彼女の実家を訪ねると…物置に隠されていた「おぞましいモノ」がもたらした”厄災と因果”

番頭に導かれて進んだ暗闇, 暗い地下道を進んで目にしたものは, 「ご遺体は安置されていましたか?」, これがRさんとの最後の別れに

写真はイメージです。提供:アフロ

 土曜日の深夜23時から生配信サービス「TwitCasting」で配信中の人気怪談チャンネル『禍話(まがばなし)』。2016年のスタートから積み重ねてきた怪談の数は、今では軽く数千話を超えており、ボリュームもさることながらそのクオリティの高さでもホラーファンや業界関係者たちを虜にしてきました。

 今回はそんな禍話から、最愛の彼女の実家を訪れた青年が目撃する、者奥に潜むおぞましい因習にまつわるお話をご紹介――。(前後篇の後篇)

番頭に導かれて進んだ暗闇

番頭に導かれて進んだ暗闇, 暗い地下道を進んで目にしたものは, 「ご遺体は安置されていましたか?」, これがRさんとの最後の別れに

写真はイメージです。写真:Baka_19474/イメージマート

 突然のことに面食らって立ち尽くしているGさんを申し訳なくなったのか、番頭さんは独り言ともつかない調子で、この奇怪なしきたりの由来を語り出しました。

「何代か前の方がきっかけなのですよ。死期を悟ったらいつもは自らのご意志で山に行くのです……でもね、不幸にもたまたま狩りかなんかでそば通っていた人が見てしまったらしくて、むごいお姿になってしまったのもきっとそのせいなのです」

「え、あの……」

「その方は●●さんというお名前でして、今から行っていただくお部屋に罰として安置しているんです」

 番頭さんが言ったよく聞き取れない名前。しかし、それよりもGさんは話の後半部分が引っかかりました。

「安置って、お墓みたいなものですか?」

 番頭さんは手に持っていた大きな懐中電灯を手渡してきました。

「正直言いますと、最近、外から来た方がなかったもので中がどうなっているのかは分からず、それを確かめてきていただきたいのです」

「ですが……急にこんな……」

「行って戻って来るだけですので。私はずっとここでお待ちしております。奇妙かとは思いますが、お嬢様にも関わることですので、ここはどうか……」

 ギギギギッ……。

 番頭さんが開けた扉の向こうには、ジメジメとした暗闇が広がっていたそうです。

暗い地下道を進んで目にしたものは

番頭に導かれて進んだ暗闇, 暗い地下道を進んで目にしたものは, 「ご遺体は安置されていましたか?」, これがRさんとの最後の別れに

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 地面をくりぬいてできた地下道には、豆電球のようなものが電線とともにひかれていましたが、懐中電灯がないと足元もろくに見えない程度の弱い明かりでした。

 階段を降りてから3回ほど角を曲がった先で、Gさんは思わず息を飲みました。

「うっ、うわあぁっ!!」

 そこにあったのは先祖の墓でもなんでもなく、ただ洞穴に打ち捨てられている血まみれの遺体と着物でした。

 恐ろしいことに、その遺体は原型がわからないほど損壊しており、先ほど手をかけたかのように“新鮮”で赤々としており、腐敗臭のようなものはなかったのが余計に恐ろしかったそうです。

 一体どういうことだ……これは誰かが人を殺してここに置いたということか!? 自分は、何か恐ろしい殺人事件にでも巻き込まれているのでは……Gさんがそう思った時でした。

