Snow Man佐久間大介「しっかり逃げていいよ」“暗黒の中高時代”から得た「生きやすくなるヒント」

 アニメ「ハイスクール!奇面組」への出演が話題の佐久間大介さん。「暗黒」だったという“ハイスクール”時代、「存在自体がコンプレックス」だった自分を、強い意志で武器に変えた。佐久間さんの目指す「アイドルの理想形」は? AERA 2025年12月29日-2026年1月5日合併号より。

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「僕、正統派アイドル」

 佐久間大介は、目をまん丸にしてみせ、そう笑った──。

 2025年だけで3枚のCDがミリオンセールスを叩き出し、オリコン史上初となるデビューアルバムからの6作連続累積ミリオンという記録を達成したSnow Man。佐久間個人としても、映画に、声優に、バラエティーに、八面六臂の活躍ぶりだ。

 昨今の数多の仕事のなかでも異彩を放つのが、1月9日から放送が始まったアニメ「ハイスクール!奇面組」への出演だろう。1980年代に漫画を原作としてアニメ化された人気作が、およそ40年の時を経て、令和版として再び世に放たれた。生まれる前の作品とあって、自他ともに認めるアニメ好きの佐久間もさすがに「知らなかった」と言う。

「どういう作品かなと思って原作を読んでみたら、スーパーギャグ漫画だ!って(笑)。いま、声優としていろいろやらせてもらっているなかでも、ここまでのギャグは初めて。アフレコ現場でどこまでやんのかな?と楽しみでもあり、怖いところでもありましたね。

 あとは、共演する声優さんがみなさんベテランすぎて、このメンツのなかで俺芝居すんの? めちゃめちゃいい経験じゃん!って。僕を選んでいただいたので、全力でやらせていただくしかないな、と。

 声優さんや、アニメーションを作ってるスタッフのみなさんは、僕にとっての救いをくれる人たち、神のような存在なので、その方々と一緒にお仕事ができるなら、プロとして、ちゃんと自信を持って立たないと失礼だという思いでやらせていただいています」

■人の個性を大切にする

「いまの世の中って、忙しかったり、つらいことが多いなって感じることがある。『ハイスクール!奇面組』はただただ楽しめる作品なので、そのつらさや悲しみをちょっとでも忘れてもらえたらいいなと思います」

 そう佐久間が言うとおり、「頭空っぽにして楽しめる」ギャグ作品ではあるが、奇面組は「ぶさいく」を「個性」と捉え、「マイナスをプラスに変えて小さなことを笑い飛ばしていく」ことを信条としている。それは、佐久間が常々口にしている「人の個性を大切にして、尊重する」という人生の考え方と重なる面があるのでは?と問うと、「そうですね」と頷いた。

 

 佐久間はよく「アニメから学んだことがたくさんある」と言っているが、この作品から何か学ぶものがあるとしたら?

「やっぱり、人と違っていい、っていうことじゃないですか。自由でいいんだよ、とちゃんと伝えられているところが、いまの時代にとても合ってるなと思いました。最近では、多様性と言われていろいろな人が受け容れられているけど、この漫画が描かれた昭和は、もうガチガチの決まりごとが多すぎた時代だと思うので、このときすでに『そうじゃなくていいんだよ』をテーマにしているのが、この作品のすごさだと思います。昭和の時代からいまの令和が見えていたのかもしれないなと思いますし、令和の時代に見る側からすると、改めて、自信を持てるような作品になるんじゃないかなと思います」

■すべてがコンプレックスだった

 佐久間が声を演じるのは、その名も切出翔(きれいで・しょう)。「めちゃめちゃかっこいい」、“色男組”のリーダーだ。

「スーパーナルシストに演じさせていただきました(笑)。でも、いろいろな騒動に巻き込まれて、かっこいいだけじゃない面がたくさん見られるところが翔の良さだなと思ったので、そういうギャップをみんなに楽しんでもらいたいなと思いますね」

 自身との共通点は?との問いに、「え。僕、正統派アイドル(笑)」と、“翔とは違う”という表情をしてみせ周囲を笑わせつつ、こう続けた。

「もともと自分のコンプレックスだったものを武器にできるようになっているのが翔。そこはすごく共感できますね。僕もそもそも、対人関係がすごく苦手だったので。苦手が武器になるところを見つけられたのは、共通点大きいなと思います」

