【なぎさの競馬手帖】お疲れさまでした! 美浦のアイドル・ライラック

ライラックと三尾厩務員

日経新春杯12着を最後に競走馬を引退したライラック。美浦・相沢郁厩舎に所属した7歳の牝馬で、競馬ファンの皆さんはもちろん、記者からも絶大な人気がありました。もちろん私もライラックファンのひとり。担当の三尾一之厩務員とはライラックのデビュー前からの知り合いで、よく記者たちに手作りのお菓子を振る舞ってくださっていました。そんな三尾さんが担当することになったかわいい牝馬のライラック。あんなにこぼれそうなほど大きな目の馬を見たことがありません。そんなずば抜けたかわいさはトレセンでも特に目を引きました。デビュー前の写真もフォルダにありましたよ。2021年10月16日の新馬戦の写真も。京都2歳Sは現地に行けなかったため写真はありませんが、フェアリーSは中山で勤務だったので口取り前に撮らせていただいていました。懐かしいですね。どちらも三尾さんが記者たちにサービスしてくださったものです。

デビュー前のライラック

ライラックが美浦の記者からも人気があった理由のひとつは間違いなく三尾さんでしょう。いろんな記者とよくコミュニケーションを取ってくださる方で、日刊紙の記者で三尾さんを知らない人を探すほうが大変かもしれないくらいです。そこにライラックのかわいさと、三尾さんと獣医さん以外には愛想が非常にいい性格も加わって、これだけの人気になったと思います。

新馬戦を勝ったライラックと三尾厩務員

2戦目からずっと重賞で戦ってきたので、日刊紙記者の注目も集まりやすく、馬房を訪れた記者は数知れず。最近は美浦に配属されたばかりの記者たちの登竜門のようになっていた気がします(笑)。南スタンドの前を通る際もたくさんの記者たちが写真や動画を撮っていました。メディアに愛嬌(あいきょう)を振りまきながらコースに向かう姿はまるで美浦のアイドル。このような記者たちからの人気はもちろん、競馬ファンからの人気も三尾さんは感じていたそうです。

「日経新春杯のパドックはシャッター音と『かわいい』という声が過去イチだったよ。(引退に対する)Xも1万2000件以上(取材時)のポスト。GⅠを勝っていないのにすごいよね」

これまでに届いたお手紙やお守り、リボンも見せていただきました。クリアケースがいっぱいになるほど。リボンはレースで着用していたのでご存じの方もいらっしゃると思います。ひとつだけ落としてしまったそうですが、それ以外をライラックの前に並べてみました。ライラックも興味津々でしたよ。

ライラックがとりこにしたのは競馬ファンと記者だけではありません。京都競馬場では従事員さんたちにも大人気だったそうです。栗東に移籍した井上敏樹騎手も馬房を訪れたとのこと。ライラックは耳のつけ根を触られるのが好きなようで、井上騎手に「もっと触って」とアピールをしていたそうです。最後に美浦でお隣だったオロパタジン(美浦・相沢郁厩舎、牡4)もライラックに気があるのか、アピールが激しかったです(笑)。

フェアリーSを勝ったライラックと三尾厩務員

多方面から人気者のライラック。退厩当日もたくさんの記者が入れ代わり立ち代わり訪れたそうです。私もそのうちの一人で、出発まで見届けました。三尾さんは「別に寂しくないよ」と口にしますが、馬運車が見えなくなるまで見送っていた背中は少し寂しそうでした。現役期間の8割は在厩だったとのことで、美浦で見てきた私も寂しいです。

三尾さんの「戦友」は繁殖牝馬という新たなステージに進みます。いつまでも元気で過ごしてほしいですね。今後、ライラック自身と再会することはなかなか難しくても、その子供たちと競馬場で会える日を心から楽しみにしています。(三浦凪沙)

※毎週火曜更新