医師推奨「腎臓寿命」を長くする"すごい運動"4選

腎機能の低下を防ぐには「適度な運動」を行う習慣が欠かせません(写真:buritora/PIXTA)
運動のおかげで「人工透析」を回避できた
腎機能の低下を防ぐには「適度な運動」を行う習慣が欠かせません。私が提唱・普及させてきた「腎臓リハビリ」のプログラムの中でも、いちばん中核の役割を担っているのが運動療法です。
【図解で簡単にわかる】専門医が勧める”腎臓”の寿命をのばす「らくらく筋トレ」4選
私は著書でもこうした運動療法のメニューを紹介しているのですが、おかげさまでたいへん評判がよく「本で読んだ通りに運動メニューを行ったら腎機能の数値がよくなった」「運動を習慣づけたおかげで人工透析にならずに済んだ」といった声が多くの患者さん方から寄せられています。
今回は「腎臓リハビリの運動メニュー」の中でも、筋肉量の維持や回復を目的とした「らくらく筋トレ」をご紹介することにしましょう。
まず、腎機能を長持ちさせるために、なぜ筋トレが必要なのかという点を説明しておきましょう。
じつは、昔は腎臓が悪い人には「安静」が推奨されていました。しかし、安静を決め込んでしまうと、てきめんに筋肉量が落ちて、体力や運動機能を低下させてしまう患者さんが多かったのです。中にはそれを機にサルコペニア(筋肉減少症)やフレイル(虚弱)になっていく患者さんも少なくありませんでした。
また、厳しい食事制限をしている患者さんの中には栄養不足に陥るケースも少なくありませんでした。栄養不足に陥ると、自分の体の筋肉を分解してたんぱく質を補おうとするシステムが稼働してしまい、この「筋肉→たんぱく質」の分解が進むと、いっそう筋肉量減少が進んでしまうことになります。しかも、この分解システムが働き出すと、結果的にたんぱく質を大量摂取したのと同じことになって、腎機能をさらに弱らせることにつながってしまうのです。
つまり、こういった悪い流れに陥るのを防ぐには、普段から適度な運動を習慣づけて筋肉量を落とさないようにする姿勢が必要だということ。腎臓の寿命を長持ちさせていきたいのであれば、筋肉量をキープするための簡単な筋トレ習慣が絶対に不可欠だと思ったほうがいいでしょう。
壁で上半身の筋肉を効率よく鍛える
腎臓リハビリの「らくらく筋トレ」は、筋肉に負荷をかけて刺激を送り、筋肉量を効率的に維持・回復させていくプログラム。筋トレというとつらくて苦しいイメージがありますが、これから紹介するメニューは、運動が苦手な人でも安全かつ気軽に筋肉を鍛えられるように工夫してあります。
最初に紹介するメニューは「壁腕立て伏せ」です。
筋トレを苦手にしている女性でも、壁に向かって行うこの腕立て伏せであれば問題なくできるはずです。
このメニューでは、腕、胸、肩などの上半身の筋肉を効率よく鍛えることができます。行う際は、「頭からかかとまでのラインをまっすぐにキープする」「両足のかかとを床から離さない」の2点に注意してください。そして、鼻から息を吸いながらゆっくりひじを曲げ、口から息を吐きながらゆっくりひじを伸ばしていくのです。
これを5回繰り返して1セット。呼吸の出し入れに合わせながら、意識してスローテンポで行うようにするといいでしょう。

自宅で簡単“腎臓ケア”【壁腕立て伏せ】(図解:『腎臓大復活』より)
次の「らくらく筋トレ」メニューは「中腰スクワット」です。
筋肉量をキープするには、体の「大きな筋肉」に的を絞って鍛えるのが有効だとされています。そして、そうした「大きな筋肉」が集中しているのが下半身。この「中腰スクワット」は、体幹、お尻、太もも、ふくらはぎなど、下半身の大きな筋肉をトータル的に効率よく鍛えることのできるトレーニングなのです。
まず、肩幅より少し広めに足を開いて立ち、両手を腰に当てます。そして、口から息を吐きながら中腰になるまでゆっくり腰を落としていき、次に、鼻から息を吸いながらゆっくり腰を上げていくのです。これを3回繰り返して1セットとなります。
高齢の方は中腰までのスクワットで十分ですが、物足りない方は深めに腰を落としても構いません。一方、ひざや腰に痛みなどの不安がある方は無理は禁物ですので、該当する方はこのメニューは省略してください。
とにかく、足腰の大きな筋肉は、あらゆる運動や動作の「土台」です。このスクワットを習慣にして「土台」の強化につとめていれば、筋肉量をしっかり維持して、体力や運動機能が落ちるのを防いでいくことができるはず。ちょっとやそっとでは揺るがない「安定した丈夫な足腰」をつくっていくことができるでしょう。

