【75歳以上の医療費】窓口負担が「2割」になる年金収入のボーダーラインは? 90代で「3倍」になる老後医療費の実態

シニアの平均所得と今からできる3つの備え

【年代ごとに確認】シニア1人当たりの医療費はどの程度かかる?, 【60歳以上】1人あたり医療費計の変化を確認, 高齢者の「年間所得」の平均はどのくらい?, 【内訳をチェック】高齢者世帯の「平均所得金額」, 原則75歳から加入する「後期高齢者医療制度」とは?, 75歳以上の医療費負担は「1割・2割・3割」に区分, 【後期高齢者医療制度】2割負担となる人の「年金収入+その他所得」の基準を確認, 【フローチャート図】医療費負担が2割となる人の「年金収入+その他所得」をチェック, 【老後の医療費に備える】今からできる準備3つ, 制度について理解し早めの備えを

【75歳以上の医療費】窓口負担が「2割」になる年金収入のボーダーラインは?90代で「3倍」になる老後医療費の実態

年齢を重ねるにつれて、医療との関わりは少しずつ深くなっていきます。

健康診断や通院だけでなく、入院や介護といった支出も多くなるため、「老後にどれくらいお金がかかるのか」と気になっている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、60歳以上の年代別医療費の推移や後期高齢者医療制度の仕組みなど、老後の暮らしに直結するポイントをわかりやすく解説します。

※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。

【年代ごとに確認】シニア1人当たりの医療費はどの程度かかる?

【年代ごとに確認】シニア1人当たりの医療費はどの程度かかる?, 【60歳以上】1人あたり医療費計の変化を確認, 高齢者の「年間所得」の平均はどのくらい?, 【内訳をチェック】高齢者世帯の「平均所得金額」, 原則75歳から加入する「後期高齢者医療制度」とは?, 75歳以上の医療費負担は「1割・2割・3割」に区分, 【後期高齢者医療制度】2割負担となる人の「年金収入+その他所得」の基準を確認, 【フローチャート図】医療費負担が2割となる人の「年金収入+その他所得」をチェック, 【老後の医療費に備える】今からできる準備3つ, 制度について理解し早めの備えを

年齢階級別1人当たり医療費(令和4年度、医療保険制度分)

高齢になるほど、1人当たりの医療費は増える傾向が見られます。

本章では、厚生労働省「年齢階級別1人当たり医療費(令和4年度・医療保険制度分)」を参考に、60歳以上の各年代について、1人あたり医療費の総額と、医療費の中で「入院+食事・生活療養」が占める割合を見ていきましょう。

【60歳以上】1人あたり医療費計の変化を確認

・60~64歳:38万円

・65~69歳:48万1000円

・70~74歳:61万6000円

・75~79歳:77万3000円

・80~84歳:92万2000円

・85~89歳:107万1000円

・90~94歳:117万9000円

・95~99歳:125万8000円

・100歳以上:123万2000円

60歳代前半では1人当たり医療費の総額は約38万円ですが、90歳代後半になると125万円を超え、約3.3倍まで増加します。

この伸びを大きく押し上げているのが、「入院+食事・生活療養」にかかる費用です。

70歳代までは外来診療が中心となる一方で、80歳を過ぎると医療費全体の半分以上を入院関連費用が占めるようになり、90歳代ではその割合が7割近くまで高まります。

高額療養費制度を活用した場合でも、月ごとの自己負担限度額に加え、食事代や差額ベッド代(全額自己負担)などの支出が発生する点には注意が必要です。

また、介護費用については、生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、一時的な費用(※1)の合計は47万円、月々の費用は平均9万円(※2)となっています。

実際に必要となる金額は、要介護度や介護を受ける場所によって大きく変わる可能性があります。

厚生労働省「令和6年簡易生命表」では、平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳です。

長寿化が進むなか、今後のライフプランにおいては、長期入院や介護にかかる費用、さらにその期間の生活資金も含めた備えが重要になるでしょう。

※1:住宅改造や介護用ベッドの購入費など

※2:いずれも公的介護保険サービスの自己負担費用を含む

高齢者の「年間所得」の平均はどのくらい?

厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」をもとに、高齢者世帯(※)の「1世帯あたり平均所得」を確認してみましょう。

同調査によると、高齢者世帯の年間平均総所得は314万8000円で、1か月あたりでは約26万円となります。

※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯

【年代ごとに確認】シニア1人当たりの医療費はどの程度かかる?, 【60歳以上】1人あたり医療費計の変化を確認, 高齢者の「年間所得」の平均はどのくらい?, 【内訳をチェック】高齢者世帯の「平均所得金額」, 原則75歳から加入する「後期高齢者医療制度」とは?, 75歳以上の医療費負担は「1割・2割・3割」に区分, 【後期高齢者医療制度】2割負担となる人の「年金収入+その他所得」の基準を確認, 【フローチャート図】医療費負担が2割となる人の「年金収入+その他所得」をチェック, 【老後の医療費に備える】今からできる準備3つ, 制度について理解し早めの備えを

高齢者の年間所得の平均

【内訳をチェック】高齢者世帯の「平均所得金額」

総所得:314万8000円 (100.0%)

【内訳】(カッコ内は総所得に占める割合)

・稼働所得:79万7000円(25.3%)

・公的年金・恩給:200万円(63.5%)

・財産所得:14万4000円 (4.6%)

・公的年金・恩給以外の社会保障給付金:1万8000円 (0.6%)

・仕送り・企業年金・個人年金等・その他の所得:18万9000円(6.0%)

※雇用者所得:世帯員が勤め先から支払いを受けた給料・賃金・賞与の合計金額で、税金や社会保険料を含む

内訳を見ると、全体の約3分の2を占めるのは月額約16万6000円の「公的年金」で、次いで約2割を占める月額約5万5000円の「雇用者所得」となっています。

この結果から、高齢者世帯の家計は公的年金を中心としつつ、就労収入がそれを補完する構造であることがうかがえます。

続いて、「後期高齢者医療制度」の対象者や保険料の仕組みについて見ていきましょう。

原則75歳から加入する「後期高齢者医療制度」とは?

後期高齢者医療制度は、公的医療保険制度の一つで、原則として75歳以上の人、または65歳以上74歳以下で一定の障害認定を受けた人が加入対象です。

【年代ごとに確認】シニア1人当たりの医療費はどの程度かかる?, 【60歳以上】1人あたり医療費計の変化を確認, 高齢者の「年間所得」の平均はどのくらい?, 【内訳をチェック】高齢者世帯の「平均所得金額」, 原則75歳から加入する「後期高齢者医療制度」とは?, 75歳以上の医療費負担は「1割・2割・3割」に区分, 【後期高齢者医療制度】2割負担となる人の「年金収入+その他所得」の基準を確認, 【フローチャート図】医療費負担が2割となる人の「年金収入+その他所得」をチェック, 【老後の医療費に備える】今からできる準備3つ, 制度について理解し早めの備えを

後期高齢者医療制度とは

就労の有無にかかわらず75歳になると、それまで加入していた国民健康保険や被用者保険、共済組合などから自動的にこの制度へ移行する仕組みとなっています。

保険料は、加入者全員が一定額を負担する「均等割」と、所得に応じて決まる「所得割」を合算して決定されます。

なお、保険料の具体的な金額は、居住している都道府県ごとに定められています。

75歳以上の医療費負担は「1割・2割・3割」に区分

後期高齢者医療制度では、所得状況に応じて医療費の自己負担割合が「1割」「2割」「3割」のいずれかに設定されています。

標準的な所得水準の人は1割負担となり、現役世代並みの所得がある人は3割負担です。

また、2022年10月1日からは、一定以上の所得がある人を対象に、自己負担割合が2割へ引き上げられました。

【年代ごとに確認】シニア1人当たりの医療費はどの程度かかる?, 【60歳以上】1人あたり医療費計の変化を確認, 高齢者の「年間所得」の平均はどのくらい?, 【内訳をチェック】高齢者世帯の「平均所得金額」, 原則75歳から加入する「後期高齢者医療制度」とは?, 75歳以上の医療費負担は「1割・2割・3割」に区分, 【後期高齢者医療制度】2割負担となる人の「年金収入+その他所得」の基準を確認, 【フローチャート図】医療費負担が2割となる人の「年金収入+その他所得」をチェック, 【老後の医療費に備える】今からできる準備3つ, 制度について理解し早めの備えを

後期高齢者医療制度の窓口負担割合

厚生労働省の試算では、後期高齢者医療制度の加入者のうち、2割負担に該当する人は約370万人で、全体のおよそ2割とされており、1割負担から2割負担へ移行した人にとっては、医療費の自己負担が増えている状況です。

次章では、「2割負担」の対象となる人について、年金収入とその他の所得を合わせた金額が、実際にどの程度の水準なのかを見ていきましょう。

【後期高齢者医療制度】2割負担となる人の「年金収入+その他所得」の基準を確認

後期高齢者医療制度の加入者で、以下の(1)と(2)の両方に該当する場合、医療費の自己負担割合は「2割」となります。

・1:同じ世帯の被保険者の中に課税所得が28万円以上の方がいるとき。

・2:同じ世帯の被保険者の「年金収入(※1)」+「その他の合計所得金額(※2)」の合計額が、被保険者が世帯に1人の場合は200万円以上、世帯に2人以上の場合は合計320万円以上であるとき。

