女優・アマンダ・サイフリッドのキャリアと生き方
アマンダ・サイフリッド

アマンダ・サイフリッドは1985年12月3日に、ペンシルベニア州アレンタウンで生まれた。薬剤師の父と作業療法士の母という家庭に誕生し、中流階級の穏やかで堅実な環境で育った。幼い頃から演技と歌に非凡な才能を見せていたが、当初はそれを将来の職業というよりは趣味のひとつとして捉えていたようだ。
芸能界デビュー

サイフリッドがショービジネスの世界に初めて触れたのは11歳の時。キッズモデルとして活動を始めたのがきっかけだった。やがてモデルの仕事は演技や歌のレッスンへと変わり、17歳になる頃には、高校生活とテレビドラマのオーディションを両立させ、スタジオの廊下で辛抱強く順番を待つ日々を送っていた。
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テレビ界で下積み

映画デビューの前に、まずはテレビ界で居場所を築いた。『アズ・ザ・ワールド・ターンズ』や『オール・マイ・チルドレン』等のドラマに出演し、制作現場の厳しさを学んだ。過酷なスケジュール、終わりのない膨大なセリフ、そして「もっと大きな何かを成し遂げたい」という野心。この初期の経験がサイフリッドを鍛え上げた。
ブレイク

2004年、映画『ミーン・ガールズ』のカレン・スミス役として世界はサイフリッドを知ることになる。グループの中の「おバカなブロンド娘」を演じ、その自然体な演技は観客を虜にした。映画は世界興行収入1億3000万ドル(約201億5000万円)を超える大ヒットを記録し、若き主演女優たちを一躍スターダムへと押し上げる。サイフリッドはこの時、ユーモアと無垢さが強力な武器になることを知ったのだ。
『ヴェロニカ・マーズ』

テレビシリーズ『ヴェロニカ・マーズ』(2008年)ではリリー・ケインを演じた。この役は第1話で死去してしまうが、シーズン全体がその謎を中心に展開するため、物語全体を通して亡霊のようにその存在感が漂っていた。たとえ不在であってもカリスマ性を放つことができると証明してみせたのだ。
大人への一歩

いくつかの脇役を経た後、サイフリッドは「可愛いだけの女の子」という枠に閉じ込められることを拒み、深みのある役柄を求めるようになった。その結果、インディペンデント系のドラマ作品からロマンティック・コメディまで、幅広く求められる女優へと成長していった。
『マンマ・ミーア!』

2008年の映画『マンマ・ミーア!』は人生を変えた。メリル・ストリープやピアース・ブロスナンと共演し、ABBAの名曲を歌い上げたこの作品は、興行収入6億ドル(約930億円)以上を記録。サイフリッドの甘い歌声とポジティブなエネルギーは世界の人々の心を掴んだ。このミュージカル映画により、演技だけでなく歌でも注目されるようになった。
ギリシャでの撮影

ギリシャの島々で行われた『マンマ・ミーア!』の撮影は、個人的な発見の場でもあった。ハリウッドの目まぐるしいペースに慣れていたサイフリッドは、喧騒から離れた生活が居心地の良いものであることを知った。
また、数年後に続編『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』(2018年)で再び同じ役を演じ、グローバルスターとしての地位を不動のものにしている。
『CHLOE/クロエ』

アトム・エゴヤン監督のサスペンス『CHLOE/クロエ』(2011年)では、それまでの清純なイメージを覆して世間を驚かせた。
この作品でサイフリッドは、ジュリアン・ムーアと濃密なラブシーンをはじめ、女性同士の複雑に絡み合う心理と官能を体当たりで表現した。
『マンマ・ミーア!』などで定着していた「明るい優等生」のイメージを自ら壊すような役で、一歩間違えばキャリアを傷つけかねないリスクある決断でもあった。作品への評価は賛否両論に分かれたものの、サイフリッドは安全な道を選ばず、あえて険しい表現の領域に踏み込む勇気をみせた。
『ジェニファーズ・ボディ』

学園ホラー『ジェニファーズ・ボディ』(2010年)では、当時大ブレイク中だったミーガン・フォックスと共演を果たした。脚本を手掛けたのは、『JUNO/ジュノ』でアカデミー脚本賞を受賞した奇才ディアブロ・コーディだ。
公開当時は興行的には大失敗に終わり、批評家からも酷評された。しかし、近年になってその評価は劇的に覆り、今では熱狂的なファンを持つ「カルト・クラシック」として崇められている。
サイフリッドが演じたのは、ただ怯えるだけの役ではない。皮肉屋で、どこか屈折しているも、最後には友人の暴走を止めるために血まみれになって戦う女性を演じた。
『親愛なるきみへ』