自宅で簡単“腎臓ケア”【中腰スクワット】(図解:『腎臓大復活』より)
体幹を鍛えれば、速く歩けるようになる
寝た姿勢で行う「らくらく筋トレ」も紹介しておきましょう。
「ヒップリフト」は、体幹の筋肉を鍛えるのにうってつけのメニュー。腹筋や背筋などの体幹の筋肉がついて安定すると、体を支える力が高まり、歩行をはじめとしたさまざまな動作をスムーズに行えるようになるのです。
まず、仰向けになって、両足を肩幅に開いてひざを立てた姿勢をとってください。次に、口から息を吐きながらゆっくりとお尻を持ち上げていきます。肩、腰、ひざのラインが一直線になるまでお尻を持ち上げたら、その姿勢のまま10秒間キープし、その間は息を止めずにゆっくり呼吸してください。その後、鼻から息を吸いながらゆっくりお尻を下ろしていきましょう。これを3回繰り返して1セットです。
なお、お尻を上げ下げする際は、肩甲骨を床から離さないよう注意しつつ、おなかの筋肉に力を込めて行うのを意識してください。そのほうが体幹の筋肉を効率よく刺激することにつながります。日々継続して行えば、おなかにしっかり力を込められるようになり、姿勢をよくしたり、速いスピードで歩けたりするようになるはずです。

自宅で簡単“腎臓ケア”【ヒップリフト】(図解:『腎臓大復活』より)
「らくらく筋トレ」のラストは「レッグレイズ」を紹介します。
先述したように下半身には大きい筋肉が集中しているのですが、中でも背骨と大腿骨をつないでいる「大腰筋」は大黒柱のように太いのが特徴。大腰筋は人間が直立二足歩行をするのに欠かせない筋肉であり、歩行時に体を支えつつ足をしっかり上げ下げする役割を果たしています。このレッグレイズは、大腰筋をはじめとした下半身の筋肉を効率よく鍛えることができるメニューなのです。
まず、仰向けになって両足を肩幅に開いてください。次に、口から息を吐きながらゆっくりと両ひざを曲げ、お尻が少し浮くくらいまでひざを胸に引き寄せます。その後、鼻から息を吸いながらゆっくりと両ひざを伸ばしていきます。ただ、すぐに足を床に着けてしまわず、伸ばした足を浮かせた状態で5秒間キープしてください。そして、足を下ろして終了。これを5回繰り返して1セットです。
大腰筋という大黒柱の筋肉が鍛えられると、姿勢も歩行も安定します。このレッグレイズを習慣にしていれば、高齢になっても足腰を衰えさせることなく、力強く歩き続けていけることでしょう。

自宅で簡単“腎臓ケア”【レッグレイズ】(図解:『腎臓大復活』より)
1日置きに行えばОK
以上、腎臓リハビリの「らくらく筋トレ」のメニューを4つほど紹介してきましたが、みなさんどうでしょう。筋肉量維持のために取り組んでいけそうでしょうか。
4つの筋トレは、全部いっぺんに行わなくても、1日にどれかひとつを選んで行うので構いません。また、筋トレは一定の休養期間を設けながら行うほうが効率よく筋肉を強化できることが知られています。ですから、「月水金」でも「火木土」でもいいので、1日置きに行っていくといいでしょう。
もっとも筋トレ好きの方には「らくらく筋トレを毎日やりたい」という方もいらっしゃるかもしれません。その場合は「月曜・上半身」「火曜・体幹」「水曜・下半身」といったように1日ごとに鍛える部位を変えながら行うことをおすすめします。
とにかく、いちばん大事なのは長く続けていくことです。
長くやっていく中では、忙しい日もあれば、疲れてできない日、サボってしまう日もあるでしょう。でも、そんな日があっても、また再開すれば大丈夫だということを頭に入れておいてください。たとえ三日坊主になったとしても、その三日坊主を何度も繰り返していけばいいのです。ぜひ、それくらいの気軽さで筋トレに取り組んで、筋肉量をしっかりキープして腎臓寿命を延ばしていくようにしてください。