ベテラン「ますだおかだ」が初めて明かす“脱竹(脱・松竹芸能)”する芸人急増への本音

「ますだおかだ」は、ますだおかだ増田さん(55)と岡田さん(56)がそれぞれピンとしても多方面で活動する漫才コンビ。松竹芸能のベテランとして、10月に大阪と東京で行われる松竹の精鋭メンバーによるライブではMCを務めます。昨今、松竹芸能から他の事務所へと移籍する“脱竹”なる言葉が幅を利かせていますが、その現状を2人はどう捉えているのでしょうか。“本音”を聞きました。
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増田:もともと、われわれ自身、事務所の中心的な存在ではなかったですからね。松竹の軸になるような“本竹”ではなかった。若手の頃から好き勝手させてもらってきましたし、どちらかというと、はぐれ者的な存在でした。
2001年の「M-1グランプリ」決勝では、周りが吉本興業のコンビばかりだったので、あえて「松竹芸能の『ますだおかだ』です!」とネタの冒頭であいさつをしましたけど、実は全然“本流”にはいなかったんですけどね。心情的に言えば、半分、経歴詐称みたいなもんです(笑)。
逆に、いまは本流の人たちが辞めていく。「TKO」さん、「よゐこ」濱口さん、「オセロ」……みんな辞めました。
なぜ僕は辞めないか。僕としたらいろいろとやってもらっているし、心あるスタッフと縁もあったし、お金ももらえている。正直「辞める理由がない」というのが一番正確な表現だと思います。
若手マネージャー陣も本当に頑張っていますしね。10月に大阪と東京で松竹芸能を挙げてのライブをやることになったんですけど、そこでも若手マネージャーの熱に背中を押され、MCを務めることになりました。
岡田:最近は“脱竹”という言葉が独り歩きして、一つの流れみたいになっていますけど、あくまでも人それぞれ。個人の考え方ですからね。
僕としたら、事務所を出る人はすごいと思いますよ。自分のプロデュース方法とか、芸人としての核の部分がしっかりしているからこその動きだとも思います。そして今の時代、事務所を出てもやっていけますしね。
僕はいつも行き当たりばったりですから。スベり芸みたいに言ってもらったのも、いつの間にか周りがつくってくれたものです。
ただ、事務所を出る人が事実として増えている。そこは事務所として考えるべきところもあるとは思います。それでも、相方が言っているように、最後は自分ですから。自分がどう考えるかだけだと思います。

■松竹芸能のゆるさ、距離の近さ
増田:松竹芸能のゆるさ、会社との距離の近さ。これにイライラする人間もいれば、ストロングポイントにする人間もいる。これも人それぞれですからね。
本流じゃないと言いつつも、僕らは人に恵まれてきました。ついてくれたマネージャー陣、スタッフさんが信用できる人だった。本当にそれだけです。もし、ちゃんとやってくれる人がゼロになったら辞めるのかもしれません。今は辞めることは考えてはないですけど。
岡田:そんなこんなで、もう30年以上コンビでやってきました。その結果、僕ら2人の距離感というか、今がちょうど心地いい感じになってきたと思います。
コンビでTOKYO FM「ますだおかだのココキク!〜心に効くかもしれない話〜」(土曜午前11時)というラジオをやらせてもらっているんですけど、週に1回、30分番組でアレコレなんでも話しています。普段、素の状態では話さないプライベートな話もラジオだから話せる。だから「今の増田はそんなことを考えてるんや……」と初めて知ることもあります。それに、増田が昔のことをよく覚えているんですよ。時間がたっているからこそ、ラジオで話していると「そうや、そうや、あったなぁ」という楽しさもありますしね。等身大の「ますだおかだ」がちょうど良くなっているのはあると思います。
ただ、今が良い感じとはいえ、ここからどうなっていくのかは分からない。それくらいコンビも、この仕事も、簡単ではないとは思っています。
どこまでも僕は行き当たりばったり。これまでも全てのプランは増田が考えてくれました。増田がやってきてくれて、僕はそこに従って、ありがたいことになんとか今ご飯が食べられている。格好つけるわけでもなく、それがリアルなんです。もちろんやる以上は全力でやれるだけのことをやります。ただ、それでニーズがなくなったら、もうおしまい。それだけだと思っています。
増田:39歳の時、関西テレビのメーク室で大平サブローさんに言われた一言があるんです。
「39歳か。そろそろ50代の練習をしとかなアカンな」
聞いた瞬間は「え、40代じゃなく50代?」と思ったんですけど、その言葉の意味を反すうしてきたことが今の自分をつくってくれたと考えています。その言葉をきっかけに自分の中の“働き方改革”というか、あらゆるものを変えました。仕事のベースを東京から大阪に変えて、とことん好きなことにこだわりました。

■くすぶっている芸人も多い
それを貫くことで40代半ばから仕事が楽しくなってきた。今55歳になって広い芸能界の片隅ですけど、自分が思う仕事の形をつくることができている。本当にありがたいことです。
先日「徹子の部屋」(テレビ朝日)に出してもらったんですけど、黒柳さんの集中力、ラッシュはすさまじかった。去年、倉本聰さんとお酒を飲ませてもらう機会があったんですけど、まだまだエネルギッシュに仕事に取り組んでいる話をされていました。浜村淳さんに自分のラジオに来ていただいた時も圧倒されるようなすごみを感じました。
その歳の自分がそうなれているか分からないけれども、人生の先に明るい光を見せてくださっている方が確実にいる。この意味をかみしめています。「なれるか、なれないか」じゃなく「やるか、やらないか」なんだろうなと。
岡田:来月のライブのMCもそうですが、今の自分なりにできることをする。若手を連れての食事会も、できる限りやるようにしています。
正直、くすぶっている芸人も多いですから。技術的なことは自分で見つけるしかありませんけど、心構えというか、そういう部分で言えることがあるならば、伝えていきたいと考えるようになりました。
僕ももう56歳。最初に結婚して生まれた子どもは、若手芸人と同年代になってますからね。親みたいな考えが半分出てきたというか。そういうタイプじゃないと思ってきたんですけど、少しは変わってきたのかもしれません。
増田:一緒にラジオをしていて、逆に岡田さんから出てくる話を聞いて、僕も感じることがたくさんありますしね。人生いろいろあったけど、2回目の“人生ゲーム”頑張ってるなぁとも思います。1回目はゲームオーバーになりましたけど(笑)。
岡田:サラッと言葉に置き換えるな! ここからが長いよ、芸人人生ゲームはまだまだ続くし!
増田:……。
岡田:言うだけ言うてほったらかしかい! この流れは一つも心地よくないわ!
(中西正男)

■ますだおかだ
ともに大阪府出身。93年、関西外国語大学短期大学部の同級生として出会い「ますだおかだ」を結成。ABCお笑い新人グランプリ最優秀新人賞、上方漫才大賞などを受賞。2002年には「M-1グランプリ」で優勝を果たす。TOKYO FM「サントリーウエルネス presents ますだおかだのココキク!〜心に効くかもしれない話〜」(土曜午前11時)に出演中。約20年ぶりに松竹芸能が大阪と東京で開催するライブ「松竹秋の大笑宴祭(だいしょうえんさい) ~若手もベテランも汗かきます~ 」でコンビとして「なすなかにし」とともに司会を務める。