自分のための18坪の家、建ててみて気づいたこと

一番はじめに決めたレ・クリントの照明。これを基準に家のコーディネートを考えました。実際に設置されたところを見たときは、感動して興奮気味でした(写真:『53歳からのシンプルモダンな暮らし』より)

美容師のTajiさんは53歳の時、母屋の隣、駐車場だったスペースに自分だけが住む小さな家を建てました。それは、シングルマザーとして無我夢中で働き、ずっと誰かのために生きてきたTajiさんが、「おしゃれに暮らしたい」「自分にとって居心地のいい空間を作りたい」と願って実行に移したこと。
家は2024年9月に完成。家づくりの様子をInstagramで発信したところ、シンプルモダンな暮らしが共感を呼び、フォロワー数は7万7000人を突破(9月初旬現在)しています。
Tajiさんが実際に家づくりをしてみて、新しい住まいに「取り入れてよかった3つのこと」はなんだったのか、そして思いがけず直面した「まさかのこと」とは?(本記事は、Tajiさんの著書『53歳からのシンプルモダンな暮らし』より一部を抜粋したものです)
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53歳の時、家族が暮らす母屋を出て、隣地に自分だけが住む18坪の小さな家を建てました。

【写真】Instagramで好評な2.9畳の寝室。扉はなく、カーテンで仕切っている

母屋はものが多く、生活感があふれていました。50代になり、自分の人生を見つめ直す中で、ふと「自分の思い通りに過ごせる場所を作りたい。好きなものに囲まれ、満足のいく心安らぐ空間で老後を過ごしたい」と考えるようになったのです。

老後を暮らす、人生最後のマイホーム。どんな家を建て、どう過ごしたいかを考え、自分が目指す「おしゃれな暮らし」についてコンセプトを固めていきました。

また日当たりが悪く、とても寒い場所だったので、高気密・高断熱にこだわった工務店さんに相談し、「暑くなく、寒くない家」を計画しました。

中央にあるのがInstagramでとても好評な2.9畳の寝室。扉はなく、カーテンで仕切っている(写真:『53歳からのシンプルモダンな暮らし』より)

取り入れてよかった3つのこと

どこもこだわって作りましたが、特に取り入れてよかったと思うことが3つあります。やはり、最初の段階でしっかり軸を決めておいたことがよかったと思っています。

①グレーのフロアタイルにしたこと

本当は、本物のタイルにしたかったのですが、予算的に厳しかったのであきらめました。物を落としてヒビが入ったらその部分だけ直すことはできないなど、タイルにしている人からあまりよい話を聞かなかったので、フロアタイルにしてよかったかも。

グレーのフロアタイルは傷もつきにくく、汚れも目立ちにくく、何より映えるところが気に入っています(写真:『53歳からのシンプルモダンな暮らし』より)

本物のタイルではないし、床下エアコンが入っているせいか、冬場、裸足でも冷たくありませんでした。そして、なにより質感がよく、傷もつきにくそうです。一番は写真映えがするところ。「おしゃれに暮らしたい」にぴったりでした。

②調光ロールスクリーンをつけたこと

「カーテンは見積もりに入っていないのですが、どうしますか?」と、打ち合わせの終盤に言われたときにはひっくり返りそうになりました。カーテンやカーテンレールが建築費用に入っていないことを、このときまで気がついていなかったのです。

2層のシースルーの生地とブラインドで 3層になっていて透け感がありキレイです(写真:『53歳からのシンプルモダンな暮らし』より)

通常はカーテンをつける人が多いと思いますが、このロールスクリーンが近くの家についているのを見て、「いいなあ」と思っていました。表裏2枚の生地の間にブラインドがあり、優しく柔らかい光が入ります。朝、寝室のカーテンを開けると雰囲気がよく、気分が上がります。普通のカーテンよりも高額でしたが、はじめにいいものをつけておいて大正解でした。

③ほぼ間接照明にしたこと

天井につけた照明はかなり小さいものにしたので、存在感がありません。打ち合わせ前から決めていたペンダントライトや廊下のシーリングライトなどにお金をかけました。

明るさが足りないのではないかと心配でしたが、雰囲気がいいと気にならないことがわかりました。予算の3倍の額をかけてつけた甲斐あって、昼も夜も照明を眺めては、満足して楽しく過ごしています。

絶対にこれはつけたいと決めていたアイテムだったレ・クリント「ラメラシリーズ」のペンダントライト。夜も明るさに申し分なしでし(写真:『53歳からのシンプルモダンな暮らし』より)

