶血性尿毒症症候群の原因となる志賀毒素を産生するものもあり、特に免疫系が未熟で頻繁に手を口元に持っていく5歳未満の子どもにとっては危険です。
土足がもたらす健康リスクは細菌だけではありません。複数の研究により、屋外用の靴には殺虫剤、除草剤、鉛をはじめとする重金属を持ち込む危険性があることがわかっており、特に床に近い場所で過ごす小さな子どもや、毛繕い中に足の裏をなめるペットの健康にとって深刻な脅威となります。

鉛は子どもの脳の発達を阻害し、生涯にわたる認知障害を引き起こすほか、花粉などのアレルゲンは安全なはずの家の中でアレルギーや呼吸器疾患を悪化させます。そして、特に憂慮べきだとモハメッド氏が指摘しているのが、道路のアスファルトのシーラント(コーティング材)に発がん性化合物が含まれていることです。
2016年に発表されたアメリカの研究では、これらの化学物質が家の中に持ち込まれると家庭内のほこりに残留し、屋外の37倍の濃度に達するおそれがあることが判明しました。
こうしたエビデンスが積み重なっていることから、モハメッド氏は「母は口癖のように『家をきれいにすれば心もきれいになる』と言っていましたが、結局のところ母はずっと正しかったのです」と振り返りました。