記憶を消せたら本当に幸せ?「記憶を消して最初からこの本を読めたら…」の願いが叶った先には弊害も!【作者に訊く】

「記憶を消して読みたい漫画」

素晴らしい作品に出合ったとき、最初の感動や衝撃をもう一度味わいたくて「記憶を消したい!」と思ったことはないだろうか。それは一見夢の技術のようにも思えるが、想定外の副作用もあるもので……。

タカノンノ(@takanonnotakano)さんのオリジナル漫画「記憶を消して読みたい漫画」は、X(旧Twitter)上で3.5万件以上のいいねとともに、「本当に好きな話」「考えさせられるおもしろい作品」と読者からさまざまな反響が寄せられている作品だ。新人漫画家と、彼女の古くからの友人で、“記憶を消すアプリ”の開発者の二人を軸に描かれた中編は、コミカルながらも“作品の記憶”について考えたくなるテーマを帯びている。そんな同作の舞台裏を、作者のタカノンノさんに取材した。

女性同士の嫉妬心と友情、「記憶を消して読めたら本当に幸せ?」というテーマが絡み合う

「記憶を消して読みたい漫画」01

「記憶を消して読みたい漫画」02

「記憶を消して読みたい漫画」03

本作のアイデアは、作者のタカノンノさんと担当編集者さんとの雑談から生まれたという。タカノンノさんは「おもしろい作品を見たり読んだりした人が『記憶を消してもう一度最初から見たい・読みたい』という感想を言っているのをよく聞くけど、本当に消すことができたらどうなるだろう…?」というところから想像を膨らませて、主人公2人の物語に落とし込みながら描いたと話してくれた。

「緊張感があるんだかないんだかよくわからない作品が好き」だというタカノンノさんは「状況はヤバそうなんだけど、少し間の抜けた雰囲気も漂っているくらいの温度感が、題材的にも私の描きやすさ的にも丁度いい」とも語る。2人のやり取りが一見コミカルであるからこそ、「記憶を消して読む」というテーマの深さがじわじわと伝わってくるのだろう。

主人公の2人の女性の間には、タカノンノさんが「互いに惹かれ合ってるんだけど、同時に嫉妬心も抱いてるという関係性が大好物」と話すように、複雑な思いが交差している。ほかの作品でもよく「創作」や「創作者」を題材に選んでいる理由については、「それしか引き出しが無いからです…」と言いつつ、「何かを創り出してそれが自分や他人の救いになる構図って美しい」という思いを打ち明けてくれた。

2人の女性の嫉妬心や競争心と友情、「記憶を消すことが本当に幸せなのか」といったテーマが絶妙に絡み合う本作「記憶を消して読みたい漫画」。ぜひ一度、ご自身の思いと照らし合わせながら読んでみてはいかがだろうか。

取材協力:タカノンノ/くらげバンチ(新潮社)

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