吉沢亮が朝ドラで流ちょうな英語を披露、共演者に教えた日本語が意外だった!【写真ギャラリー付き】

吉沢亮さん 写真提供:NHK
朝ドラこと連続テレビ小説『ばけばけ』(NHK)の重要人物・錦織友一役で第4週から登場した吉沢亮さん。彼が演じる錦織は、主人公・松野トキ(高石あかり・「高」の表記は、正確には「はしごだか」)とその夫になるヘブン(トミー・バストウ)の人生に大きな影響を与える役割を担う。主演映画『国宝』の歴史的大ヒットの立役者である吉沢さんは、映画では歌舞伎のレッスンを受け、プロの技に肉薄したが、今回は英語に挑んだ。この役を演じるまでは英語に親しんでいなかったとは思えないほど流暢な英語を披露する。いま注目の吉沢亮さんの演技の秘密に迫った。(聞き手・構成/ライター 木俣 冬)
「思った以上に難しくて絶望」吉沢亮が英語のセリフに葛藤
吉沢亮さんが朝ドラに出演するのは2019年の『なつぞら』以来で2度目になる。
「朝ドラは1年近く撮影があります。そのせいか、スタッフやキャストの皆さんの空気感に、まるで家族のような温かさが生まれることを『なつぞら』で強く感じました。
あれから5、6年ぶりぐらいの朝ドラ出演で、同じような温かさを感じています。むしろ以前より強く感じたのは、大阪局(BK)だからなのでしょうか。大阪局の現場の雰囲気は強い絆で結ばれているように思えるんです」
吉沢さんは『なつぞら』のあと、21年の大河ドラマ『青天を衝け』の主演(渋沢栄一役)に大抜擢された。『ばけばけ』の制作統括・橋爪國臣さんとチーフディレクターの村橋直樹さんは『青天』でも一緒で、橋爪さんにいたっては『なつぞら』にも関わっていた。
「『なつぞら』や『青天を衝け』でご一緒させていただいた橋爪さんや村橋さんからまたお声をいただいたことがすごくうれしくて、ぜひやらせてほしいと思いました。
錦織友一という役も魅力的でした。西田千太郎さんという実在の人物がベースになっていて、その方の歴史をはじめとした資料を読んでとても魅力的な方だと感じました」
松江随一の秀才で、「大盤石(だいばんじゃく)」の異名を持つ錦織友一。ヘブンのモデルである小泉八雲ことラフカディオ・ハーンと密接に関わった西田千太郎がモデルになっている。
松江中学で英語教師を務め、外国人教師として松江にやってきたヘブンを公私共にサポートする役で、英語セリフの分量がとても多い。
「以前から英語を学んでみたいという思いが漠然とあったので、これはいい機会かもしれないと思ったのですが、思った以上に難しくて絶望しております(笑)」
週3で英語、演技によって英語のテンションも変える
「錦織は“大盤石”と呼ばれるぐらいの人物ですので、ネイティブに聞こえるくらいの発音とまではいかなくても、見ている方にできるだけ違和感を与えないように、いかにも練習している感が出ないくらいには練習しようと、24年の12月から週3回ぐらい英語の先生のレッスンを受けました。
撮影が始まってからはそこまで頻繁にはレッスンを受けられなくなりましたが、時間がある限りは勉強を続けています」
絶望していると謙遜しながら、その一方で「第5週の完成を見たトミーさん(ヘブン役)から、完璧だったと言っていただきましたので、なんとか形にはなっているのではないかなと思っております」と安堵の表情も浮かべた。
初登場の第4週は、東京で試験を受けるため勉強しているエピソードで、本格的に英語を話すのは第5週から。ヘブンの通訳として活躍する。吉沢さんは耳がいいのか、極めてなめらかな発音で聞きやすい。
「英語のセリフを覚えることは、どんなに難しくてもやればできますが、覚えたセリフに感情を乗せて、生きた言葉としてしゃべることが難しいです。また、錦織自身の言葉として話す英語、通訳としての英語とのテンションの違いも意識して分けていて、それも難しさのひとつです。
苦労しているのが、会話の途中で合いの手のように、『アンビリーバブル』『シャラップ』などとつぶやくとき、コメディっぽく聞こえてしまうことです。聞けば、当時の英語を話す日本人は真面目に言っていたそうなので、いかに真面目に言えるか努力しています」