マイホーム、まさかのこと

お気に入りの家ですが、それでも想定外のことは出てきます。住み始めて2週間が経ったころ、予想していなかったことが起きました。気分よく、毎日快適に過ごしていましたが、「なるほど!」と思うことがあったのです。

①お香の香り

住み心地がよいように「全館空調+24時間換気の家」にしました。

あるとき、お香を楽しもうと思っていたら、24時間換気されているため、あっという間に匂いがなくなって、部屋全体に行き渡らなかったのです。たしかに、トースターでパンを焦がしたとき、窓を開けていなくても焦げ臭い匂いが消えていました。

リビングのシェルフのひとつのスペースがお香コーナーになっています(写真:『53歳からのシンプルモダンな暮らし』より)

そう考えると、お香の香りが行き渡らないのもわかります。残念ですが、改めて換気がされているんだなあと感心しました。

②漆喰壁

長い間、母屋の2階にある廊下の壁(クロス)の汚れがひどく、コロナ禍の緊急事態宣言中にクロスを剥いで、ホームセンターで購入した漆喰を塗っていました。

このときに、漆喰は壁紙よりもメンテナンスがしやすそうだなと感じました。今回のマイホームに使った漆喰は「スイス漆喰 カルクウォール」というもので、呼吸している素材です。年中快適に過ごせる環境を作ってくれるとか。

漆喰壁はフラットではなく、ごまかしのききそうなざっくりとしたテクスチャーを選びました(写真:『53歳からのシンプルモダンな暮らし』より)

ただ床に粉が落ちたり、壁にもたれたり当たったりすると、服が白くなります。一番ショックだったのが、寝室のカーテンの縫い目が漆喰に引っかかり、端が全部ほどけてしまったこと!

半年経ったいまは、あまり粉は落ちなくなったのですが別の問題も! 漆喰の乾燥により、隙間ができてしまったのです。それによって、建具の境目が浮いてきました。とほほ……。

③全館空調にデメリットが……

住み始めて初めての冬。噂には聞いていましたが、「乾燥」は想像以上でした。暖房を入れた途端に顔はパリパリになり、濡れたタオルもあっという間に乾くという有様。

工務店さんから渡されていた「みはりん坊」という熱中症指数計(乾燥指数などもわかる)は、ピーピー鳴りっぱなし! 小さい卓上の加湿器を買ったものの、全然足りず。

急遽ホームセンターに買いに走りましたが、映えを気にしてダイソンにしたらこれも加湿量が足りず。結局、ドデカく映えない加湿器が鎮座することになりました。

④ほこり

気のせいか、めちゃめちゃほこりがたつような気がします。全館空調のせいなのか、気になる箇所が3つあります。

・床下エアコンのフィルター

冷房用のエアコンと、暖房のための床下エアコンの2台を季節に合わせて使用しています。

床下エアコンの排気口は開け閉めができるようになっているので、使わないときは閉めておくとほこりは溜まりません。しかしクローゼットにあるせいかもしれませんが、暖房をつけているときは、すごい勢いでほこりが溜まるので1日おきに取っていました。

・玄関

シューズを収納する玄関のロッカーキャビネット。靴にカビが生えないよう風通しの良いものに(写真:『53歳からのシンプルモダンな暮らし』より)

狭い玄関に扉のついた収納があると、開閉しづらく、可動式の棚も幅を変えるのが面倒で、そのまま使ってしまいそう……。そして予算の面から考えてもシューズクロークの設置をあきらめることにしました。

代わりにニッチ(壁の一部を凹ませ、収納スペースや飾り棚を作ること)にしてもらい、ワイヤーメッシュのロッカーキャビネットを置いて靴を収納することに。

結果、砂などはつかないですが、ロッカーの下にほこりがたまり、ふわふわしています。掃除機で吸うのが一番手っ取り早いので、時々掃除機をかけています。

・吹き抜けやペンダントライト

吹き抜けの窓にあるニッチ部分や柱。高くて届かないし、漆喰のままなので、ざらついていて引っかかります。いまはまだ気になりませんが、そのうち灰色のかたまりになりそうで、心配です。

ペンダントライトのひだが細かすぎてハンディモップでは取り切れず、悪戦苦闘しています。ブロワー(送風機)で飛ばしたらほこりが散らばるし、ここも何かいい方法がないか模索中です。

何はともあれ愛着あるマイホーム

このように、住んでみないとわからないことがたくさんありました。もしかしたら、まだまだ出てくるのかもしれません。「あれ?こんなはずでは……」と思うこともありますが、それでも自分の思い通りの家は、愛着があり、心地よく暮らせる空間です。

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