『シバのおきて』リハーサルにはぬいぐるみ、柴犬・福助は3頭体制…犬ファーストの撮影現場
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【写真】リハーサルではぬいぐるみを使用したという
『シバのおきて』制作チームによると、キャストは大東さんはじめ、犬が好きな人ばかりを集めたという。プロデューサーの内藤さんは「たとえば人間なら、苦手な人相手でもお芝居をすることはできます。でも犬は違う。犬は自分のことを嫌っている相手がいたら分かってしまう。犬にそっぽを向かれたらドラマが成立しないんです」と説明する。
間口を広く犬好きなキャストを探し、オファーする際には事務所にも確認して集まったのが大東さんをはじめとした『シバONE』編集部のキャストたちだ。相楽の妻・亜衣を演じる瀧内公美さんも、飼育経験はないが柴犬が大好き。「シバだから受けた」と語るほど。
撮影前には、キャストはじめ制作陣は動物監修の専門家から犬についての基礎知識を学び、嫌がることやうれしいこと、個体差などについて共通認識を持った。
犬ファーストの撮影現場
犬ファーストを貫いた撮影現場ではさまざまな工夫も。内藤さんは「個体差がありますが、犬の集中力は4~5時間と考えていました。負担を軽減するため、犬の体調を考慮しスケジュールを組み、撮影前に行うリハーサルでは柴犬のぬいぐるみを使って動きの確認をして行いました」。

(『シバのおきて』/(c)NHK)
メインキャストの柴犬・福助は実は負担軽減のために3頭体制。「人間と違って、柴犬は言葉が話せないので今無理をしているのかどうか、無理をした翌日どうなるのかわかりません。特に福助は、主役の相楽と同じくらい出演しますから、そのことも考慮し3頭体制で臨みました」と内藤さんは説明する。
通常、撮影に入るときには「用意、スタート!」と声がかかるが、柴犬たちは音や人の声に敏感に反応してしまうため、撮影は徐々に柴犬の様子を見つつ静かに撮影をスタートするように変化して行き、あるキャストからは「ぬるっと始まってぬるっと終わる現場」と言われたという。
芸達者な「のこ」
柴犬の演技もみどころのひとつ。人が話しかけているのに柴犬がそっぽを向いたり、別の方向に歩き出したり。柴犬がお芝居をしているように見えるが、これはドッグトレーナーと柴犬の間に信頼関係あるから出来る物で、おやつ欲しさに指示に従うものでない。「犬は人に褒められたい」という思いから見事な演技ができるのだという。
なかでも、福助を演じた3頭のうちの1頭、「のこ」は芸達者と現場でも評判に。「のこがいないと成立しない場面があった」(大東さん)と話すほどだった。

真ん中が柴犬の「のこ」(『シバのおきて』/(c)NHK)
劇中では、本来なら話すことができない柴犬の心の声が聞こえてくる演出になっている。
福助の声を柄本時生さん、『シバONE』編集部のメンバー、石森(飯豊まりえ)が実家のおでん屋の客から預かった柴犬・ひとみの声をMEGUMIさんが担当。柴犬の動きに加え、心の声が聞こえてくることで、より人と犬の交流が強調された。
シバフェスでは
撮影は、5月半ば~8月上旬にかけて行われた。野外での撮影は6月までにほとんど終了。暑い時期はスタジオ撮影に、との配慮でスケジュールを組んだことで、犬だけでなく出演するキャストやスタッフにも優しい現場になった。
犬と一緒の撮影で最も大がかりになったのが、第8回で描かれたシバフェス。『シバONE』主催のフェスで、柴犬とその家族が楽しめるお祭りだ。

(『シバのおきて』/(c)NHK)
6月下旬に行われた千葉での撮影に参加したのは一般募集した柴犬60頭あまりとその家族。「本当に柴犬が好きな人たちが来てくれました。みんな家族のよう。柴犬がたくさん集まったらけんかになりそうですが、うまく撮影できました」と内藤さんは振り返る。参加したエキストラの柴犬とその家族はキャンピングカーで訪れる人もおり、犬と一緒の旅に慣れている様子だったという。
制作陣がシバフェスの撮影で最も気にしていたのが天気。予備日も設けていたものの、撮影3日前の天気予報は雨。撮影当日、雨になってしまっては段取りもうまくいかないし、犬に負担も大きい。天候が不安定な時期だからこそ、延期しても確実に撮影が出来るかわからない。大規模な撮影に慣れているスタッフも柴犬が集まる「シバフェス」は初めてのため、「天候」と言う不安材料を抱え眠れぬ日々を過ごしたという。
ところが、心配をよそに天候に恵まれ、当初の予定通り6月下旬に撮影することになり、ホッとしたのもつかの間、次なる課題は暑さ対策だった。犬は人間よりも地面が近いため暑さを感じやすい。テントを張って日陰を作り、水や氷を用意して、制作陣が動物監修や指導の専門家と「具合の悪い犬、人はいませんか」「水分は足りていますか」と頻繁に呼びかけた。

(『シバのおきて』/(c)NHK)
ドラマは全9回の予定で、まもなくクライマックスを迎える。内藤さんは「『シバONE』編集部のメンバーは1人1人はとんでもない人ですが、目的を見つけたときには努力を惜しまないし、柴犬がいることでひとつになる。当初は難しい撮影になるかと考えていましたが、我々も柴犬が撮影の真ん中にいることによって、みんなで助け合って撮影できました。すごくいい空気感のドラマになったような気がしています」