3児の母で片づけコンサルタント・こんまりが“お片づけを諦めた”ワケ 「多少散らかっていても、家族みんなでときめく暮らしが優先」

 片づけコンサルタントとして世界で活躍する近藤麻理恵さん。10歳、9歳、4歳の3児の母として子育てにも奮闘するなかで、「お片づけを諦めた」と発言されたことも話題にもなりました。その真意、子どもたちとのお片づけルール、アメリカでの子育てについて、伺いました。※前編<“こんまり”近藤麻理恵がお片づけに目覚めたのは5歳 「母が読んでいた生活雑誌を愛読し収納ボックスを手作り」>から続く

■あの「こんまり」さんがお片づけを諦めるまで

――現在3児の子育て真っ最中とのことですね。子どもがいるとおもちゃなど、モノが増え、片づけが難しいのではないでしょうか?

 本当に難しいです。 片づけても片づけてもすぐに散らかりますし……。子どもが好きなビビッドな色のモノがリビングに常に置いてあるという、私の理想の暮らしではない状況が続いています。

 ただ、自分が一人暮らしをしていた時とは状況が全く違いますからね。今の時期はそういう時期なんだと切り替えて、家族みんなでときめく暮らしをするにはどうしたらいいのかを話し合いつつ、調整していく時期だと捉えるようにしました。

 そしてその捉え方ができるようになってからは、多少散らかっていても、心が穏やかでいられるようになりましたね。

――この境地に至るまでに葛藤はありませんでしたか?

 もちろんありましたよ! 元々片づけ大好きですし、世間的にも私は「片づけの人」だからきちんと片づけなきゃと思っていましたし(笑)。子どもが散らかすとイライラしたこともありました。

 そんなときは、「今自分に一番大切なものは何だろう?」と私自身に問うてみたんです。すると、今は家の中で家族みんなが楽しくいられて、健康であればそれでいい、という答えが出てきまして。疲れている時は片づけよりも睡眠を優先したりして、片づけの基準がグッとゆるくなりました。

■子どもが自分で片づけられるようになる!わが家のルール2つ

――お子さんは今、10歳(長女)、9歳(次女)、4歳(長男)とのことですが、お子さんたちにも片づけの方法を教えていますか?

 子どもたちにはまず、洋服を畳んでクローゼットにしまう方法を教えました。具体的には私が洗濯機置き場で洗濯~乾燥までしたものを、各自の洗濯ものボックスに分けて入れておくので、それをお風呂上がりに子どもたちが自分で畳んで、クローゼットに戻す感じです。

 あと、わが家では夜ご飯を食べる前がテレビタイムと決まっているのですが、その前までには各自が片づけを終わらせて、リビングに散らかっているおもちゃも片づけてから、テレビを見るというリズムができています。

 お姉ちゃん2人はこの2つのお片づけが習慣になり、言われなくても自然にできるようになりました。4歳の長男はまだまだですが、お姉ちゃんたちが手伝ってくれています。

――お風呂上がりには洋服を畳む、テレビを見る前には片づける、と習慣化しているのがいいですね。ちなみに子どもたちが片づけやすいよう、工夫はされていますか?

 おもちゃはここ、ランドセルやバッグ類はここ、というふうに、モノの定位置を決める手伝いはしています。何をどこに戻せばいいのかをはっきりさせることがお片づけの第一歩です。分からないのが一番のフラストレーションだと思うので。

――そうやってお子さんたちが自分で片づけるようになると、お部屋はきれいになってきましたか?

 そうですね。それでも寝る前には、「あれ?なんでこんな散らかっているんだっけ?」となることもあります。

 ただ片づけの大前提として、自分のモノは自分で片づけて、使ったモノは定位置に戻すというルールが家族で共有されていることが大事だと考えていますので。毎日完璧にはできなくても、これからも伝え続けていこうと思っています。

――お子さんたちに、片づけ上手のこんまりさんの遺伝子を感じることはありますか?