2010年、チャニング・テイタムと共に映画『親愛なるきみへ』に出演。原作は『きみに読む物語』などで知られる恋愛小説の巨匠ニコラス・スパークスだ。この作品は興行収入1億1500万ドル(約178億2500万円)を超える大ヒットを記録。サイフリッドは遠距離恋愛に揺れる女性の心情を繊細に演じ、最もセンチメンタルな一面を披露した。批評家の反応は「誠実な演技」と評価する声がある一方で、「甘すぎて現実味に欠ける」という辛口な意見もあり、賛否が分かれる結果となった。
『レ・ミゼラブル』

ミュージカル大作『レ・ミゼラブル』(2012年)のコゼット役は、サイフリッドのキャリアを新たなステージへと押し上げた。ヒュー・ジャックマンやアン・ハサウェイといった名優たちと共演した同作品は、アカデミー賞3部門を受賞し、世界興行収入は4億5000万ドル(約697億5000万円)に達した。特筆すべきは、通常の映画のようにスタジオで事前収録するのではなく、撮影現場で歌声を「生録音」するという手法がとられた点だ。同作品でサイフリッドは実力派女優としての評価を決定的なものにした。
様々なジャンルの役柄

サイフリッドは常にジャンルを問わない様々な役柄に挑戦している。伝説のロマンス女優リンダ・ラヴレースの壮絶な人生を描いた伝記映画『ラヴレース』(2014年)でシリアスな演技を見せたかと思えば、下品なテディベアが暴れ回るコメディ『テッド2』(2015年)ではコミカルな一面を披露した。一見バラバラに見えるが、そこには「人間の矛盾や不完全さ」を描きたいという一貫した意志があり、失敗を恐れずに挑戦し続ける彼女の姿勢がうかがえた。
静かな生活

ハリウッドのスターとなるも、サイフリッドはあえて「静かな生活」を選んだ。華やかなロサンゼルスから遠く離れた、ニューヨーク州北部の田舎にある農場へ移住した。多くの動物たちに囲まれ、自ら畑を耕し、SNSへの投稿も最小限に留めている。そこでの暮らしぶりは、スターとしての名声と心の平穏のバランスを保つために、丁寧に設計された防波堤のようだ。
トーマス・サドスキーと結婚

プライベートでは、俳優のトーマス・サドスキーと結婚し、2人の子供を授かっている。2人の出会いは舞台での共演で、それ以降、仕事のプロジェクトだけでなく、安らぎの場所も共有している。夫婦そろって「成功が家族のプライバシーを侵害してはならない」という確固たる信念を持っており、過度な露出を避け、静かな生活を何よりも大切にしている。
『Mank/マンク』

2020年、デヴィッド・フィンチャー監督の映画『Mank/マンク』でサイフリッドが演じたのは、かつて「才能のない愛人」という不名誉なレッテルを貼られた実在の女優マリオン・デイヴィスだ。エレガントな哀愁を帯びた佇まいで、この役に知性と人間味を与えたサイフリッドは、アカデミー賞とゴールデングローブ賞にノミネート。名実ともに実力派俳優の地位を手に入れた。
最近の出演作

サイフリッドの円熟味は増すばかり。心理スリラー『The Housemaid』(原題)では、抑制された緊張感を表現し、『The Testament of Ann Lee』(原題)では宗教コミュニティにおける道徳的ジレンマに直面する女性に命を吹き込んだ。そしてフィラデルフィアを舞台にした犯罪ドラマ『Long Bright River』(原題)では、薬物中毒の危機が蔓延する街で、行方不明の妹を探す刑事役を熱演している。
今後のプロジェクト

サイフリッドの今後のスケジュールは、多様性とリスクに満ちている。フロリダを舞台にした復讐ブラックコメディ『Skinny Dip』(原題)や、壊れた友情と破滅的な結婚式を描くロマンティックな風刺劇『My Ex-Friend’s Wedding』(原題)などで主演を務める予定だ。
画面の向こう側

女優業に加え、サイフリッドはプロデューサーであり活動家でもある。メンタルヘルスや動物保護に取り組む団体を支援しているほか、芸術と自然は共存できるという確信のもと、持続可能な農業プロジェクトにも投資を行っている。
スキャンダルとは無縁の女優

サイフリッドは、スキャンダルや騒動とは無縁の、堅実なキャリアを築いてきた。そして、常に自分を見失わず挑戦し続けてきた結果、ペンシルベニアのキッズモデルから、ハリウッドの実力派女優へと変貌を遂げた。
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