※1「年金収入」は、公的年金控除等を差し引く前の金額です。遺族年金や障害年金は含みません。

※2「その他の合計所得金額」は、事業収入や給与収入等から必要経費や給与所得控除等を差し引いた後の金額です。

参考として、ご自身やご家族が2割負担の対象となるかどうか、以下のフローチャートで確認してみましょう。

【フローチャート図】医療費負担が2割となる人の「年金収入+その他所得」をチェック

75歳以上の人は、世帯の課税所得や年金収入などをもとに、医療費の自己負担割合が2割になるかどうかが判定されます。

具体的には、「課税所得が28万円以上」であることに加え、「年金収入とその他の所得を合計した金額」が基準額を超える場合、医療機関窓口での負担割合は2割となります。

・単身世帯:「年金収入+その他の合計所得」が200万円以上

・複数世帯:「年金収入+その他の合計所得」が合計320万円以上

どの負担区分に該当するか詳しく確認したい場合は、厚生労働省が公表しているフローチャートを参考にするとよいでしょう。

【年代ごとに確認】シニア1人当たりの医療費はどの程度かかる?, 【60歳以上】1人あたり医療費計の変化を確認, 高齢者の「年間所得」の平均はどのくらい?, 【内訳をチェック】高齢者世帯の「平均所得金額」, 原則75歳から加入する「後期高齢者医療制度」とは?, 75歳以上の医療費負担は「1割・2割・3割」に区分, 【後期高齢者医療制度】2割負担となる人の「年金収入+その他所得」の基準を確認, 【フローチャート図】医療費負担が2割となる人の「年金収入+その他所得」をチェック, 【老後の医療費に備える】今からできる準備3つ, 制度について理解し早めの備えを

【後期高齢者医療制度】「窓口負担割合」フローチャート

【老後の医療費に備える】今からできる準備3つ

老後の医療費負担を軽減するには、制度を知るだけでなく、現役世代のうちから少しずつ備えを進めておくことが大切です。

将来の不安を和らげるためにも、今から取り組みやすい「3つの準備」を確認しておきましょう。

まず1つ目は、医療費に備えた資金を確保しておくことです。

加齢とともに通院や入院の機会が増える可能性があるため、生活費とは別に、急な出費へ対応できる余裕資金を持っておくと安心です。

2つ目は、公的制度の内容を早めに把握しておくことです。

高額療養費制度や後期高齢者医療制度など、医療費負担を抑える仕組みは複数あります。

対象条件や申請方法を事前に確認しておけば、必要なときに慌てず活用しやすくなるでしょう。

3つ目は、健康管理を習慣化することです。

定期健診の受診や適度な運動、食生活の見直しなどを心がけることで、生活習慣病や重症化の予防につながり、健康に過ごせる期間が長くなれば、結果として医療費や介護費の抑制も期待できます。

老後の医療費は、年齢を重ねてから急に対策するのではなく、早めの準備が重要です。

できることから少しずつ取り組み、安心して暮らせる将来につなげていきましょう。

制度について理解し早めの備えを

本記事では、60歳以上の年代別医療費の推移や後期高齢者医療制度の仕組みなど、老後の暮らしに直結するポイントを解説しました。

シニア世代の医療費は年齢が上がるほど増える傾向があり、とくに80歳以降は入院関連費用の比重が大きくなります。

ご自身や家族の収入状況、資産、健康状態を踏まえながら、どの制度が利用できるのかを早めに確認しておくことで、将来への不安を軽減できます。

老後資金を考える際は、年金額だけでなく医療と介護のコストも含めて準備を進めていきましょう。

参考資料

・厚生労働省「後期高齢者医療制度の令和6・7年度の保険料率について」

・政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」

・厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)」

・東京都後期高齢者医療広域連合「一部負担金の減額・免除等」

・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」

・厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」用語の説明

・厚生労働省「年齢階級別1人当たり医療費」

・生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」

・厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命

関連記事

【年金生活者支援給付金】6月15日の年金支給日に「約1万1000円」上乗せされる?自動ではもらえない公的給付の対象者と給付金額

【2026年開始】75歳以上も年金から引かれる「子ども・子育て支援金」|年収別の負担額を解説

【年金一覧表】年金が6月支給分から増額!みんなの平均受給額はいくら?「60歳~90歳以上」で見る!