羽田空港「穴場フードコート」が手頃で快適すぎた

羽田空港第1ターミナルにあるフードコート「Sora chika」が9月にリニューアルオープンした(写真:kash*/PIXTA)
3つのターミナルを有し、近年は周辺エリアの開発も進む羽田空港。その一帯にはいくつものフードコートがある。
【画像32枚】実は「フードコート天国」の羽田空港。各フードコートの雰囲気はこんな感じ
9月に第1ターミナル地下1階の一部をリニューアルする形でオープンした「Sora chika」を中心に見ていこう。
渋谷区よりも大きい!「日本最大」の空港
羽田空港の歴史は、今から100年ほど前の1931年に始まった。国内初である国営の民間航空専用空港「東京飛行場」としてオープンし、当時の面積は53ヘクタール、1本しかない滑走路は長さ300メートルであった。
そこから戦後は進駐軍に接収され、1958年に全面返還。度重なる拡張を経て、現在の面積は1500ヘクタール超まで広がっている。日本で最も巨大な空港であり、その面積は渋谷区をしのぐほどだ。
ターミナルの数は3つで、国内線がメインの第1・第2ターミナルと、国際線がメインの第3ターミナルで分かれる。最も新しいものは2010年に開業した第3ターミナルである。
さて、今回の目的であるSora chikaは第1ターミナルにあるが、羽田空港にはターミナル間を循環するバスがかなり高い頻度で走っている。せっかくなので、第1ターミナルをざっと見て、第2→第3とターミナルを“旅行”してみる。
スタート地点の第1ターミナルには「神社」があるのをご存じだろうか。新橋の航空会館にある「航空神社」を1963年に分祀する形で創建されたものだ。

第1ターミナルに「神社」があることは、意外と知られていないのでは?(筆者撮影)
非常にこぢんまりとしたスペースにはレッドカーペットが敷かれており、祭壇や賽銭箱も備えている。ここ最近は「落ちない」として、受験生たちの間でもひそかに人気だという。1階のひっそりとした一角にあるが、およそ空港とは似つかわしくない空間が広がっていて、面白い。

祭壇や賽銭箱も(筆者撮影)

およそ空港とは似つかわしくない空間だ(筆者撮影)
ガリバーデッキで轟音に驚くのも一興
6階の展望デッキにも行ってみよう。展望デッキにはさらに「ガリバーデッキ」なる、いわば2階部分があって、ここにのぼるとより遠くまで見渡せる。
出発前の暇つぶしをする人や撮影にいそしむ人でにぎわっている。ものすごい勢いで何機も着陸してきて、そのたびに轟音に驚かされる。

ガリバーデッキ(筆者撮影)

周囲は撮影にいそしむ人などでにぎわっていた(筆者撮影)
国際色豊かなフードコートを発見!
第1・第2ターミナルは、数百メートルの通路でつながっている。この通路を抜けて、フロアを上がっていく。

第2ターミナルへ向かう(筆者撮影)

エスカレーターで上がっていく(筆者撮影)
3階まで上がると「UPPER DECK TOKYO」という区画がある。吹き抜けで下層を見下ろせる通路が細長く伸び、そこに面して国際色豊かな店がいくつか営業しているため、広義にはフードコートと呼べるだろう。

UPPER DECK TOKYO(筆者撮影)

国際色豊かな店がいくつか営業している(筆者撮影)
メンツとしては、寿司やうどんといった「ザ・和食」はもちろんのこと、「チャイナタウン デリ」という中華料理店にハワイやイスタンブールを銘打つ店などがある。
特に後者の「Mrs Istanbul」は、日本でもそこそこ見かける削ぎ落とすタイプのケバブだけでなく、「アダナ」と呼ばれる、ひき肉を串に巻き付けて焼いた料理やサバサンドも売っていた。

Mrs Istanbul(筆者撮影)

元祖寿司(筆者撮影)

Aloha Taco Company(筆者撮影)
インバウンド向けらしきフードコートもあるが…
循環バスで第3ターミナルへ向かう。直結している商業施設「羽田エアポートガーデン」の地下にもフードコートがある。

羽田エアポートガーデン(筆者撮影)
その名も「大江戸フードホール」だ。羽田エアポートガーデンは2023年に全面開業し、国際線の窓口である第3ターミナルに直結していることから「日本」を前面に押し出したテナントが目立つ。
そこから考えるとこの大江戸フードホールは「インバウンド向けの高額フードが集まっているのでは」という思いがよぎる。実際、獺祭の樽が鎮座していたり、入り口に掲示してあるラーメンのポスターも、どことなく「not for Japanese」感を覚えたりするが……。

大江戸フードホール(筆者撮影)

インバウンド価格と思いきや…意外にも普通の価格帯だ(筆者撮影)
しかし、意外(?)にも、メニューをしっかり見ると普通の価格帯である。例えばラーメンは、豚骨や魚介豚骨などは1杯1100円~。ハンバーグやステーキ類も、2000~3000円と、そこまで高くない。

肉類もそれほど高くない(筆者撮影)
そして何より、空いている。全面開業は2年前だが知名度がまだ高まりきっていないのだろうか。コロナ禍ももはや終息というような状態になり、とにかくごった返している空港エリアの中でもオアシスと呼べるくらい、裏を返せばかなり閑散としている。
しかも狙ったであろう外国人の姿もほとんどなく、目に付くのは日本人だけ。カフェメニューもあるし、時間をつぶすならおすすめかもしれない。

