箱根駅伝で復権にかける名門2校 「山の名探偵」擁する早稲田大 「速さだけ」脱却の中央大 王座への返り咲きは

 第102回東京箱根間往復大学駅伝(箱根駅伝)は2日、号砲が鳴る。21チームが同日の往路(107.5キロ)と3日の復路(109.6キロ)の計10区間(217.1キロ)で競う。前回王者の青山学院大と、今季の出雲全日本大学選抜駅伝で優勝した国学院大、全日本大学駅伝を制した駒沢大が中心とみられる優勝争いに、名門の早稲田大と中央大が割って入れるかが注目される。近年、栄冠から遠ざかる両校。王座に返り咲き、復権を印象づけたい。

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◆早大のプランは「往路の難題解決」

 チームを頂点に押し上げようという主力の自覚が芽生えている。箱根駅伝に向けた会見。早大の工藤慎作(3年)は「早稲田の明確なストロングポイントとして力を発揮できるように頑張ります」と臆することなく宣言した。

◆早大のプランは「往路の難題解決」, ◆上級生の熱意が不安を払拭, ◆中大に加わった「強さ」, ◆主将・吉居の情熱が目線を一つに

リラックスした表情を見せる早大の花田勝彦監督(後列)と工藤慎作(手前)=埼玉県所沢市で

 就任4年目の花田勝彦監督(54)は「全員が私が指導に携わった学年になり、優勝を狙うチャンス。まずは往路で勝つことが重要」と、15年ぶりの総合優勝へ先行逃げ切りのプランを練る。

 その中で、人気漫画の主人公にあやかって「山の名探偵」と呼ばれる工藤が、各校が選手の配置に悩む5区山上りの難題を「解決」できるのは大きい。

 昨年7月に世界ユニバーシティー大会のハーフマラソンを制し、平地での力も増している実力者は「(たすきを受けた時点でトップとの差が)2分くらいなら射程圏内」。5区の区間記録(1時間9分11秒)更新も視野に入れる。

◆上級生の熱意が不安を払拭

 工藤や、昨年の日本選手権1500メートル2位の山口智規(4年)ら個の力を育ててチーム力を高めるのが、指揮官の方針。ただ今季の前半はまとまりを欠いていたという。「『この4年生たちは大丈夫なのかな』と思っていた」と山口竣平(2年)。主将の山口智以外は目立った結果も残せず、好調の下級生の陰に隠れて存在感を失っていた。

◆早大のプランは「往路の難題解決」, ◆上級生の熱意が不安を払拭, ◆中大に加わった「強さ」, ◆主将・吉居の情熱が目線を一つに

箱根駅伝を前に引き締まった表情の早大の山口智規=埼玉県所沢市で

 転機は夏。伊藤幸太郎や宮岡凜太(りんた=ともに4年)は練習で他の部員よりも長い距離を走り込み、背中で最上級生の自負を示した。

 山口智は学生だけでのミーティングを何度も開き、チーム強化のために意見を募った。山口竣が「4年生の本気がミーティングの回数。本当に勝ちたい思いを持っていた」と認めたように、その熱意が下級生の心持ちをも変えていった。

 一丸となった集団は、昨年10月の出雲で2位。学生三大駅伝では7年ぶりに表彰台に上がった。今は選手の多くが「智規さんを胴上げしたい」と意気込む。

◆早大のプランは「往路の難題解決」, ◆上級生の熱意が不安を払拭, ◆中大に加わった「強さ」, ◆主将・吉居の情熱が目線を一つに

練習でランニングする早大のメンバー=埼玉県所沢市で

 過去に2度実施したチーム強化のためのクラウドファンディングでは、いずれも2000万円以上が集まり、伝統校の人気ぶりは健在。山口智は、直近の成績を引き合いに「強い早稲田が帰ってきたという証拠を見せることができた。箱根駅伝は期待してほしい」。えんじ色の旋風を予告した。(山内晴信)

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◆中大に加わった「強さ」

 スピードを武器にしたチームには、欠けていたピースがあった。長年の課題を克服しつつある今季。中大の藤原正和監督(44)は自信をみなぎらせる。「速いだけのチームが、『強さ』を持ち始めた」

 きっかけは2024年11月。中大は全日本大学駅伝でシード権を逃し、全体の士気が低下していた。危機感を抱いた当時3年の吉居駿恭(しゅんすけ=現4年)は新チームを見据え、藤原監督に主将を立候補。そして、こう直談判した。

◆早大のプランは「往路の難題解決」, ◆上級生の熱意が不安を払拭, ◆中大に加わった「強さ」, ◆主将・吉居の情熱が目線を一つに

主将としてチームを引っ張る中大の吉居駿恭=東京都八王子市の中大で

 「箱根駅伝一本でチームづくりをして、絶対に優勝したい。応援してくれる方への一番の恩返しになる」

 史上最多14度の総合優勝を誇るが、最後の栄冠は1996年にさかのぼる。昨季の箱根駅伝を終え、新体制になると主将の吉居は、箱根駅伝総合優勝を目標に掲げた。

◆主将・吉居の情熱が目線を一つに

 人前に立つのは苦手。大切にしたのは選手同士の対話だった。「勝ちたいという気持ちをどれだけ強くできるか。日常生活から、箱根に向けた会話を積極的に自分からするようにした」。主将の熱い思いで、チームの目線は一つにそろった。

 夏合宿も劇的に変わった。スピード練習ではなく、走り込みを重視。1区間20キロ以上ある箱根路に耐えられるスタミナを強化した。苦しくても目の色を変え、食らい付く選手たち。

 指揮官は「若い体と箱根で勝ちたいという情熱が大きな変化をもたらした」と手応えを口にする。スピードだけに頼っていた競技への甘さは消えていった。

◆早大のプランは「往路の難題解決」, ◆上級生の熱意が不安を払拭, ◆中大に加わった「強さ」, ◆主将・吉居の情熱が目線を一つに

箱根駅伝で30年ぶりの総合優勝を狙う中大の選手たち=東京都八王子市の中大で

 夏の追い込みは、選手の血肉になって表れつつある。今季の全日本は過去最高に並ぶ2位に躍進。さらに武器にも磨きがかかった。

 1万メートルで、箱根駅伝エントリー上位10人の平均タイムが27分55秒98に到達。参加チーム最速で大会史上初めて28分を切った。吉居は「夏に距離を踏んだ分、エース級の走りができる選手が増えてきた」とうなずく。

 優勝候補の一角として臨んだ2024年は、大会直前に体調不良者が続出して13位。前回は往路2位で爪痕を残したが、総合5位に終わった。今季のチームにはここ数年のようなもろさはない。

 集大成に挑む吉居は「最後の箱根でしっかり優勝して卒業したい」と勝ちにこだわる。「強さ」が加わった古豪が、新たな歴史を刻む。(丸山耀平)

◆早大のプランは「往路の難題解決」, ◆上級生の熱意が不安を払拭, ◆中大に加わった「強さ」, ◆主将・吉居の情熱が目線を一つに

早大の山口智規(左)、中大の吉居駿恭(右)

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