「うぅぅ……うぅ……」

 その遺体、いや正確に言うと倒れている遺体のすぐ上、仮に遺体が目の前に立っていたらここに顔があるだろうなという位置から、男のうめき声が聞こえてきたのです。

「ワ、ワアアァアアア!!」

 Gさんは叫び声を上げ、何度も水たまりに足を取られつつ、猛スピードで来た道を駆け戻ったそうです。

「た、助けて!!」

「どうしました!?」

「と、扉閉めてください!!」

 バタン……。

 Gさんが物置の中で四つん這いになって息を整えていると、番頭さんが膝をついて声を荒げながら聞いてきました。

「ご遺体は安置されていましたか?」

番頭に導かれて進んだ暗闇, 暗い地下道を進んで目にしたものは, 「ご遺体は安置されていましたか?」, これがRさんとの最後の別れに

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「どうでした? ご遺体は安置されていましたか?」

「あ……安置もなにも……じ、地面に打ち捨てられていましたよ! しかも、生っぽいというか……ほ、本当に先代のご遺体なんですよね!?」

「え、さ、祭壇はありませんでした……?」

「ありませんよ、そんなもの!」

Gさんの言葉を聞いた番頭さんは青ざめてしばし絶句していましたが、意を決したように立ち上がると、1人物置小屋の外に出て扉を閉めました。

「イヤァァァッ!!」

「なんちゅうこっちゃ……」

口々に沸き起こるざわめき。どうやら番頭さんはGさんが見た光景を親族一同に伝えたようでした。

Gさんがおずおずと扉を開けると、先ほどまで笑顔だった親族は困惑と衝撃の入り混じった表情で彼を見つめ返しました。

「……ご苦労やったねぇ、助かったわ。今日はもう休んでええけん、ありがとね」

 ヨロヨロと自室に戻ったGさんでしたが、あんなことがあっては当然眠ることなどできず、自分が見たものが酒に酔った夢なのではないかと思いたかったそうです。

 ですが、部屋の向こうからドタバタとかける足音と、廊下の向こうから漏れ聞こえてくる悲鳴混じりの声が、Gさんのそんな淡い希望を打ち砕きました。

これがRさんとの最後の別れに

番頭に導かれて進んだ暗闇, 暗い地下道を進んで目にしたものは, 「ご遺体は安置されていましたか?」, これがRさんとの最後の別れに

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「もうあかん、そんなことやったらもうあかんわ。この家はもう終わりや」

「でも、彼のこと大好きやのに……別れないかんのかなあ?」

「それは、たぶん別れないかんやろうな……」

「ううぅ……」

  Gさんは、吐き気となぜか溢れてくる涙を堪えるように悲鳴から背を向けて布団をかぶったそうです。

◆◆◆

 翌朝の朝食は昨夜の宴会が嘘のように静かで、重く苦しいものでした。

 それでもなお、親族や番頭さんはGさんに優しく微笑んでくれていたそうですが、隣に座るRさんはずっと下を向いて泣いていたそうです。

 朝食を終えた後、Gさんは1人車で帰ることになりました。

 普通なら一緒に帰らないのかと驚くところでしょうが、GさんはこれがRさんとの最後の別れになることが、なんとなくわかっていたそうです。

「またね……本当に、ありがとうね」

「……うん、気にしないで。こちらこそ、ありがとう」

そして、後日……

番頭に導かれて進んだ暗闇, 暗い地下道を進んで目にしたものは, 「ご遺体は安置されていましたか?」, これがRさんとの最後の別れに

写真はイメージです。提供:アフロ

 バックミラー越しに手を振る親族を眺めつつ、勢いよく鳴らした車のエンジン。それにも関わらず、Gさん曰く“その場には心を引き裂くような静けさが漂っていた”そうです。

 田舎道を走っている時、ふとGさんの脳裏に彼女が自分の部屋に来た時に話してくれた会話がよぎりました。

 その時はお酒も入って2人とも上機嫌で、なによりこの後一夜を共にすることへの期待でろくに聞いていませんでしたが、今は違います。まるで、首筋を金属のような手がツーっと這うような冷たさで、Gさんの心に染み込んで来ていました。

『わたしたちの家族ってさぁ~。みんな寝る時に●●さんって人が枕元に来るんだぁ~。超怖いでしょ~? 危害は加えないんだけど。東京来ればさぁ~、ついて来ないと思ったんだけどなぁ~』

◆◆◆

 それから数日後、スマホに留守電がありました。

 仕事関連かと思って聞くと、相手はあの番頭さんでした。

「Gさんですか? その節はどうも。お電話でこんなことを言うのは本当に辛いのですが、お嬢様とのご縁はこれきりでお願いいたします。あの家は、もうその、ダメですので。ただ、まだ●●●●月の前ですので、Gさんはなんとかなるかと思います。では、これで失礼いたします」

 電話口からは、動物が壁を引っ掻くようなガリガリガリガリガリという音が、終始聞こえていたそうです。