岐阜の高校生らが作った人工衛星が宇宙へ!技術・努力・仲間がつないだ宇宙への道、成功の裏にあった3年越しの青春ストーリー「チームで目標を成し遂げることへの喜び、達成感を得た」

岐阜の高校生たちが開発した人工衛星「らいちょう」が、ついに宇宙へ。約3年にわたる挑戦の裏には、モノづくりへの情熱と成長、そして仲間との絆がありました。彼らがプロジェクトで得た、夢を実現させる“ヒント”とは。

高校生が人工衛星を開発!打ち上げの瞬間を岐阜で中継

イベントの様子 ©中京テレビ

8月24日、岐阜大学に集まった多くの人。そこで行われていたのは、人工衛星の打ち上げを応援するイベント。アメリカ・フロリダ州の発射場から、ロケットが打ち上げられる様子が中継されていました。

「岐阜大学」宮坂武志センター長 ©中京テレビ

「岐阜大学」宮坂武志センター長:

「我々の衛星『らいちょう』が 荷物として載っています。それが、国際宇宙ステーションまで運ばれるというミッションになります。それをみなさんと一緒に見ていただこうという会になります」

「ワクワク感が大きいですね」と、打ち上げに期待を寄せるイベント参加者たち。実はこの衛星、なんと高校生たちが作った人工衛星なのです。

おととし放送(中京テレビ「キャッチ!」) ©中京テレビ

「ぎふハイスクールサットプロジェクト」の一環として行われた、今回のプロジェクト。県内4つの工業高校などが参加しており、宇宙技術者を育成する目的で約3年前にスタートしました。

中京テレビNEWS ©中京テレビ

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宇宙に到着した小型の人工衛星を、ISSから地球軌道上に乗せて、地球を撮影。さらに、人工衛星から地球に電波を飛ばし、全世界に音声データを届ける計画です。

“モノづくり”にかける情熱「動いた瞬間がすごく楽しい」

横山創大さん ©中京テレビ

人一倍目を輝かせて待つのは、横山創大さん。プロジェクトに参加している岐阜工業高校の卒業生です。

製作の様子(提供/岐阜工業高校) ©中京テレビ

岐阜工業高校・鷲見先生によると、同校では人工衛星における「筐体(本体)」の製作を担当。

カメラ撮影や通信のミッションに応えるため、その役割を果たす部品を積み込むことを想定し、筐体をレイアウト。JAXAの規格に合うようにスイッチの配置を考案、3DCADで設計する役割を担いました。

放電加工の様子(提供/岐阜工業高校) ©中京テレビ

アルミ製の筐体は、“2Uサイズ”と呼ばれる、100㎜×100㎜×200㎜の長方形のサイズ。加工の工程は、近隣中小企業と一緒に進めたといいます。

製作段階では、人工衛星の部品加工を担当していた横山さん。空への憧れは、二十歳になった今も変わっていません。

航空専門学校で学ぶ横山さん ©中京テレビ

空を飛ぶものに魅了され、岐阜県内の航空専門学校に進学。飛行機を自動操縦する仕組みなどを学びながら、コックピット関係をメンテナンスする整備士を目指しています。

中京テレビNEWS ©中京テレビ

自宅の部屋に並んでいたのは、飛行機の模型や航空関係のグッズ。

横山さん:

「スーパータンカーといって、中に消火剤を入れて、山火事を消しに行くような機体のモデルになっている、僕は一番この機体が好きです」

修理の様子 ©中京テレビ

さらに、自宅の敷地内には作業場まで!友人や親戚などから、壊れた電子機器の修理を依頼されることもあり、ここ(作業場)で原因を調べ、作業しているといいます。

横山さん:

「原因がわからなくて、壊れちゃいましたと言って、持ってこられたものを、自分で原因を調査して、そこに手を入れて動いた瞬間がすごく楽しいんですよ。うれしくて、楽しくて、達成感がすごい」

とにかくモノづくりが好きな横山さん。その情熱は、人工衛星「らいちょう」の開発にも向けられていました。高校生たちが作った人工衛星。無事、打ち上がるのでしょうか?

