赤坂サウナ火災で利用者の驚き 創業者と親交があった女性が明かす「高級感あふれる」開店直後の様子

東京都港区赤坂の5階建てビルにある個室サウナ「サウナタイガー」の1室で12月15日、火災があり30代の夫婦が死亡した。出入り口のドアノブが外れて高温の室内に閉じ込められ、非常用ボタンの電源が切られていたという。なぜ、こうした事態が起きてしまったのか。サウナを訪れたことがあり、創業者とも親交があった歌手で俳優の原めぐみさんや、港区のサウナ事情に詳しい人物に話を聞いた。
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■ドアノブは壊れ、非常用の警報は鳴らなかった
原さんは日記の代わりにAmeba(アメーバ)ブログを更新しているが、火災があった15日から数日間はアクセス数が急増したという。原さんはサウナで火災があり、美容系会社経営者の男性(36)とネイリストの妻(37)が亡くなったことを知った。ブログにはサウナタイガーについての投稿もあった。
「お子さんもいらっしゃるようで、非常に胸が痛みます」
報道などによると、2人は15日午前11時ごろにサウナタイガーに来店し、3階の個室に入った。部屋は約2~3畳の広さで、2人専用の空間だった。正午ごろ、サウナ室外の煙感知器が反応し、従業員が消防に通報。2人は、サウナ室内で頭を出入り口側に向けて倒れていて、火災による焼死か、高温の室内に長時間いたことによる高体温症のいずれかの可能性があるという。ドアノブが壊れていたことや非常用の警報が鳴らなかったことから、警視庁は業務上過失致死容疑を視野に入れてサウナタイガーの運営会社などの捜査を進めている。
取材や登記簿などによると、サウナタイガーがオープンしたのは2022年8月30日。運営会社の代表は、創業者だったA氏が昨年12月まで務めていた。現在は部下だったB氏が代表だ。そもそもサウナタイガー創業者のA氏も時計やジュエリー、バッグなどのブランド品の買い取りなどを行う会社を経営していた。
原さんは21年3月、自身がパーソナリティを務めるレインボータウンFMの番組「原めぐみのENJOYトーク」に番組スポンサーでもあったA氏をゲストとして招いたことがある。
「番組スタッフが探してきてくれたスポンサーの一社です。コロナが流行っていた時期で顔出しも嫌がっていたので、Aさんはずっとマスクでした」

■「起こるべくして起こった」
一緒に東京都港区のすし店で食事をした後、原さんもサウナ好きだったことから、A氏からサウナタイガーに招待され、開店4カ月後の2022年12月13日、妹と訪れた。
「『私がブログでここを紹介しますよ』と言ったら、受付で水着を貸してくれたんです。水着でサウナに入った様子を、妹が写真に撮ってブログにアップ。館内では、サウナのオリジナルブランドのアパレルも売っていた。ペントハウスの個室に案内された私たちは、高級感あふれる空間で100分間、サウナを楽しみました」
当時の写真にはサウナ室が写っている。報道によると、消防隊員が現場に到着した際、夫妻がいたサウナ室の扉の木製ドアノブ(レバータイプ)が外れ、床に落ちていた。ドアノブと連動する「ラッチボルト」が出たままドア枠に固定され、ドアが開かない状態になっていたとされる。
「妹は事故を知って『びっくりした、怖い』と話していました。ドアノブが壊れていたら、私たちも閉じ込められていたかもしれない」
さらに壁面にある非常用ボタンは、1階事務室で電子音が鳴る仕組みだったが、火災当時、電源が切られていた。押された形跡はあるという。夫妻はドアノブが外れたことや、非常用ボタンが機能しなかったことで、サウナ室内に閉じ込められたとみられている。
サウナを自身でつくったり、監修したりした経験があり、現在はオーガニック商品の販売を手がける「ちきゅうのうたげ」で取締役を務める貝沼素成さんは、「今回の事故は起こるべくして起こった」と指摘する。
「赤坂や六本木、西麻布がある港区の周辺にいる経営者はメインの事業でキャッシュができたら、自身の好きな『サウナ』や『シーシャバー』に参入するケースが多い。個室サウナは人件費がかかりにくい」

■対応する各地のサウナや自治体
それゆえに、知識が少なく運営もずさんになる場合があるという。
「サウナは密閉性が重要。ドアノブを取り付けた方が密閉性を高められると思ったのでは。木製にしたのは、金属製では熱くなるからでしょう。ただサウナはドアノブが壊れたら高温の中で閉じ込められるリスクがあるため、室内から押せば開く構造のドアが一般的です。非常用ボタンの電源をオフにしていたのは、あまりにもずさんです」
貝沼さんによると、サウナブームも相まって港区界隈では個室サウナが増加しているという。
「港区ではデート利用を想定したプライベートサウナも多数開業しています。コロナ禍でブームになったサウナは、一過性で終わらず、文化になったのですが……」
火災が起きて以降は、各地のサウナでは、「当社は取っ手のない扉です」といった写真とともに安全への取り組みをSNSで公開する動きや、自治体による立ち入り検査が相次いでいる。
「重く受け止め、深く詫(わ)び申し上げます。判明した事実については、適切な時期にお知らせします」などと運営会社が15日にコメントを出したサウナタイガー。その前にある電柱には、花や缶ビールが供えられていた。
(AERA編集部・上田耕司)
・【画像】「外れた」と問題になっているサウナタイガーの木製ドアノブ
・【写真】サウナタイガーの前の電柱には花や缶ビールがたむけてあった
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