「じゃあ、あんたが作ってみろよ」盛り上げた3つのワードとは? 勝男(竹内涼真)の好物、好意? 寄せる後輩と朝ドラ「あんぱん」からの刺客

「じゃあ、あんたが作ってみろよ」に出演した(左から)前原瑞樹、竹内涼真、青木柚、夏帆

竹内涼真と夏帆が主演を務めた連続ドラマ「じゃあ、あんたが作ってみろよ」(TBS系)。2023年から「comicタント」(ぶんか社)で連載されている漫画家、谷口菜津子さんの人気同名漫画を原作に、交際・同棲からプロポーズ、そして破局を経験した若いカップルが、従来の「あたりまえ」を見つめ直しながら、それぞれ成長し、再生していく姿をコメディータッチで描き、毎週、多くの視聴者から共感を集めた。劇中にはさまざまなキーワードやクセの強いキャラクターが次々と登場し、SNSでも関連ワードが続々とトレンド入り。物語は最終的に、2人が別れを選ぶという、ある意味で意外な結末を迎えたが、そこに至るまでの過程を多くのファンが見守った。

TBS火曜10時に放送される「じゃあ、あんたが作ってみろよ」に出演する(左から)青木柚、夏帆、竹内涼真、前原瑞樹(C)TBS/撮影:澤近勝利

数々の名場面が生まれた本作で、特に大きな反響を呼んだ3つのキーワードをピックアップ。名場面とともに、この作品を振り返っていく。

俳優でモデルの濱尾ノリタカ

  • キャスト・これまでの全話あらすじ

勝男(竹内涼真)の大好物は「筑前煮」

物語の中心で、その言動で視聴者を爆笑・困惑させた海老原勝男(竹内)。劇中にはたくさんの料理が登場したが、そんな彼と物語を語る上で欠かせない和食メニューといえば「筑前煮」だ。

初回(10月7日放送)、料理好きで献身的な山岸鮎美(夏帆)と一緒に生活していた勝男は、食卓に並んだ夕食を「おいしい。う~ん、サバの味噌煮も臭みがないし。うん、栄養バランスもいいね。うん、で、厚揚げはホッとする味で最高」と絶賛するが、一息ついたあと、「でも強いて言うなら、全体的におかずが茶色すぎるかな」と、いつもの上から目線で“助言”。謝る鮎美に「これは鮎美がもっと上を目指せるって意味でのアドバイス」と笑顔を向けたが、鮎美の表情は完全に引きつっていた。

そんななか、結婚を決意した勝男は、完璧な演出を施したうえで鮎美に全力でプロポーズ。しかし、鮎美から返ってきた言葉は「無理」で、理由を尋ねても「勝男さんには分からないと思う」と言うのみ。鮎美は「分かってほしいとも、もう思わないかな。最近ずっと考えていて、別れたいの」と吐露した。まさかの展開に勝男は激しく動揺。その後、友人に誘われた合コンでも、最初は見た目でモテるが、次第に相手にされなくなることに気づく。さらに街で2人組の女性から声をかけられるも、結果的に相手にされなくなってしまう。それは、「料理の基本は和食だから。筑前煮とか作れるようになったほうがいい!」という勝男のアドバイスが原因だった。

勝男は、会社の後輩である南川あみな(杏花)らに相談。南川は、筑前煮を作ったことがあるのかと問い、実際に作ってみれば鮎美の気持ちが分かると訴えた。勝男は会社帰りにスーパーで食材を購入し、初めて料理に挑戦したが、食材の多さと手間に愕然。スマホで見た手順通りに作ったものの、出来栄えも味も、鮎美が作ったものとはほど遠く、試食した南川も「食感がキモいですね」と厳しかった。

心が折れた勝男は一度、料理を諦めるが、めんつゆを使えば肉じゃがが簡単に作れるという後輩の白崎ルイ(前原瑞樹)の発言に、「邪道じゃない? 手抜きでしょ?」と苦言を呈する。料理男子でもある白崎の「めんつゆが何でできているかも分からないじゃないですか?」という反論に、勝男は鮎美から同じことを言われたことに気づく。勝男は再び料理に取り組み、めんつゆ作りにチャレンジ。すると、肉じゃがとめんつゆが同じ材料でできていることが分かった。翌日、勝男は白崎に謝罪した。

筑前煮は、鮎美の得意料理のひとつ。勝男がその味を再現しようとしたことをきっかけに、勝男は人間的に成長していった。勝男はその後もさまざまな料理作りに挑戦。相手からの“批評”を通じ、これまで自分が勝手な価値観で鮎美を傷つけてきたことに気づき、アップデートしていった。

また、これらのシーンをきっかけに、男性視聴者を対象とした同局主催の「料理教室」も開催された。抽選で選ばれたドラマファンがリアルに筑前煮作りに挑戦するなど、まさに本作を象徴する1品となった。

辛辣に勝男(竹内涼真)を“指導”、南川(杏花)最後はほのかな恋心?