閑散としていて、目に付いたのは日本人だけだった(筆者撮影)
今回の本命!9月オープンの「Sora chika」へ
ものの小一時間という小旅行を終え、第1ターミナルに戻ってきた。いよいよメインのSora chikaへ向かう。
Sora chikaがあるのは地下1階、京急や東京モノレールの改札を出てまっすぐ進むとすぐに広がっている。

いよいよメインのSora chikaへ!(筆者撮影)
日本空港ビルデングのプレスリリースによると、コンセプトは「旅の始まり、終わりのひととき」。スーツケースなどがあっても窮屈に感じないような空間を目指したという。
確かに、区画にびっちりテーブルセットを置いている、という感じではなくテーブル同士のすきまも広々としている、気がする。

テーブル同士のすきまも広々としているような気がする(筆者撮影)
なおエリアすべてがフードコート、というわけではなく厳密には「レストランエリア」と「フードコートエリア」に分かれており、フードコートエリアには11のテナントがある。
基本的には日本食を扱う店で、洋食やとんかつ、ラーメン、そば、海鮮丼など。テイクアウトにも適したサラダボウルや弁当の店も充実しており、今半の総菜や弁当業態も出店している。

「レストランエリア」と「フードコートエリア」がある(筆者撮影)

弁当の店が充実しているのも嬉しい(筆者撮影)

ジェラートなどスイーツの店も(筆者撮影)
弁当などの店を除き、注文は基本的に店頭の機械で行うようだ。取りあえず席を探そう。
都内屈指の「有名店」の味が手軽に味わえる
席種としては、一般的なテーブル、コンセント付きのカウンターとハイテーブル・チェア、あとはソファ席などもある。エリア全体のうち、テイクアウト需要が高そうな弁当・総菜・デザート・サラダボウルの店が固まっている区画の辺りが比較的、席の競争率が低そうに感じた。
今回チョイスしたのは、まず「銀座おのでら」の新業態である「海鮮丼 銀座おのでら」。やはり「ここでしか味わえない」店は外せない。何といっても「やま幸」のマグロを使った丼を手軽に食べられるのが魅力的だ。
ハーフサイズの丼を2つ選べるセットで、「江戸前気まぐれ丼」と「やま幸 まぐろ赤身漬け丼」をチョイスした。

海鮮丼 銀座おのでら(筆者撮影)
加えて、食べている人が非常に多く見受けられた「廚 くろぎ じゅんちゃん」でも注文してみよう。「予約が取れない店」として知られる、割烹の「くろぎ」店主がプロデュースした業態で、ロースとヒレのカツ定食やカレーを売っている。
この日、まだ昼前であったがすでにヒレカツ系の商品が売れていることからも高い人気度がうかがえる。「くろぎの ロースカツカレー」を注文した。

廚 くろぎ じゅんちゃん(筆者撮影)

ロースとヒレのカツ定食やカレーを販売している(筆者撮影)
Sora chikaでは注文は券売機、さらにレシートのQRコード経由か、フードコートにあるモニターから商品の準備状況を確認できるため、呼び出し機がない。若干の寂しさを覚える。まあこっちのほうが便利なのは間違いないのだが……。
もはや飲める?絶品カツカレーを頂く
まず5分ほどで海鮮丼、10分ほど遅れてカツカレーが到着した。

「飲めるカツカレー」といえるかも(筆者撮影)
揚げたてのカツカレーからいただこう。スプーンはプラ製のなんてことないものだが、箸が紙でまとめられているタイプで、何となくアガる。
とんかつはかなり肉が柔らかい仕上がりで、脂身もさっと口で溶ける儚さ。それが良い。運んでくる途中から気付いていた、かなりシャバシャバ系のルー、さらに柔らかめに炊かれたご飯と相まって、さながら「飲めるカツカレー」といえるかもしれない。

箸が紙でまとめられているタイプで、何となくテンションがアガる(筆者撮影)

肉はかなり柔らかく、脂身もさっと口で溶ける(筆者撮影)
漬けマグロでご飯が進む進む
海鮮丼も食べ進める。気まぐれ丼のほうには、マグロと白身、サーモンなど。バリエーションがそこまで豊かなわけではないが、ネギやしそなどもあって彩りがとにかく豊かだ。
漬け丼は、もちろんマグロに筋などがなくきれいな赤身。漬けとはいえすっきりした味わいで、マグロの脂との相性が良くどんどんと食べ進めてしまう。ずっと良い香りを漂わせている赤だしのみそ汁も、ほのかに魚のダシを感じておいしい。

海鮮丼もいざ実食(筆者撮影)

彩り豊かな気まぐれ丼(筆者撮影)

漬け丼はすっきりした味わい(筆者撮影)
都内屈指の名店の味をサクッと味わえる
今回の注文は、計4000円と少々。いずれも都内で屈指の名店であり、比較的手軽な価格で旅行の行き帰りにサクッと味わえると考えると、かなり実力派のフードコートである。
まだオープンから期間が短いからか、客のほとんどは日本人だったが、ラインナップ的には外国人からも人気が出そうだ。大江戸フードホールの閑散とした状況を見た後だと「早く気付いてほしい」と、思わせられる。