若い夫婦にどストライク!多部未華子主演ドラマ『対岸の家事』女性だけじゃなく男性からも共感の声

専業主婦役が絶賛されている多部未華子
やんわりと現実的な解決策
4月期のドラマがほぼ出そろい、話題作も多い中、オリコンが実施した4月期スタートの春ドラマについて「もっとも期待している作品は?」というアンケート調査の結果で、第4位に食い込んだのが『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』(TBS系)だ。
ランキングでは表彰台を逃したが、話題性の高さでは断トツなようで、初回放送がTBSドラマ史上1位となるTVer再生回数300万回を突破した。ドラマの原作となったのは作家・朱野帰子氏が5年の歳月をかけて執筆した“お仕事小説”『対岸の家事』(講談社)である。
主人公の専業主婦・村上詩穂を演じるのは『私の家政夫ナギサさん』以来5年ぶり、2度目のTBS火曜ドラマ主演となる多部未華子(36)である。’19年に結婚し、現在1児のママとなった多部にはうってつけの役だが、SNSでは《驚くほどかわいい》と話題になっている。しかし、それ以上に評判になっているのがこのドラマのテーマと内容だ。
TBSの公式サイトによると、
《(詩穂は)働くママや育休中のエリート官僚パパなど、出会うはずのなかった人たちと交流していくことに。生き方も考え方も正反対な「対岸にいる人たち」とぶつかり合いながら、どう繋がっていくのか、一緒に見届けていただきたい》
とある。子育てと仕事の両立や育メンといった身近な問題を、各放送回ごとに取り上げ、専業主婦目線で主人公がやんわりと現実的な解決策を見つけていく。このストーリーに女性視聴者だけでなく、男性視聴者からも共感の声が相次いでいるという。
「今の価値観へのアンチテーゼ」
テレビ誌のライターによれば、
「専業主婦が主人公というドラマとなると、主婦が難事件を解決するといったコメディタッチの推理モノくらいしか浮かびませんが、このドラマのテーマは家事と育児です。なにか特別に大きな事件、事故が起きるわけでもなく、普通の人たちの日常によくある問題を取り上げて、主婦目線で解決していくヒューマンドラマといえます。
つまり、その道のプロフェッショナルが問題を解決し、痛快、スッキリというドラマじゃないんですね。リアルでシリアスではあるんですが、ソフトランディングで温かい気持ちにさせられるところがウケていると思います」
ドラマの中で、詩穂の隣に住むワーママ(ワーキングママの略で働きながら子育てをする女性を指す)の江口のりこ(44)扮する長野礼子が詩穂に向かって「今どき専業主婦なんて絶滅危惧種」と語ったように、今どきの専業主婦を主人公にしたホームドラマがいったいどんな視聴者層に刺さるのか、放送が始まる前は心配する声もあったが、
「専業主婦が主人公でテーマは家事と育児ですが、今の時代、これは専業主婦だけに当てはまるものではありません。ワーママに共働き夫婦、そして、育休を取って育児をする男性層にも身近な問題です。ですから子育てに奮闘する母親層はもちろん、男女を問わず多くの人たちから共感の声が上がったのでしょう」(前出・テレビ誌ライター)
幅広い層に受け入れられたということだが、映画ジャーナリストの中山治美氏は次のように解説する。
「絶滅危惧種は希少価値があるということですが、価値観の捉え直しです。今どき働きに出ていない主婦は、よほど裕福で余裕があるのだろうとママ友たちに妬まれ、蔑まれる存在でしたが、実は専業主婦はやらねばならない“仕事”がいっぱいあり、決して楽ではないんだということを訴えています。抱えている問題はみんな同じです。今の価値観へのアンチテーゼです。
これまで、女性が主人公といえば、教師、CA、医者、看護師、弁護士、警察官、あるいは企業に勤めるOLなど何かしら仕事をしているキャリアウーマンが活躍するドラマが多かった。今はクオリティ・オブ・ライフで仕事も大事だけど、まず自分の生活、幸せが大事だ、と世の中の比重が変わってきています。そこにうまくはまったんじゃないでしょうか」
今の世相に合っていないテーマに見えて、その実世相を反映しているという。そして殺伐とした時代だけに、シリアスでも重くなりすぎず、柔らかな気持ちで見ることができる。また、自分の日常に近い家庭が舞台で身近に感じることができる。それが、このドラマがウケる要素なのだろう。
初回視聴率は世帯が6.5%、個人が3.9%というまあまあのスタートだったが、口コミや共感の声も増え、評価も高いことから、今後視聴率の上昇が期待できそうだ。