鮎美への未練、そしてマッチングアプリで出会った「初めての女友達」柏倉椿(中条あやみ)とのマシンガントークが話題になった勝男だが、なかでも厳しく勝男を「指導」し続けた南川とのやり取りも、多くの視聴者を楽しませた。

歯に衣着せぬ発言で物語を盛り上げた南川は、「昭和の価値観」を持つ勝男に強い嫌悪感を抱いており、遠慮のない物言いで周囲をヒヤヒヤさせる場面もあった。一方で、勝男に新たな気づきを与える存在でもあり、自信満々だった勝男が鮎美にフラれて自信を失い、本音をさらけ出す姿に触れ、次第に良き相談相手となっていく過程は、視聴者の関心を集めた。

初回、鮎美になぜフラれたのか理解できない勝男に、筑前煮を作ってみるよう助言した南川。第2話(10月14日放送)では、勝男をマッチングアプリに半ば強引に登録させ、椿と出会うきっかけも作った。ちなみに、そんな南川の至福のひとときは、居酒屋でコークハイともつ焼きを楽しむ瞬間。この組み合わせに勝男は強烈な嫌悪感を示すが、実際に試してみると、その味に感動。先入観を反省する勝男に、南川は「元カノさんにも思い当たる節があるんじゃないですか?」と投げかけ、勝男は相手の意見を聞いてこなかった自分を猛省した。

自分の価値観を押し付けてきた勝男に、別の視点があることを教えた南川。彼女の存在によって勝男は少しずつ変わり始め、第4話(10月28日放送)では、2人きりで飲みに行くほどの距離感にまで近づいた。さらに第9話(12月2日放送)では、勝男の自宅で行われた手巻き寿司パーティーに招かれ、同席した椿に「最近、誰と会っても何か違うなって思うんですよね」と胸の内を明かす。椿は「南川ちゃんは? 誰と会っても違うって思うのは、心の奥で“いいな”って思っている人がいるからだったりして」と問いかけるが、南川は首をかしげ、明言を避けた。

椿のこの発言は、まさに視聴者の思いを代弁するものだった。そして決定的だったのが最終回(9日放送)。勝男は、共にプロジェクトを担当することになった柳沢(濱尾ノリタカ)とうまく折り合えず、思い通りに仕事を進められずにいた。見かねた南川は同期の柳沢に掛け合い、勝男に協力するよう懇願。その熱意に押された柳沢は、後回しにしていたアンケートを完成させた。

その裏に南川の存在があったことを知った勝男は、素直に感謝を伝える。南川は、勝男の頑張りは人によっては「ウザい」と受け取られることもあると前置きしつつ、「それがなんか悔しくて。私、いつも海老原さんに励まされてきたんです。だから、そういう海老原さんがすごくいいと思っていて」と語った。すると勝男は神妙な表情で「俺も南川のこと、すごくいいと思ってる。俺、決めた」と告げ、南川に歩み寄り、「一生、俺の部下で働く権利あげるわ」と握手を求めた。南川は一瞬戸惑いながらも、「いやいや、部下になったつもりはありません。ただの後輩です」と返答。ウキウキと部屋を後にする勝男の背中を見つめながら「海老カツ」とニヤける南川の表情は、視聴者にさまざまな想像を抱かせた。

朝ドラ「あんぱん」岩男(濱尾ノリタカ)が転生!?勝男(竹内)の“宿敵”に

登場回数は多くなかったものの、終盤に突然現れ、そのビジュアルと強烈な言動で視聴者に強い印象を残したのが前出の柳沢だ。

柳沢は、周囲を思いやるように成長した勝男の前に立ちはだかった最後の「宿敵」。熱意をもって仕事に取り組む勝男とは対照的に、コスパとプライベートを優先する“いまどき”の若手社員で、「エコサイクルトイレ」の共同開発に向けたプレゼンを前に、2人は激しく衝突する。

このプロジェクトでリーダーに抜擢された勝男は、プレゼンまで残された時間が少ないなか、他部署の後輩である柳沢とタッグを組むことになった。初対面で「今回の件、しっかり形にしていきましょう」とあいさつする柳沢に、勝男は「完璧だ」と歓喜するが、数日後、柳沢が作成したアンケート資料に、ユーザーの声がほとんど反映されていないことが判明する。勝男は、このプロジェクトにはユーザーの声が不可欠だと熱弁を振るうが、柳沢にはまったく響かない。やがて、積極的にコミュニケーションを取ろうとする勝男の言動を、柳沢が「パワハラ」と受け取り、会社に告発。勝男は、まさかの出勤停止処分となった。

数日後、謹慎が解けて職場に復帰した勝男だったが、柳沢との関係は改善しないまま。そんな状況を見かねた南川が、同期の柳沢に協力を依頼する。彼女の熱意に押された柳沢は、これまで拒み続けてきたアンケート収集に尽力。その過程で味わった苦労は、彼が愛用する革靴に表れていた。柳沢は、真っ白な革靴を常に新品同様に保つことに強いこだわりを持っており、仕事中でも欠かさず手入れをしていた。しかし、勝男がお礼を伝えた際、その革靴にはところどころに傷がついていた。

そんな柳沢を演じた濱尾は、今年放送されたNHK連続テレビ小説「あんぱん」に出演。朝ドラでも存在感を放った。濱尾が演じたのは、ヒロイン柳井のぶ(今田美桜)の幼なじみ、田川岩男と、その息子の和明の2役。岩男は、のぶの妹、朝田蘭子(河合優実)に一目ぼれしてプロポーズするも結果的に玉砕。その後、戦地でのぶの夫である嵩(北村匠海)と再会し、中国の駐屯地で、かわいがっていた現地の少年に銃撃されるという衝撃的な最期を迎え、視聴者に強烈な印象を残した。

ちょうど「あんぱん」の放送終了と入れ替わるように「じゃあ、あんたが作ってみろよ」が始まったこともあり、ドラマ好きの視聴者は「岩男が柳沢に転生w」「あんぱんからの刺客w」などと歓喜。物語のクライマックスを大いに後押しすると同時に、SNSならではの盛り上がりが柳沢というキャラクターを際立たせた。