ヘブン役のトミー・バストウとは英語や日本語でコミュニケーションをとっている。互いの言葉や文化を教え合う異文化交流を行うなかで、トミーから教わった言葉に「Play it by ear」がある。「臨機応変にいこう」という意味だ。
「現場で段取り確認中に、『まあ、そのときに芝居の流れで臨機応変に行きましょうよ』という話になって、これを英語でなんて言うの?と僕が聞いたら教えてくれました」
トミーに吉沢亮が教えた日本語が意外すぎた
逆に吉沢はこんな言葉を教えた。
「この間、僕は『何時起き』という言い方をトミーさんに教えました。ロケで朝が早い日で、トミーさんが先に入っていたので、『今日トミー、何時起き?』と聞いたら『何時起きって何?』と聞かれたので、『何時に起きた?』を略して『何時起き?』という言い方を日本人はよくすると教えました」
異なる言語、異なる文化を持つ者同士。
「トミーさんはまさに『Play it by ear』で楽しそうに対応している印象があります。なんなら彼の方が日本語でアドリブを入れてきて、ちょっと笑っちゃう瞬間があります。僕もたまに英語でアドリブに挑戦してみることがありますが、採用されたことはまだありません(笑)」
吉沢さんは現在、日本の若手俳優のなかではトップランナーのひとり。
今回の英語の発音の流暢さをはじめとして、『国宝』では見事な歌舞伎の所作の再現性の高さを見せた。身体表現のスキルや感情表現の豊かさは群を抜いている。錦織をどのような人物として捉え、演じているのだろうか。
「第4週では錦織がどういう人物に見えるか意識して演じました。松江から東京に出てきたばかりでこれから自分たちで日本を動かしていく、変えていくという強い心意気を頂いていた時期で、錦織は自分が秀才であるという自負もあるので、その自信や意気込みの強さを意識して演じました」
経済的に恵まれた家庭に生まれなかった錦織の苦境を跳ねのける優秀さ、エネルギーを、吉沢さんの演技が感じさせる。
「ところが、第5週になると、もうずっとヘブン先生に振り回されているんですよ(笑)。なので、秀才感は意識せず、ドタバタ感を意識しながらやっています」
また、錦織はヘブンとトキのことをどう思っているのだろうか。
「トキが銀二郎(寛一郎)を追って、ひとりで東京までやって来たのを見て、たくましさは感じていると思います。が、関係性でいうとまだ深まってはいないですね。
また、県知事(佐野史郎)がヘブン先生を松江にお招きした目的は、松江の教育を変えていくこと。ヘブン先生と一緒にいれば自分自身の人生も変わるのではないかと期待を持って接しているのかなと思っています」
演じる役のバックボーンの詳細がわからない時、どう演じるか
錦織は、今後、ヘブンとトキの人生に大きな影響を与える役割を担う。すでに高石あかりさんとトミー・バストウさんとの掛け合いがテンポよく行われている。
「高石さんとトミーさんと3人のシーンがかなり多いです。第5週以降は特に多くて。目の前で起きている事象はちょっと重めの話ですが、それを重く扱わず、あえてコメディタッチに見せ、笑いの絶えない面白いシーンが多い。
そのなかで高石さんもトミーさんもお芝居のテンポ感やテンション感がとてもナチュラルなんです。コメディではあるものの、オーバーに演じない。一緒に演じていて、それが心地よくて。素敵なお二人だなぁと思いながらお芝居させてもらっています」
気になるのは、第5週で、遊郭が苦手で中にひとりで入れない錦織。そこにはどんな事情があるのだろうか。
「これはネタバレになりますので、いまは話せません。
登場人物それぞれが何かしらの事情を抱えていて、錦織にもそれがあるのですが、いま言えるのは、『大盤石』と言われているぐらい、松江ではトップクラスの秀才で、そういうふうに周りから思われているというプレッシャーや、彼には彼なりの挫折みたいなこともあったりするわけです。それらとどう向き合うか、ゆくゆく描かれると思います」
