「政治とカネ」反省の言葉消えた自民 野党の批判も空を切り…政治改革の機運も尻すぼみになる恐れ
高市早苗首相ら自民党幹部が衆院選の街頭演説で、「政治とカネ」問題への言及を避けている。大敗した2025年参院選の総括で「不信の底流になっている」と認めながら、今回は元凶である裏金議員を軒並み公認し、企業・団体献金の見直しにも消極的だ。野党は禁止や規制強化を訴えるが、選挙戦では安全保障政策などを巡る議論の陰に隠れて、政治とカネは主な論戦テーマになっていない。
◆首相の人気で「裏金議員が復活する」?
「希望ある未来をつくりましょう」。さいたま市内で3日に演説した首相は、17分ほどの演説の多くを「責任ある積極財政」の訴えに割き、政治改革には一切触れなかった。
小林鷹之政調会長も2日、裏金問題に関与した元職の応援に入ったものの、「政治とカネ」に関して語ることはなかった。2023年末に自民の派閥裏金事件が起こった後に行われた2024年の衆院選で、応援弁士や候補者らがたびたび「反省」を口にしていたのとは対照的な光景だ。

自民党の小林鷹之政調会長(左、1月29日、東京・中野駅前で=由木直子撮影)と中道改革連合の安住淳共同幹事長(1月19日、国会で=佐藤哲紀撮影)
野党は献金規制を自民との対立軸に据え、「首相の人気を裏金議員の復活に使うのは良くない」(中道改革連合の安住淳共同幹事長)と批判を強める。
だが、自民がこの問題への言及を避けていることもあり、選挙戦では首相が掲げる消費税減税や安全保障政策の抜本的強化などに議論が集中している。
◆政治改革が前進したのは、自民が少数与党に転落したから
報道各社の情勢調査で、野党の苦戦が伝えられている。野党には衆院選後、政治改革論議が下火になるのでは、との危機感が出始めている。この2年余りで「政策活動費」の廃止など一定の前進があったのは、自民が少数与党に転落し、異なる主張や要求を受け入れざるを得ない立場に追い込まれたからだ。仮に高市政権が続いても、参院はなお過半数に届かない「ねじれ国会」のままだが、衆院の勢力バランスの大きな変化は野党の発言力を低下させる。
「時計の針が逆戻りしようとしている」。中道の前職はそう警戒感を示す。(井上峻輔)

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