朝ドラ「ばけばけ」でおトキちゃん(髙石あかり)の“おじじ様”好演、小日向文世「切ないけれども必死に頑張る姿も、愛らしい」

連続テレビ小説「ばけばけ」の登場人物、松野右衛門(小日向文世)(C)NHK

現在放送中のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」(総合ほか)で、名バイプレイヤーの小日向文世が異彩を放っている。演じている、ヒロイン松野トキ(髙石あかり)の祖父、勘右衛門は、幕末をたくましく生き抜いた生粋の武士であり、明治になって近代化が進むなかでも、この国を守るのは自分だと信じ、髷を結ったまま、剣の稽古を続ける“ラストサムライ”。

第4週では、武士の格にこだわるあまり現実を見ようとしない勘右衛門の頑固さに耐え切れなくなった入り婿の銀二郎(寛一郎)が出奔し、トキを“バツイチ”にする元凶となるなど、厄介な人だが、目に入れても痛くないトキのために、後生大事にしていた鎧兜や刀を売り払って、上京した銀二郎のもとに向かう旅費を工面する心優しい面もある。そんな役柄について、小日向は「切ないけれども必死に頑張っている姿も、愛らしい」と語る。

松野トキ(髙石あかり)、勘右衛門(小日向文世)第16回の場面から。家宝を売って工面した旅費をトキに渡す勘右衛門(C)NHK

朝ドラ「ばけばけ」とは?

松江の没落士族の娘、小泉セツと、その夫で作家のラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルとした物語。島根や熊本などを舞台に、怪談を愛し、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の姿をフィクションとして描く。脚本は「バイプレイヤーズ」(テレビ東京)や「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」(総合)などで知られるふじきみつ彦氏。主題歌「笑ったり転んだり」をハンバート ハンバートが歌う。

松野フミ(池脇千鶴)、勘右衛門(小日向文世)、司之介(岡部たかし)(C)NHK

小日向文世 コメント

――出演が決まったときの心境は?

「朝ドラ『まれ』への出演から、もう10年がたったんですよね。久しぶりに声をかけていただいて率直にうれしかったですし、「おじいちゃん役で』とお話が来たこともうれしかったです。諸先輩方でおじいちゃん役ができる人がたくさんいる中で、勘右衛門さんというおじいちゃん役をいただけたことが、とても光栄でした」

――松野勘右衛門は、どんな役ですか?

「勘右衛門は、武士の時代を終えて、まだ武士の格というものにこだわっています。その中で、おトキを『おじょ』と呼び、本当にかわいがっています。

勘右衛門の魅力は、喜怒哀楽を表に全部出してくるところだと思っています。うまい具合に話を合わせるとか、大人として少し控えようと考えるようなことはなく、思ったことを全部口に出しているような人です。僕は、『ラストサムライ』とは、もっと生真面目で無口な人なのかと思っていたんですけれど、どんどんおっちょこちょいのおじいちゃんのようなシーンも出て来ます(笑)。

松野勘右衛門(小日向文世)(C)NHK

時代の流れからはちょっとずれちゃっているんだけど、僕個人としては、切ないけれども必死に頑張っている姿も、愛らしく感じています」

――髙石さんの印象、松野家の人たちとのエピソードを教えてください

「髙石あかりちゃんは、全身からパワーがあふれている感じがして、すごいなぁと思っています。疲れた顔を見たことがないし、自分の境遇とか、今の現場も含めて、自分が置かれている状況というものをすごく楽しんでいると思います。いつも、ニコニコしていますからね。

勘右衛門と司之介は、おフミさんがいなかったらとんでもないことになっていると思います。フミさんは、松野家のいわゆる扇の要の部分ですよね。池脇さんと岡部君とは、休憩時間もよく3人でおしゃべりしちゃうんですけれど、それがとても良い時間なんですよね。お芝居って、やっぱりキャッチボールだから、それがお互いにやりやすい関係性になっていると思います。視聴者の方にも、『松野家はこの人たちでよかった』と見てもらえたら、一番うれしいですね」

――“ラストサムライ”としてヘブンと対峙するシーンを演じた感想は?

「勘右衛門は、来日したヘブンに対して、『ペリー!覚悟ぉ!!!』と木刀で斬りつけようとするのですが、ヘブンが憎いのではなく、武士の時代を終わらせたペリーが憎らしいんですよね。ヘブンは、サムライの写真を持っていてリアルにサムライを見て感動してくれているのに、勘右衛門は飛びかかっていきますが、勘右衛門は大真面目なんですよ。『日本人を馬鹿にするなよ』という気持ちだと思いますが、誰も馬鹿にはしていないのにね(笑)」

――見どころ、視聴者に向けたメッセージを

「『ばけばけ』で、僕が一番気に入っているのは、松野家が貧しいながらも笑って過ごしているところです。親子のつながりみたいなのがしっかりと描かれている作品だし、そんな家族の『温かみ』みたいなのを受け止めてもらえたらいいなと思っています。

勘右衛門にとって一番大事なものは、家族だと思います。武士の格というものにこだわっているけど、それが時代の流れの中で少しずつ消えていくんですよね。そうなった時のよりどころとして、家族がものすごく大きな存在になっていくんじゃないかなと思っています。その中で、江戸の時代を引きずりながら頑張っている勘右衛門のさまも、見て楽しんでもらえたらと思います」