「相手を不快にさせたくない」オーストラリア人講師が気づいた日本人特有の配慮 単語帳だけで飛び込んだ日本で見つけたもの

オーストラリア人英会話講師のエイミー・ダットンさん【写真提供:英会話イーオン】

スマートフォンひとつで、翻訳や検索ができる時代になりました。しかし、今から20年以上前、言葉も十分にわからないまま日本へ飛び込んだ少女がいました。英会話スクール「イーオン」東京教務グループでトレーナーを務める、オーストラリア出身のエイミー・ダットンさんです。高校時代、日本語との出合いをきっかけに富山でホームステイを経験。その体験が、今の人生につながっているといいます。

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「本当はフランス語をやりたかった」

エイミーさんが日本語と出合ったのは高校時代。オーストラリアでは外国語学習が必修で、当初は「フランス語を学びたかった」と振り返ります。

「日本語は、ひらがな・カタカナ・漢字と3種類も文字があって、とても難しそうに感じました」

しかし、授業を通して日本文化に興味を持ち、その後、富山で3か月間のホームステイをする機会を得ます。当時はまだ、スマートフォンも翻訳アプリもない時代。頼れるのは、小さな単語帳だけでした。

「日本語は少し勉強していましたが、丁寧語しか理解できなくて、『食べる』と『食べます』が同じ意味だということすらわかっていなかったんです」

ホームステイした頃【写真提供:英会話イーオン】

言葉の壁に戸惑いながらも、ホストファミリーとの暮らしを通じ、多くのことを学びます。そして帰国後も、日本への思いは消えませんでした。

「いつか日本に戻って、ホストファミリーへ、きちんと感謝を伝えられるようになりたいと思ったんです」

大学卒業後にヨーロッパを旅行したあと、日本で英語を教えるチャンスを得て再来日。現在は、日本で暮らして15年近くになっています。そして、ずっと願っていたホストファミリーとの再会を果たし、今でも交流を続けているのだとか。

イーオンで英会話講師として働くエイミーさん【写真提供:英会話イーオン】

英語の授業中に感じる「とても日本的で素晴らしい文化」

現在は英会話講師として、日本人の生徒たちへ英語を教えているエイミーさん。長年指導するなかで、日本人ならではのコミュニケーションの特徴を感じる場面も多いといいます。

「ディベート形式の授業を行うと、日本人の生徒様は“中立的な立場”を取る傾向があります。ある問題に対して強い姿勢を示す方はあまり多くなく、自分の意見をやわらかく伝えるために、丁寧なクッション言葉をたくさん使います」

そこには、単に英語力の問題ではなく「相手を不快にさせたくない」という日本人特有の配慮が表れていると感じるそうです。

「グループの調和を保ちながら会話を進めようとする姿勢は、とても日本的で素晴らしい文化だと思います」

一方、母国・オーストラリアでは、異なる意見を率直にぶつけ合いながら議論を深めていく文化が根づいているといいます。

「オーストラリア人はディベートが大好きで、よく“悪魔の代弁者”として、あえて反対意見を言ったりします。熱心に反論し合いますが、違う意見を持っていても、感情的になることはあまりありません」

また、日本人の英語学習者については「非常に勤勉」だと感じているそうです。

「複雑な文法でもしっかり暗記して理解している姿には、いつも驚かされます。イーオンでは9つのスキルを用いて英語力を分析していますが、日本人の生徒様は『文法理解』や『適切さ(ソーシャルスキル)』の項目で高いスコアを出す傾向があります」

長年にわたり日本人と接するなかで、エイミーさんにとって日本は、単なる“海外”ではなく、大切な居場所のひとつになっているようです。

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