樹齢1500年以上の天然記念物「淡墨桜」 記録上初めて“枝を切断” 70年見守り続けた地元住民の思い「さびしいけど仕方がない」 岐阜・本巣市
岐阜県本巣市にある、樹齢1500年以上の「淡墨桜」。国の天然記念物ですが、記録上初めて、枝を切ることになりました。貴重な木の枝。なぜ切るのでしょうか。
古木を守るために…樹木医と地元住民が見守る「淡墨桜」の枝切除作業

枝を切除するため作業員が集まっていた ©中京テレビ
岐阜県本巣市にたたずむ巨大な桜の木「淡墨桜(うすずみざくら)」。樹齢は1500年以上とされています。
国の天然記念物にも指定されている貴重な木ですが、9月9日、クレーン車が入り物々しい雰囲気に。作業員も緊張した面持ちです。いったい何が行われるのでしょうか…
樹木医 大平猛司さん:
「枯れている太い枝があるので、そこの切除をいまから行います。折れたら生存部にあたって、またそこを傷つける可能性があるので」

樹木医の大平猛司さん ©中京テレビ
こう話すのは、長年この淡墨桜の担当をしている樹木医の大平さん。枝を支える柱の交換に伴い、他の枝への影響も考えて、枯れてしまった部分を切り落とすことになったといいます。
これまで、台風や大雪で枝が折れてしまったことはありますが、人の手でこれだけ大きな枝を切るのは、初めてのこと。

淡墨桜を撮影する藤原博龍さん ©中京テレビ
そんな中、熱心に写真を撮る一人の男性の姿がありました。近くに住む、藤原博龍さん(85)です。
藤原博龍さん(85):
「ほんとうに残念。さびしいけども仕方がないですね、枯れてしまっているのでね」
70年間、この淡墨桜の写真を撮り続けているといいます。

藤原さんが撮影した写真 ©中京テレビ
写真を見せてもらうと…
藤原博龍さん(85):
「(これは)昭和30年(1955年)4月15日、中学3年生のとき一番最初に撮影。ものすごく大きかったよ。雨が降ろうが何だろうが、花が咲いているうちは必ず行く」
もともと写真の勉強のために淡墨桜を撮り始めましたが、撮っているうちに桜に魅了されていったといいます。

台風21号で折れた枝 ©中京テレビ
そんな藤原さんにとって大切な淡墨桜ですが、悲しい思い出が…。2018年、各地に大きな被害をもたらした台風21号で、淡墨桜の枝が4本折れてしまったのです。見つけたときは涙が出たと、藤原さんは振り返ります。
藤原博龍さん(85):
「一番大事な枝だった。花が良く咲く枝だったので。普通は誰かが記録をとって残している。それではいけない。『地元の人間じゃないと』と思って」
“この桜の記録を後世に残したい”。そんな思いで、写真を撮り続けました。

「淡墨桜」の枝を伐採する様子 ©中京テレビ
藤原さんが見守る中、ついに枝の伐採が始まりました。他の枝を傷つけないよう、切り落とす枝をクレーンで固定。慎重に枝が切られ、地面に降ろされます。
切り落とした枝は、推定で樹齢200年ほどの立派なものでした。切り口には、水が入らないよう癒合材でフタをして、しっかりと木を保護します。
樹木医 大平猛司さん:
「(今回は)生きている太い枝の分岐部を切除した。切った所の近くから新しいものが芽生えてくれるといいかなと思う」

「まだまだ撮り続ける」と話す藤原さん ©中京テレビ
淡墨桜とともに人生を歩んできた藤原さんが願うことは。
藤原博龍さん(85):
「いつまでも花が咲いてほしい。撮り続けます、まだまだ。(淡墨桜に)まだ来ないといかんっていわれているからね」