錦織のバックボーンはうっすらと聞いてはいるものの、まだ具体的には台本に書かれていない。先々出てくるかもしれない部分を予想しながら演じるときは俳優としてどう対応するのだろうか。
「ある程度の骨組みのようなものはわかりながらも、台本に書かれない限りは詳細がわからないということは、これまでも経験しています。
台本をもらったとき、知らなかったことが書いてあるワクワク感のようなものは、ある意味、視聴者目線に近い感覚で。それはそれで楽しいと思いながらやっています」
与えられた役の過去も未来も漠然としていることもある。「しかも、最初に説明された裏設定などが、最後まで出てこないこともあるんです」と言う。
そうなると、瞬間、瞬間の表情の鮮度が勝負だろう。
先述したように『ばけばけ』では、ユーモラスな部分を真剣に演じているし、時折見せるシリアスな表情も印象的だ。とりわけ『国宝』でも何度か見せた、かすかに喉が動き、ゴクリと息を飲んでいるのがよくわかる瞬間。その芝居について聞いてみたかった。
「あんまり意識的にはやってはいないのですが、そう言われたらやっているかもしれません。その場の空気と皆さんの芝居で自然とそうさせてもらっているのでしょうね」
制作統括「事実上トキとヘブンと錦織、3人の物語」
意識していると言えば『青天を衝け』の経験。後半、明治になったときの渋沢栄一を演じた経験が生きているという。
「明治時代のはじまりを生きた人たちの空気感はわかります。渋沢栄一は多分、時代の変化を心から楽しめる人だった。一方で、ただそういう人ばっかりでもなかった。
やっぱり時代にとり残される人もいれば、いやがおうでもでも時代の波に乗っかっていくしかない人もいるとしたら、じゃあ、錦織はどうなんだろうということは考えます」
演出は、先述した、大河ドラマで一緒に仕事をしてきた村橋直樹。ドラマの雰囲気が明治という時代も手伝って大河ドラマのような重厚感があるとも言われている。撮影方法も違う?
「今回は2回目の朝ドラで、『なつぞら』ではカメラが6台ぐらいあってマルチ撮影といってカメラが一斉に撮って、その中からいいカットを選ぶ手法だったので、撮影時間が短かったんです(昔のドラマは大抵この手法だった)。
朝ドラの撮影ってこんなに早いんだと思った記憶はありましたが、今回はライティングをはじめとした絵作りにたっぷり時間をかけていて。それは大河ドラマの撮影に近い気がしました」
さまざまな経験を生かし、感性を敏感に働かせながら『ばけばけ』の現場に臨む吉沢さん。制作統括の橋爪さんは「トキとヘブンの物語ではあるが、事実上トキとヘブンと錦織、3人の物語とも言える」と語る。それほど重要な役。これからが楽しみだ。
【プロフィール】
よしざわ・りょう
1994年、東京都出身。2009年に芸能界デビュー。主な出演作品にドラマ『PICU 小児集中治療室』。NHKでは連続テレビ小説『なつぞら』に出演。大河ドラマ『青天を衝け』では主演をつとめた。映画では『国宝』『ババンババンバンバンパイア』『ぼくが生きてる、ふたつの世界』などで主演。ほかに『キングダム』『東京リベンジャーズ』など、多数のヒット作に出演している。
フォトギャラリー
連続テレビ小説『ばけばけ』
作品情報
連続テレビ小説「ばけばけ」。松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々を描きます。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語です。
【作】 ふじきみつ彦
【音楽】 牛尾憲輔
【主題歌】 ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
【出演】高石あかり(「高」の表記は、正確には「はしごだか」) トミー・バストウ / さとうほなみ 円井わん 福地美晴 岩谷健司 倉沢杏菜 安達木乃 田中穂先 岡部ひろき / 渡辺江里子 木村美穂 / 北川景子 / 岡部たかし 池脇千鶴 小日向文世 堤真一 ほか
【放送】 2025年9月29日(月)から放送開始