箱根駅伝で初の4年連続シード権を獲得した城西大の強さの理由、キムタイはなぜ、花の2区で区間記録を更新できたのか

2026年1月2日、第102回箱根駅伝、往路2区を走る城西大のヴィクター・キムタイ 写真/SportsPressJP/アフロ
(スポーツライター:酒井 政人)
箱根駅伝の着用者が5年連続で増えているプーマ
プーマ ジャパン株式会社は1月下旬、PUMA『DEVIATE NITRO ELITE 4/DEVIATE NITRO 4』発表&城西大学 男子駅伝部トークセッションを実施した。
プーマは箱根駅伝の着用者を5年連続で伸ばしている注目のブランドだ。プロダクト説明会では、同社ランニングカテゴリー MDの安藤悠哉氏が登壇。「プーマは『すべてのランナーを速くする』ことを目指しています。『速さ』というとトップランナーを思い浮かべがちですが、トップレベルの競技者だけでなく、ファンランナーの方々にも、プロダクトを通じてスピードを体感していただきたいと思っています」と、商品開発において大切にしている考え方を語った。
1月23日に発売された『DEVIATE NITRO ELITE 4』は前作より軽量で、効率的な走行感を実現したレースモデル。2月12日より発売する『DEVIATE NITRO 4』は前作より反発性を高めながら快適な履き心地のトレーニングモデルだ。

『DEVIATE NITRO ELITE 4』写真提供:プーマジャパン
プーマは今年正月の箱根駅伝で前年より6人増となる31人の着用者がいた。昨年は桜井優我(城西大)が9区で区間賞を獲得。ブランドとして箱根駅伝で初めての区間賞に輝いたが、今年はレース序盤で“快走”を連発した。
1区は『DEVIATE NITRO ELITE 3 EKIDEN』を着用した青木瑠郁(國學院大4)が区間記録を12秒更新。2区では『FAST-R NITRO ELITE 3 EKIDEN』を履いたヴィクター・キムタイ(城西大4)が区間記録を22秒も塗り替えたのだ。
城西大の主軸が正月決戦を振り返る

右から櫛部静二監督、柴田侑、小田伊織、小林竜輝 写真提供:プーマジャパン
トークセッションにはプーマがサポートする城西大男子駅伝部の櫛部静二監督、柴田侑(3年)、小田伊織(3年)、小林竜輝(2年)が登場した。城西大は今年の箱根駅伝で往路を5位で折り返すと、総合7位でフィニッシュ。同校初となる4年連続のシード権を獲得した。
1区を志願した柴田は、「爆発的な反発力と軽さがあり、一度履いたときに『このシューズしかない』と感じました」と『FAST-R NITRO ELITE 3』を選択。「物凄い歓声があって、楽しかったです。こんなにアッという間に終わる21kmは初めてでした」と区間記録と11秒差の区間6位と快走した。
8区を担った小田は『DEVIATE NITRO ELITE 3』 を着用。「軽さと反発力が非常に優れていて、自分の走りのタイプと合っていると感じました」とシューズの感想を話した。そして前回は山下りの6区(3位)で活躍した小林は今回、3区で出場。「トップでタスキをもらって、昨年以上に緊張したんですけど、リラックスして走れたかなと思います」と平坦コースでも区間6位と好走した。
3人は来季の主軸となる選手たち。新シーズンに向けて、「トラック競技でも、勝ちにこだわってレースに臨んでいきたいです」と柴田が言えば、小林も「今年一年で結果を残し、城西大学を引っ張っていく存在だと言われるような走りをしたいです」と語り、ともに“エース”を目指す気概が感じられた。それから最上級生となる小田は、「学生年代のラストイヤーになるので、悔いを残すことなく、チームに貢献できる走りをしたいです」と話していた。
櫛部監督が語る箱根駅伝とチームの今後
箱根駅伝で総合7位に入り、4年連続のシード権を獲得した城西大。なかでも強烈な走りを見せたのが前回に続いて2区を務めたヴィクター・キムタイ(4年)だ。
トップと23秒差の6位でスタートすると、早大・山口智規(4年)と並走するかたちでレースを進行。権太坂(15.2km地点)の通過は2位タイで、個人タイムは4位だった。ここから山口を引き離していくと、トップの中大を逆転。戸塚の壁を力強く駆け上がり、驚きのタイムを叩き出した。
「彼はどちらかというと5000m志向のランナーで、前回の2区(10位)は権太坂以降、大きな落ち込みがありました。全日本大学駅伝3区で区間賞を逃したことも相当悔しかったようです。『スタミナ練習は大事だよね』というのを改めて伝えて、全日本以降は試合に出ず、苦手なロングの練習をしっかりやったんです。彼はクレバーなので、自分がダメだったところで、今回は行けるように仕上げてきました。戦略的にやった結果だと思います。それにしても速かったですね」
櫛部静二監督は「5分台が出れば最高。6分10秒でいいよ」と声をかけていたが、キムタイは区間記録を22秒更新する1時間5分09秒で走破した。
そして5区の斎藤将也(4年)は青学大・黒田朝日(4年)とほぼ同時にスタートするも、函嶺洞門(3.5km地点)で22秒差をつけられた。それでも区間歴代4位の1時間9分28秒(区間2位)と活躍した。櫛部監督は日本人エースの走りをどう見ていたのか。
「上り部分は黒田君とさほど変わらなかったんですよ。途中、黒田君に近づいた場面もあったぐらいですから。前回は前半ちょっと行き過ぎたので、抑えていく戦略でした。先輩・山本唯翔(現・SUBARU)のレースペースで行き、最後に上がれば、8分台を狙える、と。上りは良かったんですけど、終盤5kmの下り坂でペースが上がらなかった。そこは去年よりも良くなかったですね。ただ上りが得意な選手だなと改めて思いました」
キムタイ、斎藤ら今回出走メンバー6人が卒業するも、1区の柴田侑(3年)、3区の小林竜輝(2年)、9区の中島巨翔(3年)という区間6位トリオが残る。さらにインターハイ1500mで高校歴代5位の3分42秒05で3位に食い込んだ山本聖也(高知農高)ら楽しみなルーキーも加入する。櫛部監督は来年度を「育成の年」と位置づけているが、どのようなチーム作りをしていくのか。
「三宅駿(2年)ら今回出走できなかった選手たちに加えて、登録16人に入れなかった選手のなかにも箱根の直前にグッと成長した子がいます。また来春は留学生も入学予定です。そんなに強い子ではないので、ヴィクターのように徐々にステップアップしていけるように考えています。山本は将来、日本代表を狙える選手。長い距離もいけるタイプだと思うので強くしていきたいです」
城西大は箱根駅伝を目指すチームのなかで最も低酸素トレーニングを取り入れており、エースの育成には定評がある。キムタイと斎藤が卒業するが、今後もエッジの効いた選手が誕生するだろう。
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