 翔には自身のきれいな「顔が女みたいだってこと」を恨んでいたと吐露する場面があるが、佐久間も、「昔はほんと、すべてに自信がなかったので、もう全部コンプレックスでした。見た目も」と明かす。アイドルでありながら外見にも、というのは意外に感じられるが、「マイナス思考の俺は、自己肯定感が低かったので、存在自体がコンプレックスみたいな感覚に陥っちゃってたんですよ。なんで俺はこれができないんだろうとか、そういう思いがいっぱいあった」と振り返る。

■マインドをまず変えた

 そんな佐久間が変わったのが、まさに“ハイスクール”時代。「このままだと埋もれてしまうなと」思ったのだという。13歳で事務所に入った当初からダンスが得意で、すぐ先輩のバックについたと聞くが、「俺はそんなうまくない、と思っていたんですね」。

「踊れてはいたけど、うまいと言われても、いやでも俺よりうまい人は無限にいるしな、って。自信がないと、基本的に、ネガティブになりがちだなと思う。それに、当時は、自分より何かできる子がいっぱいいて、できなくても目立つ子もいて。そのなかで、自分をいかに目立つように持っていけるか、マインドをまず変えていくようにしました。

 やっぱり、マイクを持って歌うことが、いちばん推されていることで、僕たちはまったく推されていなかったんですよね。だから、自分たちで、自力でやっていくしかなかったので、もう1個ランクを上げるために、自分で動いたんです」

 

 翔は「この顔を長所にしようと開き直った」と言うが、佐久間は「開き直れてはいなかった」と顧みる。

「まったく別のものになったって感じ。いろんな仕事、経験値で埋めて、自信をどんどんつけていくなかで、自分にないものを作り上げた、生み出した、という感じかな」

 これまでも「中学・高校は暗黒時代」と語っており、「学校に関しては、本当に全部が好きじゃなかった」というが、もし、もう一度「ハイスクール」生活を送ることができるとしたら?

「いまのポテンシャルで高校生活したら、俺、学校のヒーローになれる(笑)。圧倒的に主人公になれますね(笑)。

 大学時代がほんとそんな感じだったんですよ。どこ行っても友達がいて、どの授業出ても楽しくて。授業中もちゃんと盛り上げて答えていた」

 高校までとは、環境が変わったからだろうか?

「授業の違いもありますけど、それ以上に、僕自身の対人スキルがめちゃくちゃ向上して、何も恐れないという状態が生まれていたということですね。いろんなことをやって、経験値で埋めてきてるんで、誰とでも仲良くなれるっていうのが、いまの僕です」

「人のいいところを見るようになって、人も自分も好きになれるようになった」とも言っている。

「やっぱり、まず、尊敬の念がないと。ひとつリスペクトの気持ちを持っているだけで、その人への接し方も変わるし、たぶん受け取り手の気持ちも、全然違うと思います。そこは大事にしているかな」

■学校がすべてではない

 人生との向き合い方、ものの見方が変わったことで、生きやすくなったという佐久間に、例を尋ねると、「ほんとにいろいろありますからね」としばし考えたあと、こう続けた。

「わかりやすく言うと、例えば、学校で孤立しちゃうこと、あるじゃないですか。なんか知らないけど目をつけられていじめられちゃうとか。あの時代は、ほんとにもう学校のなかが人生のすべてで、もう終わりだ、という気持ちになっちゃうんです。でも、大人になってみたら、とても狭いコミュニティーで、しょうもないことなんですよね。だから、そこまで気にすることないし、しっかり逃げていいよ、と思う。頑張って傷つきにいく必要、ないですもん。ちゃんと逃げて、自分が助かるんだったらそれがいちばんいい。無理してほしくない。そこから違うことすればいい。ということかな? 本当に楽になるから」

■理想とするアイドルに

 そんな「生きづらい世の中」を経験してきた佐久間だからだろうか、SNSやブログも、考え方を変えることで生きやすくなるようなヒントに満ちている。

「行きたかったライブに行けないときとか、欲しかったグッズが手に入らなかったときの気持ちは、僕もわかるんで。でも、そこで下向いてらんないな、とも思ってるんで『大丈夫!』って肩組みに行く。オタクである自分が理想とすることをやっている、っていう感じですね」

 佐久間にとっての「アイドルの理想形、完成形は、いちばんに応援したくなること」だと言う。「この人を応援したいと思われるアイドルには勝てないですね。だって、応援することは、めちゃくちゃエネルギー使うんですよ。大変なことなのに、それでも応援したいって思わせられるというのが、ほんとにすごいです」(文中敬称略)

(編集部・伏見美雪)

※AERA 2025年12月29日-2026年1月5日合併号より抜粋

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