「グルテンフリーがいい」と安易に考えるの盲点

「米粉ブーム」への懸念点とは(写真:bluet/PIXTA)
知っていますか? 米粉と小麦粉の違い
米粉を使ったパン、お菓子など、いまやすっかり日本人の食に定着したともいえる米粉。
【写真で見る】「食品添加物の神様」と呼ばれた安部司氏が「無添加×美味しい」「軽食・おかずにもなる」をコンセプトに考案した「安部おやつ」の大人気メニューの数々
その人気は7~8年前に起こった“米粉ブーム”に端を発しています。
グルテンフリー志向やアレルギー対策食品として注目を集め、流通量が急増。
かつては健康食品店やデパート、あるいはお取り寄せでしか手に入らなかったものが、街中のスーパーでも手軽に買えるようになりました。
ブームが落ち着いた後も根強い人気が続いています。
多くの人が米粉を「小麦粉の代用品」としてとらえていると思います。しかしそれでは米粉を上手に使いこなすことはできません。
米粉にも小麦粉にもそれぞれの特性があります。それを知ってそれぞれの良さを生かした使い方をすることが肝要です。
では米粉と小麦粉、それぞれどんな特性があるのかを見ていきましょう。
米粉は文字通り、コメを砕いて粉にしたものです。小麦粉と違ってグルテンフリーで、血糖値の上昇が小麦粉より穏やかです。ちなみにグルテンとは小麦粉に含まれるたんぱく質のことです。
そして米粉は食感が軽いのが特徴です。
米粉のパンケーキはモチモチしていながら、ふわっと軽い。これは含まれるたんぱく質の違い。米粉に含まれるのは「オリゼニン」というたんぱく質です。「オリゼニン」は粘り気がなく、あっさりした食感なのです。
一方で、小麦粉のたんぱく質・グルテンは粘り気があり、パンのように膨らませる食べ物に向いています。
逆に、ロールケーキやパンケーキのように、あまり膨らませない食べ物に使うと、どっしりとして食べ応えのある食感になります。
また小麦粉のグルテンは油や砂糖を抱き込む性質があります。でも米粉はグルテンと比べて油や砂糖を吸収しません。だから小麦粉はこってりしたスイーツと相性がいいのですが、米粉はこってり系は苦手。
逆に、米粉が得意とするのは和菓子やもち菓子などのあっさり系のスイーツです。つまり「低糖、低脂質のお菓子が作りやすい」のが、米粉の特徴です。
ちなみにカロリー自体は小麦粉も米粉もたいして差がありません。「米粉のほうがカロリーが低い」と思っている人が多いのですが、それは誤解です。
米粉は「小麦粉の代替品」か
このように米粉、小麦粉はそれぞれの特性があります。しかし世の中には「なんでもかんでも小麦粉の代わりに米粉を」という風潮があるようです。
特にSNSは「小麦粉の代わりに米粉でヘルシーに」というレシピ動画が再生回数を稼ぎ、「米粉=小麦粉の最強代替品」というイメージが定着しつつあるようです。
しかし米粉の特性を知らずに、たんに「小麦粉の代用品」として米粉を使ってもおいしいものはできません。
たとえば米粉でパンを作ると、普通は固くてパサパサしたものになってしまいます。米粉だけではなかなかおいしいものができないのです。
したがって、市販の米粉パンは米粉に小麦粉のグルテンを足したり、あるいは米粉に小麦粉とグルテンを足すというものも多くあります。
市販の米粉パンの種類について表にしたのでご覧ください。
*外部配信先では図が表示されない場合があります。その場合は東洋経済オンラインのサイトでご覧ください

「米粉パン」にもさまざまな種類があり、すべてが「グルテンフリー」とは限らない(図表:筆者作成)
「米粉パン」の盲点は?
表を見ておわかりのように「米粉パンだからグルテンフリー」とは限りません。
実際にグルテンアレルギーの人が小麦粉入りの米粉パンを「グルテンフリー」と勘違いして食べてしまい、アレルギーを起こしたという事故もありました。
「グルテンフリー」と謳って売られている米粉パンもありますが、それらの多くはグルテンを使わない分を添加物で補ったものです。
和菓子に使われる技術を応用した「加熱米粉」をグルテンの代わりに使う「無添加米粉パン」もありますが、生産しているところが少なく、入手するのは少々困難です。
いずれにしても「米粉パン」として売られているものにもいろいろな種類があること、グルテンフリーとは限らないこと、この2点をしっかり覚えておいてほしいと思います。
米粉がブームとなったのは、「米粉はヘルシー」というイメージのたまものでしょう。米粉という新しい食べ方で日本のコメ文化が見直され、少しずつ減少している日本のコメの消費量が増えるのであればこれは大変結構なことだと思います。
しかしながら小麦粉には小麦粉の良さ、米粉には米粉の良さがあって、作るものによって適材適所で生かされるべき存在であり、ただ代用することが正解とは限らないわけです。
また無理に代用しようとするから、グルテンを使ったり、添加物を使ったりという「裏技」が使われることになるわけです。
小麦粉・米粉それぞれの良さを生かしたレシピが重要
手前みそになってしまいますが、私が上梓した『安部おやつ』の米粉のレシピはすべて、米粉の特性をしっかり踏まえたうえで考案したレシピばかりです。

安部司氏が考案した"無添加ヘルシー"おやつ「大感動! 至福の米粉ロールケーキ」(写真:『日本人なら必ず食べたい安部おやつ』より)
「豆乳入り! もちもち米粉パンケーキ」「ごろごろナッツの米粉キャロットケーキ」「大感動! 至福の米粉ロールケーキ」など、米粉のもちもち、かつふんわり軽い仕上がりが自慢のレシピです。

安部司氏が考案した"無添加ヘルシー"おやつ「豆乳入り! もちもち米粉パンケーキ」(写真:『日本人なら必ず食べたい安部おやつ』より)
もうすぐクリスマス。年末年始になると、お子さんも学校が休みで料理をする機会も多いものです。
ぜひ一緒におやつを手作りしてみてください。遠出するよりもずっと安上がりで「思い出に残る時間」になるでしょうし、思った以上に簡単に作れて、「市販品にはないおいしさ」に驚くはずです。

安部司氏が考案した"無添加ヘルシー"おやつ「ごろごろナッツの米粉キャロットケーキ」(写真:『日本人なら必ず食べたい安部おやつ』より)