卒業生たちが見た“夢の打ち上げ”成功の瞬間

打ち上げは成功! ©中京テレビ

打ち上げのカウントダウンがスタート。

「3・2・1・発射!お~!」

「お~!すげ~!」

打ち上げは、無事成功!会場は大きな喜びに包まれました。

ハグと握手を交わす卒業生たち ©中京テレビ

打ち上げ成功に、「成功ですね!あ~よかった~安心、長かったね~」と嬉しさを噛みしめる横山さん。卒業生同士でハグと握手を交わし、ホッと一安心です。

人工衛星「らいちょう」を載せたロケットは、8月25日に国際宇宙ステーションとドッキングに成功。来月下旬、衛星軌道に投入される予定です。

時間も知識も足りない…!それでも成功した課題解決の“ノウハウ”とは?

中京テレビNEWS ©中京テレビ

無事、打ち上げに成功した人工衛星「らいちょう」。その成功の裏には、開発に携わった高校生たちの“モノづくり”に懸けた苦労と努力の日々がありました。

おととし放送(中京テレビ「キャッチ!」) ©中京テレビ

実は、JAXAの厳しい安全審査基準をクリアするための改良等で、予定より一年遅れての打ち上げとなった「らいちょう」。

筐体を担当した岐阜工業高校も、さまざまな課題と向き合ってきたといいます。それらの課題を、彼らはどのように乗り越えてきたのでしょうか。開発に携わった卒業生たちに話を聞きました。

作業の様子(提供/岐阜工業高校) ©中京テレビ

令和4年度卒業の野口さんが苦労したことは、「一つの部品を作るために、何回も設計と修正を繰り返して、長い時間をかけたこと」。この課題を乗り越えるため、“時間の使い方”を意識したといいます。

作業の進捗を見ながら、各々の得意・不得意に合わせて作業を分担し、お互いにアイデアを出し合いながら進行。すきま時間や家に帰った後には、模型の試作や調べ物、資料作成など、出来ることを探して取り組んだといいます。また、「活動終わりにみんなでご飯に行ったり、休日に遊びに行ったりなど、リフレッシュする時間を大切にしていた」と振り返りました。

振動試験の様子(提供/岐阜工業高校) ©中京テレビ

また、令和5年度卒業の堀田さんは、衛星や宇宙の知識を身につけることが大変だったことにふれ、「要求された規定内で設計しなければならなかったこと」、「設計段階では予期していなかったトラブルの発生」に直面していたことを明かしました。

3次元測定の様子(提供/岐阜工業高校) ©中京テレビ

そんなとき、堀田さんが信頼を寄せたのは“仲間”。「一人で考え込まず、チームの仲間と助け合い、協力しながら、それぞれの役割を成し遂げた。試行錯誤するなかで、作業上、時間が必要だった時は、放課後遅くまで残るなどして課題を乗り切った」と話しました。

地域・企業と連携!開発が教えてくれた“コミュ力の磨き方”

打ち合わせの様子(提供/岐阜工業高校) ©中京テレビ

一人が背負うのではなく、仲間全員で力を合わせ、数々の課題を乗り越えてきた岐阜工業高校。そのなかに見えてきたのは、強いチームワークを築いた、彼らの“コミュニケーション力”でした。

令和6年度卒業の森川さんは、今回のプロジェクトで学んだことについて、「知識や技術はもちろん、なかなか経験することの出来ないことを経験させていただくなかで、色々な機関や企業、地域の方々と交流させていただいて、幅広いコミュニケーションネットワークを構築することができた」とコメント。「部活をまとめる責任感や企画力、高精度かつ安定した製品を作成するための探求心や向上心も高めることができた」と幅広い層との交流にふれました。

また、令和6年度卒業の木村さんは、「電子のことだけでなく、機械加工や、大人の方との話し合いの場で、自分の意見や考えを正しく伝える能力を学んだ」と“伝える力”を得たことを挙げました。

中京テレビNEWS ©中京テレビ

人工衛星「らいちょう」製作を経て、理想を実現することの大変さと方法を学び、打ち上げ成功を通して、チームで目標を成し遂げることへの喜び、達成感を得た高校生たち。彼らの“モノづくり”への思いが詰まった人工衛星が、全世界に音声データを発信する日が楽しみです。