 ときどきですが、ありますね。お姉ちゃん2人にはそれぞれの勉強机があって、その勉強机に関しては私が片づけの方法を教えたわけではないのですが。ある日真剣に片づけをしているなと思ったら、空箱を使って机の中の仕切りを作って、文房具の種類別に分けたりしていて。あのときは驚きましたね。

――さすがです。こうやって、子どもが自分でできるようになることが大切ですよね。

 それが理想かなと思います。例えばクローゼットがぐちゃぐちゃだったら、私はまず子どもたちにやり方だけ教えます。そして作業を手伝いつつも、基本は自分たちで片づけてもらうようにしています。

 とにかく、子どもが片づけ方を知っている、ということが重要だと考えています。

――ちなみに旦那さんはお片づけが得意なのでしょうか?

 夫も好きなほうだと思います。子どもたちと一緒で、私が洗濯したものを自分で畳んでクローゼットに戻しています。

 ちなみに引っ越しのたびに、家の収納の仕組みを作るのは私です。夫のクローゼットも私が収納システムを作っています。収納を整える作業が好きなので、むしろ頼んでやらせてもらっている感じですね(笑)。

■アメリカで大ブレイク。アメリカ移住と現地での子育ては

――Netflixにて公開された『KonMari〜人生がときめく片づけの魔法〜』がアメリカで注目を集めました。アメリカは家も広いですし、片づけに関する悩みは違うのではと思っていましたが……。

 それが、基本的に片づけに関する悩みどころって日本とアメリカでほとんど同じなんです。モノが捨てられない、収納場所がなくてモノがあふれちゃう、それが2大悩みでしたね。

――家が広いのに、モノがあふれるんですか?

 そうなんです。広ければ広いなりに、モノをたくさん持ってしまっているんですね。広いから収納スペースがたくさんあって、片づけられるわけではないんだと。そこは私も驚きました。

 なので基本的には日本と同じように片づけ方、収納方法をお伝えしています。するとみなさん納得してくれますし、片づけもできるようになります。

――片づけに関して、日米で違いはないんですね。

 ただ、決定的に違うと思ったこともあります。私は捨てるモノに対して、「必ず一つひとつ感謝してから手放しましょう」とお伝えしています。日本ではそれが当たり前というか、みなさん自然に受け入れてくださっていました。

 それに対してアメリカでは、「え?なんでモノに感謝するの?」と疑問を持たれて、「それってすごく東洋的」とか「日本的だね」とおっしゃる方が多いんです。

 そんなときは、モノとはいえ、今までの私たちの生活を支えてくれたこと。感謝して手放すことで、自分の「モノを手放す」という罪悪感も手放すことができるし、心も穏やかになるし、新しく買ったモノに対してもより大切に使おうと思えること。 

 そういった背景をきちんと説明するんです。

 すると、確かにそうですよねって。すんなり受け入れてくださいます。

――こんまりさんは9年前に渡米されて、ロサンゼルスでの子育てを経験しましたよねアメリカの教育との違いを感じられましたか?

 日本の学校は、持ち物に関しても、服装に関しても、いろいろと決まりが多くてきちんとした印象があります。毎日細かな連絡がありますしね。給食がバラエティ豊かなのも特徴ですよね。

 一方アメリカでは、もちろん学校や地域によっても異なると思うのですが、決まりが何もなくて。小学校の席順も決まっていなくて、椅子もバランスボールが選べたり(笑)。授業中の写真を見たら、お友だちが猫耳のカチューシャをつけていたり、先生がキャミワンピースを着ていたり。とにかく人それぞれの個性、自由が尊重されていました。

――近藤さんご自身、将来子どもたちにどちらで生活してもらいたいですか?

 親としては、子どもがやりたいことを全面的に応援出来たらいいなと思っていますので。留学するのか、日本で暮らしたいのかは、子どもたち自身で選んでくれればいいですね。

(取材・文/阿部桃子)

〇近藤麻理恵/東京都生まれ。5歳から『ESSE』などの生活雑誌を愛読。15歳で本格的に片づけの研究をスタート。大学在学中の19歳で片づけコンサルティング業務を開始し、独自の片づけ法「こんまり(R)メソッド」を編み出す。2010年に出版した『人生がときめく片づけの魔法』は世界40カ国以上で翻訳され、シリーズ累計1,400万部を超えるベストセラーに。2015年に米『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出。Netflixにて公開された『KonMari~“もっと”人生がときめく片づけの魔法~』はデイタイム・エミー賞受賞。10歳、9歳、4歳の3児の母。