「100回生まれ変わらないと指せない」藤井聡太竜王が見せた異次元の“成桂寄り” 解説棋士「それを見ることができただけで幸せ」

「100回生まれ変わらないと指せない」藤井聡太竜王が見せた異次元の“成桂寄り” 解説棋士「それを見ることができただけで幸せ」
若き王者が、またしても異次元の読みの精度を見せつけた。将棋の藤井聡太竜王(名人、王位、棋聖、棋王、王将、23)が10月31日・11月1日に行われた第38期竜王戦七番勝負第3局で、挑戦者の佐々木勇気八段(31)に勝利。成桂タダ捨てからの圧巻の組み立てに、解説を務めた鈴木大介九段(51)からも「100回生まれ変わらないと指せない。別のゲームを見ているみたい」と感嘆の声が漏れた。
藤井竜王にとっては王座失冠からの再始動となった竜王戦第3局。京都市の世界遺産・仁和寺を舞台に争われた本局では、シリーズ2連敗中の佐々木八段が初白星を目指し意表の四間飛車を採用した。「後手振り飛車がどのくらい通用するかというのがテーマだった」という佐々木八段に対し、藤井竜王も「予想していない展開になった」。それでも、「端の位を取っての四間飛車は以前も公式戦で指されたことがあり、そのときの変化を思い出しながら指していた」と序盤の駆け引きを冷静に対応した。

ABEMAの中継には、1999年度の竜王戦挑戦者だった鈴木九段が出演。1日目の進行については振り飛車充分、佐々木八段のペースと評価していた。ねじり合いの長い中盤戦が予想されていたが、佐々木八段は攻め合いを決断。「6筋から攻め合いで勝負をかけたが、封じ手の局面から成桂までは読めず、その手でしびれてしまった」と苦い表情で大長考に沈むこととなった。
「手段が多く、自信が持てる展開ではないと思っていた。なんとか穴熊の遠さを生かす展開にできればと考えていた」と語った藤井竜王だったが、鈴木九段も藤井竜王の成桂に感服。「ビックリしました。AIでは2番手に出ていて、候補が少ないから出ているのかと思っていましたが大マジなんですね…」。
さらに、「正直1秒も読まなかった。自分だったらひっくり返ると思う。こんな手を人間がやるわけないと。この桂馬って一生懸命跳ねて角を犠牲にしてまで成ったのに、それを捨てるという感覚…。こんな手、100回生まれ変わらないと指せない。別のゲームを見ているみたい。タダで捨てるという感覚は…これはすごいな」と驚きの声を漏らすしかない様子だった。

佐々木八段は「対抗形の実戦不足だった」としたが、藤井竜王はその後も天王山に銀を据え、角筋を止めて詰めろを防御。「全体として互いの玉の距離感が非常に難しい将棋だった」と総括したが、見事な構想力で鮮やかに白星をもぎ取った。
鈴木九段は、「穴熊対銀冠の戦いで85手(で終局)というのはかなり短い部類ですが、それだけ藤井さんの寄せが鋭かったということ。人間が到達できる読みなのかわからない。それが見ることができただけで幸せでした」とどこか満足げな表情を見せていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)
【映像】藤井竜王、衝撃の「成桂寄り」の瞬間
【動画】鈴木九段による徹底解説!竜王戦第3局
【藤井聡太 速報】最新対局結果・予定まとめ